著者
崔 煌 権藤 恭之 増井 幸恵 中川 威 安元 佐織 小野口 航 池邉 一典 神出 計 樺山 舞 石崎 達郎
出版者
日本老年社会科学会
雑誌
老年社会科学 (ISSN:03882446)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.5-14, 2021-04-20 (Released:2022-04-26)
参考文献数
38

本研究の目的は高齢者の社会参加と主観的幸福感の関連において,ソーシャル・キャピタルがどのような役割を果たしているのかを明らかにすることである.地域在住高齢者のデータ(74〜78歳,N=624)を分析した結果,社会参加と主観的幸福感の関連は認められないが,4種類の社会参加のなか,地縁組織への参加は主観的幸福感と統計的に有意な関連があること,また,ソーシャル・キャピタルへの認識と近所の人の数を介した間接効果があることが確認された.この結果から,社会参加の種類によって主観的幸福感との関連が異なり,地縁組織への参加はソーシャル・キャピタルを介して主観的幸福感に影響を与えることが明らかになった.
著者
中川 威 権藤 恭之 増井 幸恵 石岡 良子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.205-216, 2018-03-01 (Released:2018-03-06)
参考文献数
52
被引用文献数
2 1

加齢につれ,人は感情状態を調整するように動機づけられ,その結果感情状態が良好になるとされる。本研究では,改訂版感情調整尺度を用い,成人期にわたって感情調整が発達するか検証することを目的とした。青年期を対象にした調査1 (153名)と壮年期から高齢期までを対象を対象にした調査2 (518名)の結果,すべての年齢群および青年期以外の各年齢群で改訂版尺度の1因子構造が確認された。青年期では適合度と内的整合性は低かった。また,改訂版尺度は,楽観性,外向性,適応的コーピング,肯定的感情,認知的再評価と正の相関を示した一方,神経症傾向,不適応的コーピング,否定的感情,感情表出抑制との関連は示されず,構成概念関連妥当性が確認された。年齢差を検討した結果,感情調整は高齢期で中年期以前よりも高く,仮説が支持された。今後,感情調整の発達が感情状態を良好にするか検討するため,縦断研究の必要性を議論した。
著者
石岡 良子 石崎 達郎 髙橋 龍太郎 権藤 恭之 増井 幸恵 中川 威 田渕 恵 小川 まどか 神出 計 池邉 一典 新井 康通
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.219-229, 2015
被引用文献数
3

This study examined the associations between the complexity of an individual's primary lifetime occupation and his or her late-life memory and reasoning performance, using data from 824 community-dwelling participants aged 69–72 years. The complexity of work with data, people, and things was evaluated based on the Japanese job complexity score. The associations between occupational complexity and participant's memory and reasoning abilities were examined in multiple regression analyses. An association was found between more complex work with people and higher memory performance, as well as between more complex work with data and higher reasoning performance, after having controlled for gender, school records, and education. Further, an interaction effect was observed between gender and complexity of work with data in relation to reasoning performance: work involving a high degree of complexity with data was associated with high reasoning performance in men. These findings suggest the need to consider late-life cognitive functioning within the context of adulthood experiences, specifically those related to occupation and gender.
著者
権藤 恭之 高橋 龍太郎 増井 幸恵 石崎 達郎 呉田 陽一 高山 緑
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、高齢期におけるサクセスフルエイジングを達成するためのモデルが加齢に伴って、機能維持方略から論理的心理的適応方略、そして非論理的超越方略へと移行するという仮説に基づき実証研究を行ったものである。70 歳、80 歳、90 歳の地域在住の高齢者 2245 名を対象に会場招待調査を実施しそれぞれ関連する指標を収集した。その結果、高い年齢群ほど身体機能、認知機能の低下が顕著である一方で、非論理的適応方略の指標である老年的超越の得点は上昇しており、高い年齢になるほどサクセスフルエイジング達成のために非論理的適応方略が有効であることが示唆された。