著者
高崎 智彦
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-3, 2015-07-20 (Released:2016-01-04)

Dengue fever is a mosquito-borne viral disease. Dengue virus (DENV) infections occur in most of the tropical and subtropical areas of the world. DENV infection with any of four serotypes leads to a broad spectrum of clinical symptoms and their severity, including asymptomatic infection, dengue fever (DF) and fatal dengue hemorrhagic fever (DHF). DF/DHF is considered to be one of the most important re-emerging infectious diseases. Physicians and pediatricians in non-endemic countries are often unfamiliar with the symptoms and unaware of the potential importation of patients with DF/DHF. In August of 1942, an epidemic occurred suddenly in Nagasaki city and then in Sasebo city, Osaka and Kobe city. The epidemic in 1942 was subsided in November, but in the next summer it broke out again and recurred every summer until 1945. There were no dengue endemics in Japan since then.In late August of 2014, three autochthonous dengue cases were reported in Japan. Since then, as of 31 December 2014, a total of 162 autochthonous cases have been confirmed. While cases were reported from throughout Japan, the majority was linked to visiting a large park or its vicinity in Tokyo, and the serotype detected has been serotype 1.
著者
高崎 智彦
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.199-206, 2007-12-22
参考文献数
21
被引用文献数
1 2

ウエストナイルウイルスはフラビウイルス科フラビウイルス属のウイルスで,蚊によって媒介される.1937年にアフリカ・ウガンダで発熱患者から発見され,1999年には米国で初めて患者が報告された.ヒトにおける病態は,非致死性の急性熱性疾患であるウエストナイル熱と脳炎,髄膜炎,脊髄炎などの中枢神経系の症状を呈するウエストナイル脳炎がある.北米での主たる媒介蚊は,アカイエカ(<I>Culex. pallens</I>),ネッタイイエカ(<I>Cx. quiquefasciatus</I>),<I>Cx. restuans, Cx salnarius, Cx. talsalis</I>などイエカ属のカであるが,媒介可能なカは60種以上である.米国での患者数は,1999年以降2007年までに27000人以上であり,カナダでの患者数も2002年以降,4600人以上の患者が報告されている.日本においても2005年9月に米国渡航者によるWN熱の輸入症例が初めて確認された.北米のウエストナイルウイルスは,依然として強い病原性を示しているが,2003年のテキサスとメキシコでの分離株の中には,弱毒株が存在することが報告されている.ウエストナイルワクチンの開発状況はヒト用のワクチンは開発中でまだ実用段階にはない.ウマ用のワクチンは,不活化ワクチンが2001年から使用され,DNAワクチン,キメラ生ワクチン,レコンビナントワクチンも認可されている.
著者
高崎 智彦
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.199-206, 2007 (Released:2008-06-05)
参考文献数
21
被引用文献数
2

ウエストナイルウイルスはフラビウイルス科フラビウイルス属のウイルスで,蚊によって媒介される.1937年にアフリカ・ウガンダで発熱患者から発見され,1999年には米国で初めて患者が報告された.ヒトにおける病態は,非致死性の急性熱性疾患であるウエストナイル熱と脳炎,髄膜炎,脊髄炎などの中枢神経系の症状を呈するウエストナイル脳炎がある.北米での主たる媒介蚊は,アカイエカ(Culex. pallens),ネッタイイエカ(Cx. quiquefasciatus),Cx. restuans, Cx salnarius, Cx. talsalisなどイエカ属のカであるが,媒介可能なカは60種以上である.米国での患者数は,1999年以降2007年までに27000人以上であり,カナダでの患者数も2002年以降,4600人以上の患者が報告されている.日本においても2005年9月に米国渡航者によるWN熱の輸入症例が初めて確認された.北米のウエストナイルウイルスは,依然として強い病原性を示しているが,2003年のテキサスとメキシコでの分離株の中には,弱毒株が存在することが報告されている.ウエストナイルワクチンの開発状況はヒト用のワクチンは開発中でまだ実用段階にはない.ウマ用のワクチンは,不活化ワクチンが2001年から使用され,DNAワクチン,キメラ生ワクチン,レコンビナントワクチンも認可されている.
著者
貫井 陽子 高崎 智彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2435-2441, 2007-11-10
参考文献数
6

ウエストナイル熱は1999年米国ニューヨーク市での流行を契機に全米へ感染が拡大し,世界的に注目を集めている.本邦でも2005年に米国旅行後の患者で感染が確認されている.感染は蚊に吸血されることにより成立するが,これまでに輸血,臓器移植,母乳を介した感染の報告もある.診断は,病原体検出及び血清学的診断により行う.現時点でヒトに対し有効な特異的治療法や認可されたワクチンはない. <br>
著者
高崎 智彦
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.114-116, 2011

チクングニア熱はチクングニアウイルスを原因とする蚊媒介性急性熱性ウイルス性疾患である。時に激しい関節痛,発疹を伴う。近年,アフリカ,南アジア,東南アジアの熱帯・亜熱帯地域を中心に流行が報告されている。2007年には温帯地域で初めての流行がイタリアで確認され,さらに2010年9月にはフランス南部においても国内流行が発生した。イタリア,フランスにおけるチクングニア熱の国内流行は日本にも生息しており活動の活発なヒトスジシマカにより媒介されているため,チクングニアウイルスの日本への侵入,定着の可能性は否定できない。平成23年2月1日付けで「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」で4類感染症全数把握疾患に指定された。当該患者を診断した医師はただちに保健所を経由して都道府県知事に届け出ることが求められる。また,同時に検疫法にも検疫対象疾患として指定された。
著者
貫井 陽子 高崎 智彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2435-2441, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
6

ウエストナイル熱は1999年米国ニューヨーク市での流行を契機に全米へ感染が拡大し,世界的に注目を集めている.本邦でも2005年に米国旅行後の患者で感染が確認されている.感染は蚊に吸血されることにより成立するが,これまでに輸血,臓器移植,母乳を介した感染の報告もある.診断は,病原体検出及び血清学的診断により行う.現時点でヒトに対し有効な特異的治療法や認可されたワクチンはない.
著者
倉根 一郎 高崎 智彦 松谷 隆治 鈴木 隆二
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

デングウイルス感染症は世界で最も重要な蚊媒介性ウイルス感染症である。デングウイルス感染におけるデング出血熱の発症機序の解明のため、マーモセットを用いてデングウイルス感染モデルの確立を行った。マーモセットは感染後高いウイルス血症を示し、また抗体反応、臨床的所見、血液学および生化学的検査所見もヒデング熱患者と同様の変化が見られた。また、マーモセットにおけるT細胞免疫応答の詳細な解析のため、サイトカインや細胞マーカー解析のツールを確立した。
著者
倉根 一郎 高崎 智彦 正木 秀幸
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

デング出血熱の病態形成におけるフラビウイルス交叉性免疫応答の役割を解明することを最終的な目的とし、デングウイルスと日本脳炎ウイルス交叉性T細胞の解析をヒトおよびマウスのリンパ球を用いて詳細におこなった。日本脳炎ウイルスとデングウイルス間には免疫ヒトリンパ球を用いてのバルクカルチャーにおいては交叉反応性が認められた。しかし、CD4陽性T細胞クローンレベルでは日本脳炎とデングウイルス間に交叉反応性が認められなかった。一方、日本脳炎ウイルス反応性T細胞クローンの一部は西ナイルウイルスとの間に交叉反応を認めた。これは、日本脳炎ウイルスと西ナイルウイルス間でのアミノ酸の相同性の高さによると考えられる。従って、ヒトT細胞においてフラビウイルス交叉反応性は存在するが、日本脳炎とデングウイルス交叉性のものは低頻度であると考えられる。これらCD4陽性ヒトT細胞クローンのT細胞レセプターはユニークなモチーフは認められなかった。一方、マウスにおいてもデングウイルスと日本脳炎ウイルス間のT細胞交叉反応性を検討する目的で、まず、日本脳炎ウイルス反応性キラーT細胞の誘導と認識するエピトープの解析を行った。マウスを日本脳炎ウイルスで免疫することにより、日本脳炎ウイルスに対するキラーT細胞が誘導される。これらのキラーT細胞が認識するエピトープはエンベロープ蛋白質のアミノ酸60-68番上にあり、H-2K^d拘束性であった。現在、このエピトープを確認するT細胞のフラビウイルス交叉性、およびマウスキラーT細胞が認識する他のエピトープの同定が進行中である。