著者
加茂 利男 阿部 昌樹 砂原 庸介 曽我 謙悟 玉井 亮子 徳久 恭子 待鳥 聡史 林 昌宏 矢作 弘
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、現代の先進諸国に共通してみられる「縮小都市」という現象に注目し、その政治的および政策的意味を解明することを目的とする。少子高齢化や経済のグローバル化により、先進国の多くの都市は縮小を余儀なくされているが、そのことが衰退を意味するとは限らない。むしろ、縮小は政治的アクターや政策提唱者にこれまでにない方法で都市を再構築する好機を提供する。そこで本研究は、日独仏米4カ国の港湾都市を対象にして、縮小に対する地方政府の政策対応に相違をもたらす要因の特定を試みた。その結果、選挙制度、執政制度、政府間関係、地理的な分節や機能的分節の程度が多様性をもたらすことを明らかにすることができた。
著者
林 昌宏
出版者
日本神経感染症学会
雑誌
NEUROINFECTION (ISSN:13482718)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.104, 2022 (Released:2022-05-12)
参考文献数
28

【要旨】わが国は日本脳炎およびダニ媒介脳炎の流行地である。日本脳炎ワクチンの接種等により日本脳炎の流行は制御されているが、現在も日本脳炎ウイルスの分布状況には変化がないことが疫学的に示されている。またダニ媒介脳炎は 1995 年に初めて国内流行が発生し、これまでに5 例の報告がある。さらに海外からこれまでに、ウエストナイル熱、デング熱・出血熱、ジカ熱等の蚊媒介性ウイルスによるヒトの輸入症例が報告されている。2014 年および 2019 年にはデング熱の国内流行が発生した。デングウイルス、ジカウイルス等を媒介するヒトスジシマ蚊は本州以南に生息するため、今後も蚊媒介性ウイルス浸淫の可能性は否定できない。蚊媒介性ウイルスの発生動向にはヒト、カ、気候、環境等の要因が複雑にかかわるためその予防には疾病の理解が必須である。
著者
渡辺 俊一 居林 昌宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.439-444, 1993-10-25 (Released:2019-09-01)
参考文献数
4

THE KAWLOON WAL WELLED CITY, A HONG KONG'S ONCE MOST NOTORIOUS SLUM NOW WAITING FOR DEMOLITION, USED TO BE CHARACTERIZED BY HIGH DENSITY LIVING (18,000 PERSONS PER HECTARE), HIGH RISE STRUCTURES (14 FLOORS WITHOUT ELEVATORS) AND INTRICATE INTERLOCKS OF BUILDING SPACES AND OF INNER CORRIDORS. THE AUTHORS, BASED UPON THEIR INVESTIGATION, CLARIFY THE SPATIAL STRUCTURE OF THE SLUM AND HOW IT WAS CREATED UNDER THE LACK OF LAND USE CONTROLS. THROUGH THIS UNIQUE “EXPERIMENTAL” SITUATION OF “NO CONTROL,” THEY RECONSIDER SOME BASIC PRINCIPLES UNDERLYING CONTROL TECHNIQUES OF OUR MODERN PLANNING SYSTEM.
著者
林 昌宏
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.1-12, 2018 (Released:2019-05-18)
参考文献数
101
被引用文献数
1

ジカウイルスは1947年にウガンダのジカの森で囮動物であるアカゲザルから分離されたフラビウイルス科フラビウイルス属のウイルスであり,主にネッタイシマカやヒトスジシマカ等のシマカ属の蚊によって媒介される.主な症状は発熱,発疹,間接痛であり,その流行域および症状からデング熱およびチクングニア熱の重要な鑑別疾患である.ジカ熱はこれまでにアフリカから東南アジアにかけて散発していたがヒトの症例報告はわずかであった.しかしながら2007年にミクロネシアで再興しその流行は南太平洋諸島から米州に拡大した.近年のジカウイルス感染症の流行ではギラン・バレー症候群との関連および経胎盤感染による先天性ジカウイルス感染症が問題となっており,国内外でジカワクチンの開発が進められている.我が国では2013年末から輸入症例が報告されており,媒介蚊であるヒトスジシマカが本州以南に生息するため,その浸淫の可能性は否定できない.ジカウイルス感染症は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」で4類感染症に指定されており,当該患者を診断した医師はただちに保健所を経由して都道府県知事に届け出ることが求められる.
著者
林 昌宏
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013

平成25年度は、当初計画で提示した研究課題のうち(1)地方政府の権限拡大をめぐる・アクターの行動の分析に関する作業を中心に進めた。これは、地方政府が、どのような政治的・社会経済的背景のもとで権限を拡大し、それをいかなる意図をもって活用していくことになるのか。また、その際には、権限を喪失する中央政府が、どのような行動を取ろうとするのか。これらを、主に日本における港湾管理権の移譲を事例に明らかにする試みである。具体的には、東京の国立国会図書館東京本館などで、1950年の港湾法制定ならびに港湾管理権の地方政府への移譲に関する文献・論文・資料を調査・収集した。そして、地方政府が権限を拡大していくにあたり、関係するアクターがどのように行動しているのかという観点のもとに、収集したそれらの分析を進めていった。こうした作業で得られた知見については、2013年6月に福島市(コラッセふくしま)で開催きれた日本公共政策学会2013年度研究大会などで発表した。(1)の研究課題に関する作業に目途が立ったこともあり、2013年の冬から(2)地方分権の進展が政府間関係・政策帰結に及ぼす影響の分析に関する資料の調査・取集を開始した。(2)の研究課題は、(1)の分析を踏まえて、地方分権の進展によって権限を拡大した地方政府が、他のそれらや中央政府、超国家組織との商に、どのような関係を築くのか。そして、それが政策帰結に、いかなる影響を及ぼすことになるのかについて明らかにしようとするものである。(2)の主な作業は、先進諸国の地方自治制度(大都市制度を含む)、欧米、特に米国、オランダ、ドイツの港湾の整備・管理に関する文献・論文の収集になる。こちらについても平成25年度は東京の国立国会図書館東京本館を中心に、それらの調査・収集を進めた。また、来年度に調査を予定しているオランダの地方自治システム、港湾の管理・整備システムの分析を並行して進めることができた。
著者
竹川 暢之 岩上 直幹 岡林 昌宏
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.45-55, 1999-03

我々は, 上部成層圏において酸素原子O (^3P)の測定を行うために, 共鳴蛍光法による気球搭載型O (^3P)測定器を開発した。この方法は絶対測定であり, 実験室における高精度の較正実験が要求される。我々は, 数値シミュレーション計算および室内実験を基に測定器の性能を詳細に調べた。高高度気球BT15によるO (^3P)とオゾン(O_3)の同時測定は, 1997年9月9日正午前後に宇宙科学研究所三陸大気球観測所において行われた。O_3は同じ気球に搭載された東北大の光学オゾンゾンデにより測定された。高度38-44kmにおける測定値とモデル値の比較を行ったところ, 両者は誤差の範囲内でほぼ一致していたが, [O (^3P)]/[O_3] 比の測定値の傾きとモデル計算値の傾きの間には違いが見られた。しかしながら, O (^3P)測定値の精度および確度は充分なものではなく, この傾きの違いに関して詳細な議論を行うまでには至らなかった。