著者
宮川 佳也 山内 眞義 松浦 知和 高木 一郎 大畑 充 戸田 剛太郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.570-574, 2002-12-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
9

症例は26歳の性転換願望男性. 吐下血を主訴に来院し, 食道静脈瘤および出血性胃炎を指摘され入院となった. 腹部CT, 超音波検査にて肝硬変および著明な脾腫を認めた. 患者は性転換願望があり中容量ピルを内服し, エストロゲン製剤の注射を頻回に受けていた. また, 常習飲酒家であるが飲酒歴は9年間と短く, また, 積算飲酒量は純エタノール換算で480kgとアルコール性肝硬変としては少量であった. しかし, ウイルス性や自己免疫性の肝硬変は否定的であり, 肝組織像はアルコール性肝硬変の所見であった. 本症例は女性ホルモン製剤を常用しながら飲酒を継続していたことにより急速にアルコール性肝硬変へ進展した極めてまれな症例であり, アルコール性肝障害の発症における性差を考察するうえで示唆に富む症例であると考えられた.
著者
中島 尚登 高田 圭 矢野 宏 矢野 耕也 高木 一郎 大畑 充 小宮 佐和子 戸田 剛太郎
出版者
一般社団法人 品質工学会
雑誌
品質工学 (ISSN:2189633X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.63-72, 2004-04-01 (Released:2016-09-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Using health forecasts made with the Mahalanobis distance from the results of health checkups over a two-year period, medical examination items were selected, an economic evaluation was carried out by a loss function, and the potential for reducing costs was verified. The functional limit △0, costA, lossA0, and distance tolerance △ were determined. As a result, from the value of Δ obtained by economic calculation of the loss function, it became evident that 1.5 was an appropriate threshold value for distinguishing healthy from unhealthy individ uals. This was also confirmed from the results of calculation of the standard S/N ratio. When threshold values were studied and examination items were selected on the basis of these results, one small enterprise was able to reduce its costs by 10 million yen, and the results suggested that healthy/unhealthy diagnoses could be made from health checkup data for two or three years without a medical examination by a doctor.
著者
蓮村 哲 新谷 稔 高木 一郎
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

肝臓は血漿蛋白の産生臓器として重要な機能を有している。特にアルブミンは血漿蛋白の50%を占める重要な蛋白である。従来よりヒト由来の肝癌細胞株を用いて、ビタミンやホルモンによるアルブミンやAFPの産生の変化について検討してきた。さらにこの細胞をラジアルフロー型バイオリアクターを用いて3次元培養した際の、両蛋白の産生量の変化を検討した。ラジアルフロー型バイオリアクターによる培養細胞の3次元構築は、SEM TEMで確認し、球形の細胞の配列と、相互の細胞の緩やかな接着(接着装置の存在を認める)、細胞小器官の極性の存在を認めた。FLC4細胞の3次元培養では単位細胞あたりのアルブミン産生量は単層培養の6.9倍に増加し、AFPは400分の1に減少した。またFLC7細胞では3次元培養により、AFP産生が優位であったものがアルブミン産生優位となり、より正常肝細胞に類似の機能を発現すると考えられた。以上より、これら肝細胞の機能発現には、ホルモン、ビタミン、その他の生理活性物質だけでなく、細胞組織の3次元的構築が大きく関与することが明らかとなった。また肝由来蛋白である、thorombopoietinも本研究に用いた肝由来細胞株において産生され、その産生量はラジアルフロー型バイオリアクターを用いた際には、細胞数の増加、アルブミン産生量の増加に一致して漸増し、ほぼヒト正常肝の1日産生量に近い量を400mlバイオリアクターで産生可能であった。ラジアルフロー型バイオリアクターによる肝特異蛋白の高産生能が示された。
著者
山崎 松男 井出 明 高木 一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.6, pp.65-72, 2003-01-24

政府は、2003年度中に電子政府の基盤を構築するとのタイムスケジュールで各種政策を進めている。しかしながら、電子政府から置き去りにされるデジタルディバイドの下位層に対してどのような対策をとるべきかという点について、政府は明確な方策を打ち出してはいない。本報告では、コンピューターに対して疎遠な生活を送ってきた一般市民に対して、面接調査を用いたコンピューターアクセシビリティの実験を行った結果を報告する。この調査は、単なるアンケート式の統計調査ではなく、現実に被験者に対して多くの操作を要求しているところに特徴がある。この報告を下敷きにすることで、より効果的なデジタルディバイドへの対応が可能になると考えられる。Aiming at building a base for electronic government by the end of the fiscal year of 2003, Japanese government has been promoting various policies. It has not, however, shown clear policies toward those who are in the low rank layer of Digital Divide. They do not seem to have an easy access to the efficiencies of electronic government. In this study, we interviewed those people in Kumamoto city who do not use computers frequently and investigated their computer accessibility. We observed interviewees' actual handling of computers, which is a distinctive feature of this study. We propose the government can deal with the Digital Divide more efficiently based on this study.
著者
山崎 松男 井出 明 高木 一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.33, pp.73-78, 2003-03-19

政府のe-JAPAN重点計画では、2003年度中に電子政府の基盤を構築するとの予定が示されている。しかしながら電子政府・電子自治体から取り残されかねないデジタルディバイドの下位層に対してどのような対応をとるべきかという点について、政府は明確な方策を打ち出してはいない。本報告では、我々が熊本市で一般市民を対象として行った面接調査の結果を示すとともに、地方におけるデジタルディバイドの実態について述べる。この報告を基にすることで、単なるハードインフラの整備を越えたレベルで、デジタルディバイドの下位層に対するより効果的な政策立案が可能となると考えられる。Japanese Government has announced that they will lay the foundation of 'Electronic-Government' (e-Government) in the 2003 financial year in their report on e-JAPAN Plan. However, the report does not provide a clear strategy to address the lower layers of the digital divide. The lower layers of the digital divide encompass for example, users who may not receive any benefit from e-Government and local e-Government. In this paper, we will discuss the results of interviews conducted with the general residents in Kumamoto city. We also illustrate the current situation of the digital divide in the local area.The aim of this report is to contribute to efficient government policy making to address on the lower layers of the digital divide users that includes development of infrastructure for this plan.