著者
新井 正 高山 茂美 高村 弘毅 関根 清 立石 由巳 小林 徹 庄田 正宏
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.412-417, 1975-06-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
6
被引用文献数
1

Geographical distribution and time variation of atmospheric carbon-dioxide in and around Tokyo were investigated. The instrument used in this survey is an ASSA-1 infrared analyzer (0_??_1000 ppm, CO2). The sampling and analyzing systems are illustrated in Fig. 1. Special attentions are taken to eliminate dust and water vapor in the atmosphere by use of a precipitation bottle and a hand-made condenser. Geographical distributions of CO2 are shown in Fig. 2. Fig. 2-A shows the change of CO2 off coast of Tokyo, and Figs. 2-B and C are the distributions in and around Tokyo. The influence of CO2 originated from Tokyo and its vicinity extends more than 100km. Several examples of the diurnal variation of CO2 at Rissyo University (Shinagawa-ku, Tokyo) are shown in Fig. 3. Daily maximum concentration of CO2 usually exceeds 500ppm and sometimes it reaches about 660ppm. These extreme values are observed under a calm and inversion condition, particularly in the colder seasons. In Fig. 4, the seasonal variation of CO2 at Rissyo University, both monthly mean value (circle) and monthly range, is illustrated. The concentration reaches its minimum in summer when combustion of fuel is less than other seasons and photosynthesis of plant is more active. The maximum value is observed in winter, and the extreme maximum is observed under a calm and inversion condition. The winter minimum does not differ largely from that in summer, because strong winter monsoon eliminates high concentration. The annual mean value during 1972_??_1973 is about 350ppm, which exceeds the world average by 25ppm.
著者
高村 弘毅
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.61-73, 1985-04-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
13

地下水環境の悪化は,地下水資源の開発ばかりでなく,地形の改変やビルの建設などに起因する場合もある。たとえば,道路の建設や鉄道の敷設に伴う線形掘削は,地下水位の低下や水質汚染,井戸の枯渇といった現象を引き起こす。本研究は,常磐自動車道柏市工区付近における線形掘削工事によって発生するものと予想される地下水位の変動を,1975年~1976年にわたる調査によって得られた資料に基き,数値解析によって予測することを目的とした。 対象地域の地層は,関東ローム層・常総粘土層が全体をおおい,その下に成田層群が存在するが,この地域の東部では,常総粘土層の下位に竜ケ崎砂層が分布して成田層をおおっている。地下水は,ローム層・成田層の砂層中に存在している。この地域の地下水は,おおむね降雨によって涵養されている。この地下水は,台地より低位の部分,すなわち台地端の沖積低地及び洪積台地中にある開析谷へ自然に流出する場合と,人工的な汲み揚げによる場合,さらにより深い層へ浸透する場合とがある。以上のことから,この地域のシミュレーションには自由地下水の水平二次元モデルを用いることとした。また,開放掘削した場合について,鉛直二次元モデルにより水平モデルの検証を行なった。 計算対象領域は幅1 km,長さ3.5 kmの長方形の領域で,境界条件は現状,排水,止水の3種類を設定した。計算は二段階に分けて行ない,第一段階では帯水層常数の決定を,第二段階では線形掘削による影響の予測を目的とした。 数値解折によって得られた結果は以下のとおりである。 (1)排水条件を与えた場合,台地全般にかなりの水位低下が生じることが予想される。 (2)止水した場合,地下水上流側で2m位の水位上昇が生じる場所が予想される。下流側での水位降下は一部で2m以上になることがあるが,排水の場合に比べると,その影響ははるかに小さい。 (3)区間によって条件を変えた場合,条件が変わる地点の前後300m位の区間において,条件を変えたことの影響があらわれる。 (4)鉛直二次元モデルを用いて排水時の計算を行なった結果,鉛直方向の水頭変化はほとんどなく,自由地下水面は水平モデルによって求めたものとかなり近い位置になった。このことから,水平モデルの仮定が無理なく適応できることがわかった。
著者
高村 弘毅 小玉 浩
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.4, 2006

1.降雨・地下浸透蒸発観測システムの概要<BR> この装置は、降雨による雨水の蒸発量、浸透量を計るライシメータおよび気象観測システムで構成されている。<BR> 立正大学熊谷キャンパス内林地に、縦2.5m、横1.2m、深さ1.6mの穴を掘り、そこにステンレス製のライシメータカラム(1m×1m×1.4m)を電子天秤上に設置し、現場の関東ローム層土壌を充填した。電子天秤の最大計量可能重量は3000kgで、分解能(最小目盛り)は降水量1mmに相当する1kgである。ライシメータの表面積が1m<SUP>2</SUP>であるので、1kgの重量減少は、カラムの底からの排水がみられない場合蒸発高は1mmとなる。 <BR>ライシメータカラムには、上部より200mm間隔に、水分センサー(TDR)、地温センサー(サーミスタ)、EC(電気伝導度)センサー、pHセンサーの4種類、各6本を挿入した。ライシメータカラムの底には浸透量観測用として、内径20mmのパイプの中心が底より40mmの位置に横向きに取り付けてある。 気象観測システムは、2.5mのポールに、風向・風速計、純放射計、温度計、湿度計、雨量計が取り付けてある。上記の各種データをデータロガにより任意の時間間隔でデータを記録することができる。解析に用いたデータは1時間間隔である。<BR>2.観測結果<BR> 2004年3月30日午後4時から31日午前3時までに降った計34mmの雨について、ライシメータカラム内の土壌水分の変化をみると、深度の浅いところから変化し、深度120cmではほとんど変化が認められなかった。pHは、深度40cmではpH6.4から6.8の間で変化。深度80cmではpH7.4前後を示し、各深度のなかで最も高かった。深度100cmではpH6.4から6.8の間で変化し、深度120cmではpH6.0前後で変化した。電気伝導度も深度80cmが最も高くなっており、この深度に水質の変換点が存在している。地温は、深度の深いところが低く、深度の浅いところが高くなっている。また深度20cmでは、地温の日変化がみられる。深いところでは、上昇傾向ではあるが、顕著な日変化はみられない。 <BR> 台風接近による大雨時の観測データの分析結果について述べる。2004年10月8日午前11時から9日午後7時までの降雨191.5mm(台風22号)と、2004年10月19日午前11時から21日午前7時までの降雨121.5mm(台風23号)について解析した。電気伝導度は、深度60cm以外、雨量が増えると増加し、その後減少、ある一定以上の雨量になると変化がなくなり約100μS/cmに集まる。台風22号では降り始めからの降水量が115.5mmに達した時点で、台風23号では降り始めからの降水量が117.0mmに達した時点で集束状態みられる。深度100cmのみ電気伝導度がやや低い傾向にあった。<BR> 地温についてみると、台風22号と23号接近時ではかなり違う傾向を示した。台風22号接近時では、地温は日射が遮られるとともに減少し、降雨が止むと上昇に転じた。深度20cmでは、興味深い温度変化があらわれている。降雨強度が時間あたり10mmを超えると、減温傾向から反転し一時的に上昇する。台風23号接近時は、全体として増加傾向を示すが、深度20cmでは降雨強度の増加とともに急激に温度が上昇した。それ以外の深度では降雨にはあまり関係なく一定の増加率で温度が上昇した。<BR> 土壌水分の変化は、台風22・23号接近時とも類似の傾向を示した。深度が浅いところほど速く、また変化率も浅いところほど降雨に速やかに反応する傾向にあった。しかし、深度80cmと100cmの観測値に着目すると、反応の早さ、変化率の激しさが深度順とは逆転する現象がみられた。 <BR> 本研究は、立正大学大学院地球環境科学研究科オープンリサーチセンター(ORC)「プロジェクト3『環境共生手法による地下水再生に関する研究』」の一環として実施したものである。
著者
高村 弘毅 丸井 敦尚
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.86-90, 2006 (Released:2013-02-19)
参考文献数
16

Groundwater is well known as a natural resource that includes dissolved solution according to the geology, origin, flow route and storage condition. The calling code of the deep groundwater is divided by the saline concentration and condition, in usual. Brine, saline, brackish are the technical words of groundwater depended by the salinity, on the other hand, fresh and fossil are the words of groundwater condition. The study is introducing the previous studies and makes a scientific define of the Brine Water in the field of groundwater hydrology. The study also shows the sample of brine water in the Kanto basin, which is the largest and deepest deposit basin in Japan.
著者
鹿島 薫 那須 裕郎 奥村 晃史 本郷 一美 高村 弘毅 吉村 和久 小口 高 西秋 良宏 茅根 創 三宅 裕
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、これまで研究の遅れてきた中東および中央アジアにおける平野、盆地、湿地、湖沼などの陸地域における現地調査を行った。これらの地域では多数の遺跡が立地しており、それらを手がかりとして、最新の分析探査手法を用いながら、環境変動の実態を明らかとすることができた。そして地球環境が短期(10~100 年オーダー)で急激に変化してきたという事実とそれが遺跡立地に与えた影響を検証し、それらの結果から今後の地球環境の変動予測への応用を行った。