著者
吉村 和久
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.384-393, 2020-11-25 (Released:2021-02-25)
参考文献数
15

1980年代初頭、原因不明の免疫不全症候群がアメリカを皮切りに世界中に蔓延した。まだ原因も治療法もわからないころは、エイズを発症したらほぼ1年以内に命を落とす、いわゆる現代の黒死病として恐れられた。しかし、2020年現在では、早期発見・早期治療を行えば、非感染者とほぼ同等の寿命を全うできるようになった。なぜなら、現在使われている抗HIV薬は強力かつ副作用が少なく、非常に飲みやすいためである。ここに至るまでには、治療薬開発の長くて苦しい道のりがあった。今回、30年以上にわたる抗HIV薬の開発の歴史をまとめてご紹介する機会を得、あらためてこれまでの治療薬研究の道のりを振り返りながら、今後の治療方法の方向性を考えていきたい。
著者
千葉 隆司 貞升 健志 長島 真美 熊谷 遼太 河上 麻美代 浅倉 弘幸 内田 悠太 加來 英美子 糟谷 文 北村 有里恵 小杉 知宏 鈴木 愛 永野 美由紀 長谷川 道弥 林 真輝 林 志直 原田 幸子 藤原 卓士 森 功次 矢尾板 優 山崎 貴子 有吉 司 安中 めぐみ 内谷 友美 神門 幸大 小林 甲斐 長谷川 乃映瑠 水戸部 森歌 三宅 啓文 横山 敬子 吉田 勲 浅山 睦子 井田 美樹 上原 さとみ 小野 明日香 河村 真保 小西 典子 小林 真紀子 齊木 大 下島 優香子 鈴木 淳 西野 由香里 村上 昴 森田 加奈 吉丸 祥平 木本 佳那 新藤 哲也 堀田 彩乃 小林 千種 大塚 健治 吉川 聡一 笹本 剛生 稲葉 涼太 小峯 宏之 佐伯 祐樹 坂本 美穂 塩田 寛子 鈴木 淳子 鈴木 俊也 高久 靖弘 寺岡 大輔 中村 絢 成瀬 敦子 西山 麗 吉田 正雄 茂木 友里 飯田 春香 伊賀 千紘 大久保 智子 木下 輝昭 小杉 有希 斎藤 育江 高橋 久美子 立石 恭也 田中 優 田部井 由紀子 角田 徳子 三関 詞久 渡邊 喜美代 生嶋 清美 雑賀 絢 鈴木 仁 田中 豊人 長澤 明道 中村 麻里 平松 恭子 北條 幹 守安 貴子 石川 貴敏 石川 智子 江田 稔 岡田 麻友 草深 明子 篠原 由起子 新開 敬行 宗村 佳子 中坪 直樹 浜島 知子 野口 俊久 新井 英人 後藤 克己 吉原 俊文 廣瀬 豊 吉村 和久
出版者
東京都健康安全研究センター
雑誌
東京都健康安全研究センター研究年報 (ISSN:13489046)
巻号頁・発行日
no.71, pp.39-46, 2020
著者
西藤 清秀 青柳 泰介 中橋 孝博 篠田 謙一 濱崎 一志 石川 慎治 花里 利一 吉村 和久 佐藤 亜聖 宮下 佐江子
出版者
奈良県立橿原考古学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

シリア・パルミラにおける葬制に関わる研究を目的として、パルミラ遺跡北墓地に所在する129-b家屋墓の発掘調査をシリア内戦の激化で中断する2010年まで実施した。しかし、内戦の激化はその後の現地調査を不可能にさせたたが、129-b号の内外部の復元を図上でおこなった。また、出土した頭骨の顔を復顔し、その頭骨が収められていた棺に嵌め込まれていた胸像の顔との比較をおこなった。その結果、胸像は死者の肖像と言えることがわかった。さらにヨーロッパや日本の博物館や美術館に所蔵されているパルミラの葬送用胸像を中心にパルミラ由来の彫像を3次元計測した結果、顔の部位の配置にある一定のルールが存在することが判明した。
著者
西藤 清秀 吉村 和昭 岡崎 健治 篠田 謙一 米田 穣 吉村 和久 板橋 悠 阿部 善也
出版者
奈良県立橿原考古学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2022-04-01

2022年度から2025年度にマカバ1号墳のできるだけ多くの石室の調査を実施し、副葬品の考古学的分析、人骨の人類学的分析や理化学分析を通して被葬者の人体的特性や集団構成、食性、出生地の同定を行う。またマカバ第1号墳の被葬者との特性の比較を行うために、1号墳の隣接地に所在するマカバ古墳群東地区の古墳を調査し、1号墳と同様の分析を実施する。最終年度の2026年には補足調査・分析を行い、結果をまとめる。
著者
貞升 健志 吉村 和久
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.314-323, 2022-10-31 (Released:2022-11-18)
参考文献数
25

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査は,全国の地方衛生研究所(地衛研)を中心に2020年 1 月末にほぼ整備された.当初は国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに準じたコンベンショナルPCR法と塩基配列解析を組み合わせた核酸増幅検査法であったが,直ぐにリアルタイムPCR法による方法(感染研法)に変更となり,検査試薬も感染研から配布された. 3 月以降,民間検査機関での新型コロナウイルス検査が開始され,地衛研としても,民間検査機関における検査の立ち上げに協力した.その後,感染研法に変わる種々の検査試薬が厚生労働省で体外診断用医薬品として承認されるようになった.2020年12月には,感染力が強いSARS-CoV-2の変異株が出現した.WHOの懸念される変異株(Variants of Concern; VOC)に指定されたアルファ株等の変異株の同定や解析のために,地衛研においても,変異株スクリーニング検査やゲノム解析に関与することとなった.その後の流行は,変異株の変遷とともにあり,地衛研の業務としても,次世代シーケンサーによるゲノム解析や変異株サーベイランスが加わった.本稿では,地方衛生研究所での検査体制の構築から変異株に対する対応を含めて,この 3 年間の出来事を記述する.
著者
吉村 和久 山本 綾子 中橋 孝博 西藤 清秀
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2004年度日本地球化学会第51回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.24, 2004 (Released:2007-02-23)

シリアのシルクロード最西端のオアシス都市パルミラにおいて地下墳墓から見出された多数の人骨と歯には、高フッ素症の兆候が認められた。冬季に地中海からの水蒸気がレバノン山脈に雨をもたらし、それが地下水となってパルミラで湧出しオアシスをつくる。乾燥地域であるパルミラでは、水の蒸発に伴い溶存成分が濃縮される。パルミラ地域のカナートと、湧泉、浅井戸、深井戸あわせて13の天然水試料について分析を行ったところ、この地域に石灰岩が分布するために、カルシウムイオン濃度が高かった。また、フッ化物イオン濃度は0.3から3.0 ppmであり、ホタル石の溶解平衡によりフッ化物イオン濃度が制御受けていることがわかった。今から約二千年前においても、古代パルミラの人たちは3.0 ppmを超えることはないが、高フッ素症が発症するようなフッ素高濃度の水を飲用としていたものと推定される。古代パルミラ人の歯のフッ素濃度についても議論する。
著者
青木 雅美 栗崎 弘輔 園山 幸希 冨田 麻井 藤川 将之 池田 善文 岡本 透 山田 努 眞崎 美穂 松田 博貴 吉村 和久
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.31, 2009

山口県秋吉台長登銅山の銅は奈良の東大寺大仏建立の際に用いられたと伝えられている。鉱業活動初期には酸化帯、後には硫化帯の銅鉱石を利用したと推定されており、硫化帯の銅鉱石製錬による硫黄酸化物の発生により局地的に酸性降下物量が増大し、それに伴い植生変化が生じたと予測される。石筍は年縞を持つため絶対年代が決定可能であり、イオン交換平衡により共沈する硫酸イオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオンの含量や、炭素安定同位体比から植生情報を抽出することができる。復元した滴下水中に含まれる硫酸イオン濃度の変動から硫化帯の銅鉱石製錬由来の人為的な局地的酸性雨の影響を読み取った。炭素安定同位体比、マグネシウムおよびストロンチウム濃度の変動からは酸性雨に伴う変化が読み取れた。これらの結果は現存する発掘資料や古文書などとも合致しており、石筍を用いることで連続的な過去の人為的環境変遷を復元することができた。
著者
西藤 清秀 青柳 泰介 吉村 和昭 樋口 隆康 中橋 孝博 篠田 謙一 濱崎 一志 宮下 佐江子 豊岡 卓之 石井 香代子 石川 慎治 中橋 孝博 濱崎 一志 篠田 謙一 吉村 和久 宮下 佐江子 花里 利一 佐藤 亜聖 石川 慎治 後藤 完二 佐々木 玉季 吉村 和久 星 英司 鈴井 恭介 アサド カーレッド アサド ワーリッド
出版者
奈良県立橿原考古学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

パルミラ遺跡北墓地129-b号家屋墓の発掘調査を通してパルミラ古代墓制の変遷が理解できつつある。この墓にローマ人が関与する可能性も碑文から読み取れる。この調査には3次元計測システムを活用し、倒壊していた家屋墓の復元も試み、一部視覚化が出来ている。この墓の倒壊に関わる重要な要因として地震の痕跡を墓周辺で検出した。さらにパルミラ滅亡後に1歳未満の乳児が129-b号墓周辺に故意的に埋葬されている事実も確認している。
著者
鹿島 薫 那須 裕郎 奥村 晃史 本郷 一美 高村 弘毅 吉村 和久 小口 高 西秋 良宏 茅根 創 三宅 裕
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、これまで研究の遅れてきた中東および中央アジアにおける平野、盆地、湿地、湖沼などの陸地域における現地調査を行った。これらの地域では多数の遺跡が立地しており、それらを手がかりとして、最新の分析探査手法を用いながら、環境変動の実態を明らかとすることができた。そして地球環境が短期(10~100 年オーダー)で急激に変化してきたという事実とそれが遺跡立地に与えた影響を検証し、それらの結果から今後の地球環境の変動予測への応用を行った。
著者
姚 俊学 吉村 和久 栗崎 弘輔 井倉 洋二 高相 徳志郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.785-789, 2011 (Released:2011-11-28)
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

クロモトロープ酸を担持した長さ1 cmの陰イオン交換カラムを用いて,既に報告した微量ホウ素のオンライン吸光光度定量法の改良を行った.pHを3にした試料を流すだけでカラム内での錯生成を促進することができ,その後pHを8に変えて段階溶離を行うことで,ホウ素を安定な錯体として未反応の呈色試薬などから分離できた.その吸光定量を350 nmで行った.試料3.2 cm3を用いたときの分析時間は約12分,検出限界は0.06 μg dm−3であった.既報に比べて,分析時間および感度を大幅に改善できた.本法を琉球列島西表島の天然水中のホウ酸の分析に応用した.降雨および二つの河川水中のホウ素濃度は,それぞれ3.1~40.8,20.3~28.5,14.7~20.9 μg dm−3であった.いずれの場合も,非海塩性由来のホウ素の分率は高く,アジア大陸からの長距離移流によるものであることが示唆された.