- 著者
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高橋 典嗣
- 出版者
- 一般社団法人 日本航空宇宙学会
- 雑誌
- 日本航空宇宙学会誌
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.5, pp.123-128, 2017
<p>地球に衝突すると大規模な環境変化が危惧される直径1 km以上の地球接近小惑星(Near Earth Asteroids : NEA)の衝突を事前に察知するため,そのすべてを検出して軌道を決めることを目標にスペースガードの観測が始められた.現在は,そのほとんどが検出されたと推察され,新たな目標に「大都市に衝突すると壊滅してしまう自然災害となる直径150 m以上で地球に0.05 AU(約784万km)以内に近づくNEAを潜在的に危険な小惑星(Potentially Hazardous Asteroids : PHA)と定義し,そのすべてを検出すること」と改められた.その直後,2013年2月15日にロシアのチェリャビンスク州に落下し,大きな自然災害を発生させた小惑星の直径は,僅か17 mであった.小惑星衝突による自然災害から地球を守るため,地球に接近するより小さな小惑星(Small PHA : SPHA)の観測,新たなリスク評価,具体的な対策の検討が求められている.</p>