著者
高橋 幸治
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.76-78, 2021

患者は85歳,男性。クルミを摂取した直後から頸部痛が出現した。CT検査では頸部食道に食物と考えられる低吸収物を認め,上部消化管内視鏡検査では,頸部食道に全く咀嚼されていないクルミを認めた。内視鏡でクルミを胃内に押し込み,回収ネットを用いて体外に摘出した。食道内に食道狭窄や腫瘍性病変,潰瘍成形などは認めず,処置後は症状が改善した。本症例はクルミによるステーキハウス症候群であるが,病歴より本疾患の可能性が高いと考えた場合は,速やかに内視鏡検査を行なうべきである。