著者
高田 明典
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.118-137, 2020-10-01 (Released:2020-10-01)
参考文献数
66

私たちの社会における価値観の形成に関して,「物語」が果たす役割は決して小さくない.物語は,この社会の価値観を形成し変化させうるものであると考える.本論文では,物語分析のうち,特に物語の訴求力を分析する方法としての「物語訴求構造分析」について論じる.まず,物語論及び物語分析の基礎となる理論を説明する.続いて,物語分析及び物語論の研究史を概観する.また,物語分析において用いられる主要な手法について概観し,その概要について述べ,物語の訴求構造分析手法の応用例を提示する.
著者
竹野 真帆 高田 明典
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.2761-2771, 2009-12-15
被引用文献数
1

コンピュータゲームやアニメーションや映画などの娯楽制作物は,今日では,私たちの生活に深く影響を及ぼしている.私たちはそれらをプレイもしくは視聴することによって価値観を形成し,その価値観とともに生きている.娯楽に関する分析的研究の主たる目的とは,したがって,それによってどのような価値観が,どのようにして形成されるかを知ることにあるといえる.ゲーム研究や物語論の分野において作品の分析手法に関しての多くの議論が行われてきたが,実際にコンピュータゲームの分析に適用可能な手法が提示されている報告は少ない.一方で,物語構造分析の分野には,多くの手法の蓄積が存在している.本研究の目的は,それらの物語構造分析の手法をコンピュータゲームの分析に適用しうる手順を模索することにある.Barthesによって用いられた標準的な構造分析の手順を検討し,そこで用いられている手法に若干の変更を加えた手法を提案している.さらに,RPG "テイルズウィーバー" の分析例を示し,そこで抽出された訴求構造について検討を加えている.Entertainment products such as video games, animations and movies deeply influence our life nowadays. We form sense of values by playing or viewing them and also live by those values. Therefore the primary goal of analytical entertainment studies is to know what those values are and how they are formed. Many arguments about analysis method for video games have been made in the domain of game studies and narrative studies. But there are very few reports that have methods available for video game analysis in actual use. On the other hand there are many methods in structuralism's analysis. The purpose of this study was to improve the methods of structuralism's analysis of narrative so that we can apply them to video game. We examined standard procedures used with structuralism's analysis basically along with Barthes' method, and suggested implementing several changing to those procedures. A sample analysis of RPG "Tales Weaver" was presented and resulted appealing structure was discussed.
著者
高田 明典
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.2, pp.1-4, 2009-08-14

コミックやアニメーション,コンピューターゲームやコマーシャルフィルムや映画などの娯楽制作物は,今日では,私たちの生活に深く影響を及ぼしている.私たちはそれらをプレイもしくは視聴することによって価値観を形成し,その価値観とともに生きている.娯楽に関する分析的研究の主たる目的とは,したがって,それによってどのような価値観が,どのようにして形成されるかを知ることにあると言える.本研究の目的は,それらの娯楽制作物の訴求構造を知るために,物語構造分析の手法を適用可能であるように精緻化することにある.コミック 『DEATH NOTE』,『CHANEL No.5』 のコマーシャルフィルム,RPG 『テイルズ・ウィーバー』 についての分析結果を提示し,それらの訴求構造に関して検討した.Entertainment products such as comics, animations, video games, ad film and movies deeply influence our life nowadays. We form sense of values by playing or viewing them and also live by those values. Therefore the primary goal of analytical entertainment studies is to know what those values are and how they are formed. The purpose of this study was to improve the methods of structuralism's analysis of narrative so that we can apply them to know apealing structures of entertainment products. Three sample analysis - comic "DEATH NOTE", ad film "CHANEL No.5" and RPG "Tales Weaver"- were presented and resulted appealing structures were discussed.
著者
高田 明典
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.155-177, 2007-04-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
24
被引用文献数
4 4 4

日本において耕作放棄地の面積は拡大の一途をたどっている. 本研究では, 耕作放棄地の拡大には土地の履歴が関連していると考え, 群馬県吉井町上奥平の水田所有農家を対象として, 耕作放棄と土地の履歴との関係を中心に考察を試みた. その結果, 研究対象地域の耕作放棄地は土地条件の悪い農地や, 農地改革によって解放された農地の多い谷や支谷に集中していた. また, 土地台帳から土地の履歴と耕作放棄の関係をみると, 違法開墾地の100%, 農地解放地の73%, 荒地免租年期地の53%, 不在村土地所有者の農地の51%, 地目変換地の47%が耕作放棄されていた. また, 耕作放棄の背景として, 農業労働力の弱体化, 農地の貸借・売買を通じた土地の流動性の低さ, ゴルフ場開発に伴う土地買収, 米の生産調整政策や中山間地域等直接支払制度などの農業政策の影響が存在することが明らかとなった.
著者
竹野 真帆 高田 明典
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.5, pp.1-5, 2012-07-07

若年者がオンラインゲームを利用する際の問題は広く議論されているものの,有効な解決策は見出されていない.本研究においては,若年者のオンラインゲームの利用の実態把握が必要と考え,オンラインゲーム 「アメーバピグ」 での若年層利用がどの程度あるかを調べた.また,そのゲーム中で小中学生ユーザーの会話ログを取り,それに対してテキスト分析を行った.さらに,中学生約 1000 人に対してアンケートを行い,オンラインゲームの認知度等の把握を試みた.おおまかではあるが利用実態の概要を示しつつ,さらなる問題に関して考察を行った.Although the problems occurred when young people use online game have broadly discussed, we could not find out effectvie solution to those problems. The purpose of this study is to know actual conditions of online game using among young people. To this end, we investigated young users in online game "Ameba-pig", and analyzed the conversation log by the method of text analysis. Also we tried to figure out the actual conditions of young online game users by questionnaire survey to more than one thousand junior high school students. Outlines of actual conditions of young game users were presented roughly and the further problems were discussed.
著者
竹野 真帆 高田 明典
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.18, pp.1-6, 2013-03-08

筆者らは,これまで,MMORPG やアメーバピグの調査・分析を通して,若年層プレイヤーの実態把握に務めてきた.しかしながら,コンテンツ側の検討のみでは,その利用実態の把握が十分ではないことから,本研究においては,中学生 3000 人程度に対してアンケート調査を実施し,当該層におけるネットコミュニケーションの現状把握を試みた.アンケートへの回答には,トラブルに実際あったというものも存在しており,どのような属性を持った利用がトラブルに遭遇しているのか等のケース別の検討を,併せて行なった.We have tried to grasp real circumstances about young players' use of online games by surveying and analyzing MMORPG and Ameba-pigg. Analyzing method we have used was only for narrative structure of the contents, therefore we could have understood the partial aspect of the users actual circumstances. The main purpose of this research was to know the real circumstances about the use of online communication tools in young players, especially in junior high school students. For this purpose we surveyed more than three thousands junior high-school students. There were some students who had experienced troubles in the Internet, also we tried to determine the aspect of troubled students.
著者
竹野 真帆 計良 桃子 塩澤 可菜 高田 明典
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.18, pp.1-6, 2012-03-19

今日では,MMORPGに代表されるようなオンラインゲームが広くプレイされるようになっている.しかし,若年者がオンラインゲームを利用する際の問題は広く議論されているものの,有効な解決策は見出されていない.本研究の主たる目的は,若年者(特に小学生)のオンラインゲームの利用の実態を知ることにある.そのため本研究ではオンラインゲーム「アメーバピグ」での小学生の利用がどの程度あるかを調べ,また,そのゲーム中で小学生プレイヤーにインタビューを行なって,実態の把握の第一段階とした.おおまかではあるが小学生の利用実態の概要を示しつつ,さらなる問題に関して考察を加えた.Online games such as MMORPG are popularly played nowadays. Although the issues about the use of online games in young people are broadly argued, we do not have effective solution to these problems. The main purpose of this researh was to know the real circumstances about the use of online game in young players, especially in elementary school students. We have collected data about elementary school students playing online game "Ameba pigg" by means of a method of half structualized interviews. We also investigated the ratio of elementary school students in the game. A general view of the students in the game was roughly presented and furthur issues were discussed.
著者
竹野 真帆 高田 明典
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.18, pp.1-6, 2013-03-08

筆者らは,これまで,MMORPG やアメーバピグの調査・分析を通して,若年層プレイヤーの実態把握に務めてきた.しかしながら,コンテンツ側の検討のみでは,その利用実態の把握が十分ではないことから,本研究においては,中学生 3000 人程度に対してアンケート調査を実施し,当該層におけるネットコミュニケーションの現状把握を試みた.アンケートへの回答には,トラブルに実際あったというものも存在しており,どのような属性を持った利用がトラブルに遭遇しているのか等のケース別の検討を,併せて行なった.We have tried to grasp real circumstances about young players' use of online games by surveying and analyzing MMORPG and Ameba-pigg. Analyzing method we have used was only for narrative structure of the contents, therefore we could have understood the partial aspect of the users actual circumstances. The main purpose of this research was to know the real circumstances about the use of online communication tools in young players, especially in junior high school students. For this purpose we surveyed more than three thousands junior high-school students. There were some students who had experienced troubles in the Internet, also we tried to determine the aspect of troubled students.
著者
竹野 真帆 高田 明典
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.2761-2771, 2009-12-15

コンピュータゲームやアニメーションや映画などの娯楽制作物は,今日では,私たちの生活に深く影響を及ぼしている.私たちはそれらをプレイもしくは視聴することによって価値観を形成し,その価値観とともに生きている.娯楽に関する分析的研究の主たる目的とは,したがって,それによってどのような価値観が,どのようにして形成されるかを知ることにあるといえる.ゲーム研究や物語論の分野において作品の分析手法に関しての多くの議論が行われてきたが,実際にコンピュータゲームの分析に適用可能な手法が提示されている報告は少ない.一方で,物語構造分析の分野には,多くの手法の蓄積が存在している.本研究の目的は,それらの物語構造分析の手法をコンピュータゲームの分析に適用しうる手順を模索することにある.Barthesによって用いられた標準的な構造分析の手順を検討し,そこで用いられている手法に若干の変更を加えた手法を提案している.さらに,RPG “テイルズウィーバー” の分析例を示し,そこで抽出された訴求構造について検討を加えている.
著者
竹野 真帆 大槻 一彦 高田 明典
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.79, pp.1-6, 2014-03-06

過去,主として民俗学や社会学・哲学などの分野において,多くの研究者が神話・祝祭・遊戯・舞踊などなどの文化現象の意味を見出そうとして研究してきた.今日においては,コンピューターゲームのような新しいタイプの遊興物が,新たな文化現象を形成しつつあると言える.しかしながら,一方で,かつて隆盛を極めた当該分野の文化現象にまつわる研究状況とは異なり,学術的にコンピューターゲームを研究している研究者は多くない.そのような状況は,文化研究にとって好ましいものではない.その理由としては,この分野で用いられる分析手法によって実利的な研究を構成することが必ずしも簡単ではないことがあげられる.その状況を改善するために,マーケティング調査などにおいても利用可能な,訴求力を分析するための訴求構造分析の手法を構築し提案することを本研究の主たる目的とした.その目的に沿って,ヒットしたゲームの要素を項目化し,数量化 III 類列の分析を施すことによって,その訴求構造の抽出例を示した.There have been various studies to know meanings of cultural phenomena. Tn old days, many researchers mainly in the area of folklore, sociology and/or philosophy have studied cultural phenomena such as myth and legend, folk tales, festivals, playing, dances, and so on. Nowadays people have seen new types of cultural phenomena like computer games, but researchers in this research area are not so many as compared to old days and these situations are not desirable for academic research and studies of cultural phenomena. There exist difficulties to construct practical research, and that is the reason why many researchers have not engaged in this research area. Therefore main aim of this paper was to construct a method to analyze appealing structure of computer games that can be utilized in marketing research. To accomplish this aim we categorize factors of top seller games and used Quantamanized Theory III, and then we analyzed an appealing structure of those games.
著者
高田 明典
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2009-EC-14, no.2, pp.1-4, 2009-08-14

コミックやアニメーション,コンピューターゲームやコマーシャルフィルムや映画などの娯楽制作物は,今日では,私たちの生活に深く影響を及ぼしている.私たちはそれらをプレイもしくは視聴することによって価値観を形成し,その価値観とともに生きている.娯楽に関する分析的研究の主たる目的とは,したがって,それによってどのような価値観が,どのようにして形成されるかを知ることにあると言える.本研究の目的は,それらの娯楽制作物の訴求構造を知るために,物語構造分析の手法を適用可能であるように精緻化することにある.コミック 『DEATH NOTE』,『CHANEL No.5』 のコマーシャルフィルム,RPG 『テイルズ・ウィーバー』 についての分析結果を提示し,それらの訴求構造に関して検討した.