著者
久光 彩子 曽我部 陽子 寺田 剛 大隅 有理子 寺田 早百合 平野 綾香 杉田 麻衣 松尾 扶美 片山 涼子 荻野 直人 高見 晋一 桜谷 保之
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.43, pp.91-104, 2010

On 22 July 2009, partial solar eclipse was observed in most regions in Japan and a total solar eclipse was observed in the Southwest Islands. At the Nara Campus of Kinki University, located in Nara Prefecture, central Japan, the sun fell into eclipse at 9:46, the maximum eclipse occurred at 11:05 (82% eclipse) and the eclipse finished at 12:25. The weather was cloudy and occasionally the sun peeped through the clouds.At the maximum eclipse, the following phenomena were observed:1) The ratio of singing individuals of two species of cicada, Platypleura kaempferi, and Graptopsaltria nigrofuscata, singing in daylight was reduced, hereas he higurashi cicada, Tanna japonensis, which sings at early morning and evening, began to sing actively.2) The katydids, Gampsocleis buergeri ,which sing in daylight, were silent.3) Two species of bird, Hypsipetes amaurotis and Cettia diphone were silent.4) The activities of flight butterfly species, Zizeeria maha, declined.5) The leaves of the silk tree, Albizia julibrrissin., which normally close at night, begun to close.6) The amount of solar radiation decreased and the air temperature declined.The response of some animals and plants to the eclipse may be coused by these weather factors which caused by solar eclipse.
著者
高見 晋一
出版者
日本農業気象学会
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.119-125, 2006 (Released:2007-06-06)
参考文献数
20

The law of the minimum, reputedly originally conceived by Justus von Liebig more than one hundred fifty years ago, is a powerful tool in understanding processes with unknown details. The objective of this study was to provide a rationale and some evidence for such a claim. To do so, I assume that the law of the minimum is to be specified as the linear response and plateau (LRP) model: Y = min {X, U}, where X is the limiting variable when it is smaller than U, and U the limiting variable when it is smaller than X. These variables may be either stocks or flows. The study shows that the law thus specified has nothing to do with empiricism but is purely a form of thinking that can be intuitively or logically understood by anyone. As such, it can be applied not only to biological, chemical, and physical processes of academic interests, but also to various processes in our daily lives. In this article, the following examples were given: (ii) the dry-matter partition associated with crop production, (i) crop growth in an environment of abundant resources, and (iii) evapotranspiration in relation to precipitation and net radiation. The law of the minimum is also shown to be useful in analyzing the relationship between sink and source variables to identify the limiting factor.
著者
Ahmad Sayeed 小葉田 亨 高見 晋一
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.p327-332, 1986-09

作物の干ばつ抵抗性は, 乾燥耐性(植物体水ポテンシャルの低下にともなう生育阻害, 障害の発現程度)と, 乾燥回避性(環境の乾燥化にともなう水ポテンシャルの低下程度)とに依存するものと考えられる. 本研究は, これら2つの機構がイネ幼植物の干ばつ下における生存能力の品種間差にどのように関与しているかを明かにしようとした. 第1の実験では, 主として根圏の違いに起因する回避性の影響を除くため, 小容量(0.5 L)のポットに日本型稲4品種(水稲1, 陸稲3品種)を栽培し, 第6葉期に断水処理をおこなった. その結果, 全品種とも葉身の水ポテンシャルはほば同様に低下したにもかかわらず, 葉身の枯死程度は, 水稲が最も小さかった. 第2の実験では, 比較的大容量(4 L)のポットに, 日本型, インド型稲5品種(水稲2, 陸稲3品種)を栽培し, やはり第6葉期に断水処理をおこなった. その結果, 日本型, インド型稲とも, 陸稲の方が水稲より日中の葉身水ポテンシャルは高かったが, 生存程度には一定の傾向が見られなかった. 従って, イネ幼植物の干ばつ下における生存能力の品種間差は, (1)根圏が制限された条件下では耐性によって, (2)根圏が大きくなり得る条件下では主として回避性によってもたらされるものと結論される.
著者
久光 彩子 曽我部 陽子 寺田 剛 大隅 有理子 寺田 早百合 平野 綾香 杉田 麻衣 松尾 扶美 片山 涼子 荻野 直人 高見 晋一 桜谷 保之
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Agriculture of Kinki University (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.43, pp.91-104, 2010-03

2009年7月22日、日本各地で部分日食が観測され、南西諸島においては皆既日食が観測された。近畿大学奈良キャンパスの位置する奈良県では9時46分に日食が開始し、11時05分に太陽の82%が欠ける最大食に達した後、12時25分に終了した。当日の天気は曇りで、時々太陽が雲越しに見え隠れしていた。最大食時には、鳴き声を出す昆虫類ではニイニイゼミ、キリギリスが減少し、ヒグラシが増加した。鳥類ではヒヨドリの鳴き声、ウグイスのさえずりの聞こえる数が少なくなった。チョウは全体的に活動する種数、個体数が減少し、ネムノキの葉は就眠運動により閉じる傾向が見られた。気象観測データは日射量や気温が低下しており、生物の行動はこれらの影響を受けたものと考えられた。
著者
大野 宏之 横山 宏太郎 小南 靖弘 井上 聡 高見 晋一 WIESINGER Thomas
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.225-231, 1998-05-15
被引用文献数
17 13

気象庁で使用されているRT-1, RT-3, RT-4型の転倒桝降水量計について,固体降水に対する捕捉率を新潟県上越市において2寒候期にわたり観測した.捕捉率の計算に必要な真の降水量は,WMO「固体降水の比較観測に関する国際組織委員会」が定めた方法に準じて推定した.観測の結果,固体降水の捕捉率はいずれの降水量計でも風速が強いほど減少し,風速4mにおいては無風時の60%程度であった.減少の程度は,RT-3, RT-1, RT-4の順で大きかった.準器に着雪が発生するなど,国際組織委員会が定めた方法は,北陸地方の降雪の特性には必ずしも良く対応していない点があることが観察された.
著者
小葉田 亨 高見 晋一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.212-216, 1989-06-05
被引用文献数
3 4

旱ばつに対して, 登熟期のイネがどのような葉身水ポテンシャル(LWP)および穀実生産反応を示すかは明らかにされていない. そこで, 日本型の陸稲5品種と水稲1品種(Oryza sativa L.)を用いて, 畑栽培し, 8月15日からひき続き灌漑する区と停止した区について, 出穂後における止葉葉身の日中LWPの推移と乾物生産, 穀実生産量を調べた. 断水後(8月15日), 12日以内に全ての品種が出穂した. LWPは, 在来陸稲2品種では-1.4MPaまで低下した後旱1.1MPaまで回復した. また, 改良陸稲2, 在来陸稲1品種では-1.4MPaまで低下したまま低いレベルで推移した. 水稲品種ではLWPは-1.7MPaまで低下して, その後大部分の葉身は枯死した. いずれの品種でも, 登熟期間中の日中平均LWPが低下すると, 主稈全体及び玄米の乾物増加が抑制され, 品種を込みにすると日中の平均LWPと両乾物増加量との間にはそれぞれ高い相関があった. また主稈の玄米増加量と個体当たりの粗玄米収量との間には高い相関関係があった. 従って, LWPを高く保つ能力は, 圃場における登熟期の乾物生産及び穀実生産にとって重要であり, 日本型イネの中では在来陸稲品種がそのような能力が高いとみなされる.