著者
高野 修治 佐藤 浩一郎 松岡 由幸
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.123, 2013 (Released:2013-06-20)

本研究では,新しい人工物の創出手法として提案されている多空間デザイン法(Mメソッド)を用いて,プロのデザイナにビークルデザインをテーマとした事例適用を行った.Mメソッドは,デザインに用いる要素を整理する枠組みである多空間デザインモデルの視点に基づき,発想法と分析法を組み合わせるデザイン法である.この事例適用の結果を通じてMメソッドの有用性が確認された.
著者
高野 修 辻 隆司
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.119, no.8, pp.567-579, 2013-08-15 (Released:2013-11-22)
参考文献数
44
被引用文献数
7 5

石油探鉱開発業務における三次元地質モデリングは,地質構造,堆積盆石油システム,層序,貯留層などを対象として,多分野技術統合手法によって行われている.このうち三次元貯留層モデリングでは,堆積学・シーケンス層序学やサイスミック地形学に基づく確定論的地質概念モデリングにより地質学的枠組みや拘束条件を決定し,それと坑井岩石物理学,地震探査反射波属性データを用いることによって地球統計学的確率論的モデリングを行い,三次元数値モデルを構築する.データ条件や目的に応じて,多種多様なモデリング手法の中から最も適切な手法と手順を選択することが,より現実に即した効率的なモデリングを行う鍵となる.
著者
高野 修 西村 瑞恵 藤井 哲哉 佐伯 龍男
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.5, pp.776-792, 2009-10-25 (Released:2010-03-19)
参考文献数
28
被引用文献数
21 18

Since previous research revealed that most of the methane hydrates in the eastern Nankai Trough area occur in matrix pores of turbidite sandstones, the facies distribution of turbidite sandstones may be one of the important keys to evaluate the distributions and actual volume of methane hydrates in the eastern Nankai Trough area. This paper attempts to reconstruct depositional processes of submarine-fan turbidites, and examines the relationship between turbidite facies distributions and bottom simulating reflector (BSR) occurrence as a proxy of methane hydrate using sedimentologic and sequence stratigraphic methodology. First, 2D/3D seismic survey data and well data including cores and logs were used to identify turbidite facies, seismic facies, and depositional sequences. The targeted Plio-Pleistocene Kakegawa and Ogasa Groups can be divided into 17 depositional sequences, and include six seismic facies indicating submarine-fan elements and surrounding slope to basin-floor environments. Next, facies maps for each depositional sequence unit were created by plotting all information on seismic facies, 3D seismic geomorphology, and well facies data. The obtained facies maps reveal that 11 major submarine canyons functioned as positionally fixed sediment supply systems from main land Japan, along which submarine fans were formed in the forearc basins. Submarine-fan depositional styles changed through Plio-Pleistocene from a braided channel type, through small radial fan, trough-fill fan, and muddy sheet fan types, to a channel-levee system type. Finally, the facies maps of each depositional sequence were overlaid with the BSR distribution. The overlaid maps indicate that the BSRs occur on feeder channels, distributary channels, and proximal lobes of submarine fans, suggesting that methane hydrates selectively occur in coarser grained portions of a submarine fan. Because the lower part of the Kakegawa Group is mainly composed of braided channel-type submarine fan turbidites, the lower Kakegawa horizon serves one of the major horizons bearing methane hydrates in the eastern Nankai Trough area.
著者
高野 修治 佐藤 浩一郎 松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第58回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.34, 2011 (Released:2011-06-15)

サステナブルな社会の実現や新たな価値の創生に向けて,21世紀のデザインには,多様な場や価値観の時間軸変動への対応が望まれている.しかし,従来のデザインは,時間軸変動を考慮する方法論を有さないことから,結果として,多くの人工物が使用時間の経過に伴い価値を衰退させるに至っている.この現状を打破する方策として,場や価値観の多様性およびそれらの時間軸変動に対応する新たなデザインのパラダイムとして,タイムアクシス・デザインが提唱されている.本研究は,タイムアクシス・デザインを具現化する価値成長デザイン方法論の構築を目的とし, 本報では,包括的な視点からデザインを捉えることができる多空間デザインモデルに基づいた価値成長デザインのためのタイムアクシス・デザインモデルを提案する.
著者
高野 修 TAKANO Osamu
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
人間・文化・社会
巻号頁・発行日
pp.497-514, 1997-03-28

訴えの利益は、処分性とならび、取消訴訟の利用可能範囲を画する要件論であることから、現代社会における行政活動-の司法救済のあり方の問題として、さまざまな事件を契機に行政法学において盛んに論じられてきた。学説は、法律上保護されている利益説と法律上保護に値する利益説1)に大別できる。前者は、・裁判実務のとるところであり2)、救済を求めている利益が処分の根拠法律で保護されていることが必要であるとするのに対し、後者は、事実上の利益でも裁判的救済に値するものであればよいとする。理論的な両者の違いもさることながら3)、意味的には明らかに後者が広く、原告適格を拡大することになる。しかし、実際には、法律上保護されている利益が何か、実体法において一義的に明らかに定められているものではなく、ある利益がそれに当たるか否かは、処分の根拠法律や関連法規の解釈作業を通じて判断されなければならない。しかも、その解釈において実務は、解釈基準4)辛考慮要因5)を緩やかにとらえる傾向を示している。その結果、文言上は依然として法律上保護されている利益説をとっているが、実質的には法律上保護に値する利益説をとったとも解されうる判例が出現してきている6)。それだけに、訴えの利益に関しては、学説の理論的検討とは別に、具体事例を検討し、訴えの利益解釈の際に決め手とされている事項等を分析することが、実質的に重要となってきていると言えるだろう。本稿は、このような見地から、履行済ポスト・ノーティス命令に対して取消の訴えの利益を認めたヒノヤタクシー事件を扱うものである。ポスト・ノーティス命令の義務内容を一定期間文書を掲示する作為義務と解する限り、命ぜられた期間掲示をしたことにより命令の効果はなくなったと解せられ、掲示という事実行為も期間の満了により終了していて、取り消すべき対象が無くなっている7)はずである。それにも拘らず訴えの利益が認められた事情を探り、その法的構成を検討することが本稿の目的である。そのため、予備的問題整理の後、行政事件訴訟法9条かっこ書き、「取消によって回復すべき法律上の利益」の判断基準を判例の分析を通して明らかにする。その結論、当該不利益に他の救済手段がないこと、当該不利益が処分と法的当然の関係で結びついていること、からすれば事件は9条かっこ書きの場合に該当しない。次に、ポスト・ノーティス命令の直接の法効果を検討する。結論から言えば、ポスト・ノーティス命令の法効果を単なる文書掲示義務8)ととらえるだけでは足りない。文書内容を加えて検討することが必要であり、文書内容に謝罪や誓約が表明されているとき、掲示が期間の満了で終了しても、そのような文書が掲示されたことが労使関係に重要な意味を残すことは大いにある。かかるポスト・ノーティス命令の実質的意義が認められて、命令権限が定められているのであるから、適法な命令が使用者の名誉や信用を侵害するような場合、受忍義務が権限の前提にされていると構成されねばならない。結局、ポスト・ノーティス命令の義務内容は、履行と期間の満了によって消滅する単なる作為義務にとどまらないで、受命者に生じた名誉や信用の侵害が履行後もなお残っている限りその受忍を義務付けているものと解すべきである。以上が本稿の構成と内容である。