著者
黄 暁芬 宇野 隆夫 吉井 秀夫 河野 一隆 上原 雅文 米田 穣 河野 一隆 諫早 直人 宮原 晋吾 臼井 正 張 在明 塔 拉 魏 堅 王 曉〓
出版者
東亜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は4年間にわたり、対象調査地のフィールドを通して考古学、歴史学、地理情報システムや年代測定法などの学際的研究を展開していた。主な成果は下記3点にまとめられる。1.漢魏帝都と郡県城址の構造プランとその象徴性1)帝都建設における理念空間の完成:漢帝都長安の建設プランは、南山子午谷口から嵯峨郷五方基壇まで南北軸線全長75kmに及ぶ。それが渭水を中心として都城・陵墓との生・死空間が南北正方位に対置し、天と地・自然山川と記念的建造物の対象性をベースにおき、漢帝国支配の正統と神聖を表象したシンボルであり、東アジア古代都城の成立にも多大な影響を与えていた。2)郡県城址の調査と復元:華北、内蒙古における戦国・秦漢期の郡県城址が計26ヵ所を調査、測量した。GPS・GIS解析によって各遺跡の方位と構造プランを解明し、中央帝都建設に対して地方郡県都市の特色を初めて把握した。一辺500~600四方の城郭都市がほとんどで、北方位を重視するが、真北からの偏角は1度~7度あり、帝都建設ほどの精度がない。その偏角の大小は、中央勢力との関係緊密度に影響されるように見て取れる。城外には正方位重視の墳墓が造営されたことも判明し、帝都長安の都市計画を模倣したものと考える。3)北方国境線遺跡の探求:内蒙古の陰山南麓一帯の調査では、城塞、長城、烽火台の併存が発見した。一辺40-50四方の城塞は城門1つ、石積みの城壁が幅3-5、頑丈な防御施設で、それに長城と烽火台は近接に築かれ、戦国秦漢期の北方軍事施設として完備されたことが判明した。2.秦直道の調査と研究1)秦直道の真相究明:紀元前212年建造された秦帝国の南北幹線道路-秦直道は歴史上、深い謎に包まれ、長い間不明なままであった。近年、秦直道の発掘調査や日中連携調査によって、秦直道の真相がようやく解き明かされてきている。山岳高地の作道、版築土の舗装道路の道幅は平均30m、道の沿線に壮観な皇室の行宮や防御に備えた関所、駅舎施設が付設された。それは高度な土木技術と巨大な権力組織によって創り出された「帝国の道」である。2)古代ローマ道との比較:ローマ道は礫石や砂石の作道が主で、道幅4の石畳みの舗装道が特徴的である。帝国領域間の軍事、交通運輸道として発達し、商用道路の兼用を含む実用性の優れた古代ハイウェーである。3.チベット吐蕃王墓の調査と実測チベットの吐蕃王国を象徴する巨大墳墓の4大分布地点で実地調査とGPS測量を行った。その結果、時期の異なる巨大方墳・円墳を特徴とした吐蕃王室・貴族大墓の構造配置と分布を総合的に把握し、吐蕃大墓の立地方位と景観の特色などの検証が初めて実施した。
著者
山中 章 関口 敦仁 黄 暁芬 山田 雄司 今泉 隆雄 小澤 毅 橋本 義則 今泉 隆雄 小澤 毅 河角 龍典 橋本 義則 馬 彪 山田 邦和
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究では次の様な成果を獲得した。(1)東アジアの都城が、西アジアの都市と、機能や構造において多くの共通点を有していることを明らかにした。(2)新たに3DVR表示システムを開発し、3つのモデルを作成した。(3)鈴鹿関のモデルを分析して日本古代三関が交通の検問と軍事の両機能を兼ね備えた施設であることを解明した。(4)復原モデルを用いたデジタル野外ミュージアムの展開を開いた。
著者
ヤマンラール水野 美奈子 黄 暁芬 杉村 棟 小柴 はるみ 桝屋 友子 阿部 克彦
出版者
東亜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1)海外調査を通じて得た主な研究業績(1)研究対象である2冊の詩画帳(通称サライ・アルバム)(トプカプ宮殿美術館所蔵登録番号H.2153,H.2160)の合計289フォリオ、2152作品のデーターの入力を完了した。2冊の詩画帳の画像とデーターの総合的入力は本研究グループが初めて成し遂げた成果である。(2)2冊の詩画帳の書の索引の作成が完了した。これも本研究グループがはじめて成し遂げた成果である。絵画作品に関しては、索引を作成中である。(3)平成16年にはベルリンの国立図書館が所蔵するディーツ・アルバムを調査し、トプカプ宮殿美術館の上記2冊の詩画帳との関連性を考証した。この件に関しては更に詳細な研究調査が必要である。2)研究発表における主な業績:11.研究発表の中でも以下の論文発表は新説であり、本研究グループが成し遂げた成果である;(1)ヤマンラール水野美奈子「サライ・アルバムH.2153における半円形のデザイン文様に関する考察」:従来半円形デザイン文様は根拠なしに襟の型紙とされていたが、住吉神社、手向山神社や中国の例証などからそれらが馬具の障泥のパターンであることを証明した。(2)関喜房「サライ・アルバム(H.2153,H.2160)の装丁の考察(原文ペルシア語)」:研究対象の詩画帳は数回装丁を改められているが、そのオリジナルな装丁の考察に示唆を与える画期的研究である。3)海外における講演・発表(1)上記2)(1)は平成14年の国際トルコ美術史学会で発表された。(ヤマンラール水野美奈子)(2)平成16年10月に中国、煙台大学でサライ・アルバムに見られる中国美術の影響を発表し、中国で始めてサライ・アルバムを紹介した。(ヤマンラール水野美奈子、黄暁芬)(3)平成17年3月には、イラン国立アカデミーでサライ・アルバムを紹介。(ヤマンラール水野美奈子・杉村棟)