著者
伊比 智
出版者
中央大学法学会 ; 1891-
雑誌
法学新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.122, no.3, pp.241-256, 2015-08

強制わいせつの被害に対する、告訴当時一〇歳一一か月の被害者の告訴能力を肯定した事例
著者
山内 惟介
出版者
中央大学法学会 ; 1891-
雑誌
法学新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.855-910, 2015-08

伝統的な理解によれば、国際私法は、国家私法間の牴触を解決する法体系であると考えられている。行為規範という視点からみると、法の内容が明確である限り、法の適用結果について予見可能であるところから紛争の予防が十分可能であると説明されてきた。しかしながら、立法の内容が明確であるというにしても、その解釈の仕方に幅があり得るため、法の適用結果について予見不能な事態が頻出している。一国内でさえこのような不安定な状況がみられることに加え、渉外事件では解決機関としての裁判所も適用可能な国家私法も複数登場するためにこの種の不安定性がいやが上にも倍増する。しかも、ある国では解決済みとされる紛争が別の国では未解決のまま残されることも稀ではない。さらに、世界共通の全地球的課題となると、どの国でも未解決のまま放置され続けている。このような状況に対して、国際私法は、いかなる現実的解決策を提供できるか。国際私法のパラダイムを根本的に転換する必要性を指摘するとともに、ひとつの可能性を提案したのがこの小稿である。
著者
山中 敬一
出版者
中央大学
雑誌
法學新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11, pp.397-437, 2015-03

詐欺罪成立要件につき、「財物」または「財産上不法の利益」の移転につき、「財産的損害」を必要とするかどうかについては争いがあるが、通説は、一項、二項ともに「財産的損害」を既遂の要件とする。判例においては、近時、重大な錯誤があり、財物や財産的利益の移転があれば既遂を認め、財産的損害が発生したかを問わないように見えるものが多くなっている。本稿では、実質的個別財産説を採りつつ、その実質の内容とその判断基準を明らかにしようと試みた。 本稿では、詐欺罪を近代の取引社会の所産と見て、取引の中で、詐欺罪は、たんに給付と反対給付という狭義の取引関係から生じるものではなく、寄付金詐欺、補助金詐欺のような片務的な行為も、これも取引関係に含めることができるとする。片務的行為の場合、財産的損害が発生したかどうかは、「社会的目的」が「不達成」に終わったかを基準とするという理論が唱えられているが、寄付行為者の「満足感」などといった「社会的」目的の達成は、財産犯における基準ではありえない。本稿では、それを経済的な取引目的の不達成の場合に財産的損害が発生するとする構想(取引目的不達成理論)を展開し、その理論を判例において実証する。
著者
林 弘正
出版者
中央大学
雑誌
法学新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11, pp.599-644, 2015-03

児童虐待は、個々に生起する保護者等による自子に対する侵害行為に「児童虐待」との呼称を付与し社会現象として共有される。児童虐待の公的データは、児童相談所での児童虐待相談対応件数の一九九〇年一、一〇一件から二〇一三年七三、七六五件の推移及び警察庁の児童虐待の罪種別・態様別検挙状況の一九九九年一二〇件から二〇一三年四六七件の推移である。両データは、相談対応件数及び検挙件数であり社会に生起している実相とは程遠いものでありナショナルデータの集積が喫緊の課題である。 本稿は、二〇一二年から二〇一四年までの三年間に裁判実務に顕在化した児童虐待事案から行為態様類型別に身体的虐待二事案、ネグレクト及び児童期性的虐待各一事案を考察の対象とする。具体的事案の分析を通して、児童虐待の問題の所在と児童虐待防止の方策について検討する。児童虐待事案は、ケースにより裁判員裁判の対象となり、厳罰化傾向の指摘されるなか最高裁第一小法廷平成二六年七月二四日判決は量刑に関する判断を示した。 本稿の基本的視座は、「児童虐待は、犯罪であり、刑事制裁の対象である。」、「被害者のサポートは、最優先課題である。」、「加害者に対する治療プログラムの提供は、児童虐待防止のため不可欠である。」との三点である。
著者
高橋 直哉
出版者
中央大学
雑誌
法學新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11, pp.1-27, 2015-03

本稿は、犯罪化の正当化条件の総体を体系的に示す「犯罪化論」の構築を試みるものである。犯罪化は、国家が刑罰という峻厳な制裁を用いてある行為を規制するものであるから、それが正当化されるためには、そのような行為を規制することが国家の果たすべき役割に含まれるといえ、かつ、そのように強制的に規制するだけの特別な理由がなければならない、という認識を出発点として、犯罪化の正当化条件を、「国家の介入の正当性」「犯罪化の必要性」「全体的な利益衡量」「刑罰法規施行後の検証」の四段階に分けて、それぞれの意義・内容、および、それらの相互関係について考察を加えている。従来、わが国ではあまり理論的分析が加えられていなかった刑事立法のあり方について、道徳哲学・政治哲学の知見も交えながら一試論を展開するものである。
著者
高橋 徹
出版者
中央大学
雑誌
法學新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.120, no.7, pp.1-24, 2014-01
著者
高橋 徹
出版者
中央大学
雑誌
法学新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.122, no.11, pp.1-24, 2016-03