著者
古川 安
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.274-277, 2007
参考文献数
3
被引用文献数
1

米国デュポン社の化学者ウォーレス・カローザースと彼によるナイロン発明の物語は,わが国でもさまざまなところで広く語り継がれてきた。しかし,そこでは多くの事実に反する記述がひとり歩きしている。本稿では,デュポン社の基礎研究の設立経緯,カローザースの研究目的,ナイロンの語源,ナイロンのキャッチフレーズ,カローザースの自殺などについて,最新の研究成果を踏まえて伝説と真相の違いを明らかにする。
著者
妹尾 学
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.315-319, 1987-08-20 (Released:2017-07-13)

物理・化学の分野でいろいろな記号が用いられている。記号は物理・化学量や単位のシンボルとして使われるものであるから, 容易に連想できる文字が望ましい。しかし改めて記号を見直してみると, その生い立ちがはっきりしないものが意外に多い。現在, 自然科学の分野で国際単位系による記号の統一が進められている。推奨されている記号を中心に, 関連する話題を集めてみた。
著者
高橋 三男 大谷 龍二 大谷 龍二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.252-255, 2006

このたび,早稲田大学の松本和子教授が,日本人として2人目,女性化学者としては初めてIUPAC(International union of Pure and Applied Chemistry : 国際純正・応用化学連合)次期会長に就任が決定しました。本誌編集員が松本教授室を訪ね,IUPACの組織内容,具体的な活動内容について説明いただき,会長の仕事や今後の抱負を伺った。
著者
山西 芳裕
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.66-69, 2019-02-20 (Released:2020-02-01)
参考文献数
10

近年の生命医科学では,遺伝子,タンパク質,化合物,薬物,疾患に関するビッグデータが得られるようになってきた。ビッグデータ解析から新しい医学的発見や新薬開発につなげる研究が期待されている。本稿では,様々な医薬データを機械学習(人工知能の基盤技術)で有効活用した疾患研究や創薬応用を紹介する。特に,既存薬物から新規効能を発見するドラッグリポジショニングに基づく創薬への応用を解説する。
著者
武政 三男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.738-741, 2004-11-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
3

近年,ハーブは,健康によい薬草として注目されている。日本におけるスパイスのイメージは刺激物であり,ハーブのイメージは身体によく,香りがあり,かつ食べられる草なのである。しかしスパイスの多くは刺激がな < ,また食用とされる多くのハーブは食品の分類(加工食品)ではスパイスなのである。生活習慣病予防や高齢者社会での食生活などの見地から,スパイスに対する期待は今後ますます高まるものと予想される。スパイスを単なる調味料としてではなく,食品機能面をサイエンスでみてみると面白い効果が数多く認められる。ここではスパイスをどのように活用したらよいか,さらに新たな活用化の可能性について提案してみたい。
著者
野口 大介
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.254-257, 2019-06-20 (Released:2020-06-01)
参考文献数
10

授業実践の探究的な試みとして,マグネシウムと塩酸の反応で水素を発生させ,水素の物質量をどれだけ正確に求められるかを,ドルトンの分圧の法則を用いて実践した。金属樹を題材とした課題研究では,金属樹が回転運動する現象,次々にちぎれる現象について新規に見いだし,研究指導を通じて一定の成果を上げた。
著者
原田 馨
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.422-427, 1998-07-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
12

ベンゼンの環状構造を提出したA.ケクレは才能豊かな努力家であり, 実験家というよりは理論家であった。ベンゼンの構造がどのような過程を経て生まれたかということは必ずしも明かではない。ケクレはベンゼンの環状構造を夢の話と結びつけたので, 彼の構造論の理解には夢の分析が必要となる。本稿では当時の化学理論にケクレが新しく加えた学問的貢献, 芳香族化合物の化学が当時の化学工業とタイミングよく相補的に発展したケクレの幸運と栄光について述べる。また蛇の夢の話について触れると共に, ケクレと同じように有機化学構造論を築こうとした不幸な若き化学者A.S.クーパーについて一言する。
著者
岩田 久道
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.404-407, 2019-09-20 (Released:2020-09-01)
参考文献数
4

生徒自身が実験プロセスをくみ,それを実践させるにはテーマの選定が重要になる。高校現場ではなかなか行えない単元である高分子分野の最後のまとめとして,生徒に「5種以上の合成高分子を各班で用意し,その判別と分離法を各物質で2種以上行いレポートせよ」という課題を課している。教師が気づかない様々なものを準備し,独自の分離法を提案してくる。その中から得られた新たな発見と,この実験後に生徒がどのような変化を見せるかをここで紹介する。
著者
香田 智則 西岡 昭博
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.488-489, 2019-10-20 (Released:2020-10-01)
参考文献数
5

小麦粉はクッキー,ケーキ,ドーナツなどのスイーツを作るためには欠かせない食材となっている。しかしながら,小麦アレルギーや小麦粉の生地に含まれるグルテンが引き起こす健康上の症状への対応から,小麦を使わないグルテンフリーの食品が注目を集めている。ここでは,我々が提案してきた小麦粉の代替えとして米粉を用いる新たな手法について述べる。小麦粉に比べて粘り気の少ない米粉の生地を使う際には,アルファ化した米粉を用いることが有効である。アルファ化した米粉を考える上で,デンプン分子をほどくことが基本になっていることを概説する。
著者
荘司 隆一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.138-139, 2018-03-20 (Released:2019-03-01)
参考文献数
4
著者
出川 哲朗
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.296-297, 2016

<p>曜変天目は世界に3碗しか現存せず,そのすべてが,国宝に指定されている。宋時代に建窯で焼成されたもので,南宋の宮廷でも使われ,日本には室町時代にもたらされ,徳川将軍家にも伝えられた。この曜変天目の釉上に丸い斑文があり,その周囲が青く光り輝くのを特徴としている。この青く見える部分は固有色ではなく,構造色と考えられ,現在その解明が進められている。</p>
著者
平野 誉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.376-379, 2016-08-20 (Released:2017-02-01)
参考文献数
8

化学発光と生物発光は化学反応で光子を生成する。この魅力的な発光反応は分析技術から化学教育まで重要な役割を担っている。様々な分野での発光反応の利用・応用を拡げるには反応機構の理解が不可欠である。本稿では,励起分子を与える化学励起過程を含め,発光反応の特色につながる反応の仕組みについて解説する。
著者
海江田 直子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.426-427, 2018-09-20 (Released:2019-09-01)
参考文献数
6

サリチル酸とその誘導体の実験として,市販薬のアセチルサリチル酸含有の解熱鎮痛剤を出発点とし,途中サリチル酸を経由して,消炎鎮痛剤のサリチル酸メチルを生成する実験1)を紹介する。