著者
小沢 有作 竹ケ原 幸朗
出版者
東京都立大学人文学部
雑誌
人文学報 (ISSN:03868729)
巻号頁・発行日
no.144, pp.p1-80, 1980-03
著者
飯野 和夫
出版者
東京都立大学人文学部
雑誌
人文学報 (ISSN:03868729)
巻号頁・発行日
no.151, pp.p147-173, 1982-02
著者
岩崎 晋也
出版者
首都大学東京
雑誌
人文学報. 社会福祉学 (ISSN:03868729)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.49-68, 1998-03-25
被引用文献数
1

社会福祉は、福祉国家成立以降、その対象を国民全般と規定してきた。しかし一般国民を前提にシステムを構築した結果、従来村象としてきた、児童、障害を有している人を、平均的な市民に対する例外的存在として、原理的に位置づけることになった。つまり、社会福祉における自由や平等、公正といった基本原理を語る場合は、平均的な市民を前提としてその原理を構築し、例外的な存在については、可能であれば拡大解釈をし、できなければ異なる原理を適用してきたと思われる。だが、これらに人々を本当に例外的な存在として扱わなければならないのか、平均・例外という二分化された人間観は所与のものなのか、という点について、社会福祉の領域で十分な検討がなされてきたとは思われない。本稿は、社会福祉における統合的な人間観の構築という視点に立ち、近年多様な領域で注目されているセンの「潜在能力」アプローチの意義と課題を検討した。特に、検討すべき点として、これまで選択能力の制限から自由を行使する資格がないと見なされてきた知的・精神的障害者等の問題をとりあげ、健常者を含めて、選択する能力自体を、「機能」の評価をする際の可変的要素としてとりあげることの必要性を提示した。
著者
太田 恭子
出版者
首都大学東京 人文科学研究科
雑誌
人文学報 = The Journal of social sciences and humanities (ISSN:03868729)
巻号頁・発行日
no.467, pp.1-26, 2013-03

本稿の目的は,近代日本の性教育論の分析を通して,大正期の母親による性教育モデルの形成過程を描き出すことにある.なぜなら,性別アイデンティティの確立に寄与したと思われる近代日本の性教育の推進に母親が積極的に関わっていることを明らかにすることで,近代日本のジェンダーの再生産過程を明らかにすることができると思うからである.そこで,明治から大正にかけて産出された性教育論において,性教育の担い手についての言説と大正末期に登場した母親たちの性教育実践報告を分析した.明治期の性教育論では性教育の対象は男子であり,担い手は教師か学校医が想定されていた.大正期になると家庭では母親が幼児期の生活全般に関わる性教育を行い,学校では教師がそれぞれの年齢に見合った性知識を与えるという性教育言説が形成された.そうした言説が流布する中,母親たちは子どもとの相互行為を通じて,子どもが貞操や純潔を重んじ性差に基づく行為を生み出していくような,母親にしかできない性教育を構築した.母親による性教育言説は大衆的なメディアを通じて広く流布し,多くの母親に参照されるモデルとなって性教育に取り組む母親を生み出していったと思われる.こうして,母親による性教育は,結婚するまで貞操を守り「男は仕事,女は家庭」という性別分業に適合的な次世代を世に送り出して,近代日本のジェンダーを再生産していったと考えることができると結論した.