著者
前田 潤
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.12-23, 2004-09

竹久夢二の絵画小説「岬」は、関東大震災の発生により一時連載が中断された後、震災情報が高い価値を持つ情報秩序のもとで再び新聞連載が継続される。その結果、休載期間の前後の言説に変質を抱え込み、「視線」と関わる表象が言説と視覚像の双方で増殖する。夢二の震災スケッチにも配慮しつつ、「岬」に頻出する視線の表象と罹災社会の視線の特性の関係を記述し、一度は断裂した物語の継続に作用した力を考察する。
著者
藤原 正義
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.29-42, 1982

The living style of the Rengashi Sogi, who drifted through Japan, is considered to be deeply related to his birth which is generally believed to be lowly. But there is no definite information to prove his birth as lowly. I will try to present a new approach to his birth, which I think was a warrior family, by studying the connected articles in Kodaiji Diary-Shiokawa Kashin Diary volume II(property of Naikaku Bunko).
著者
カバット アダム
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.34-44, 2001-10-10

「野暮と化物は箱根から先」という諺をふまえて化物たちの住みかを箱根の向こうにするという設定が、化物の黄表紙の中でよく見られる。つまり、「箱根の先」に住む「田舎者」の化物たちは、江戸の通からみると、「野暮」のような存在であり、笑いの対象でもある。それにしても、「箱根の先」という「異界」が一体どういうものなのか。本論では、初期の黄表紙の内容を検討しながら、「化物」と「箱根の先」との関連性を考察してみる。
著者
塩谷 菊美
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.33-43, 2012-07-10 (Released:2017-11-22)

「『歎異抄』は唯円が親鸞の言葉を記したもの」というのが通説だが、親鸞曾孫で本願寺創立者の覚如の著した『執持鈔』『口伝鈔』『改邪鈔』『親鸞伝絵』をもとにして、「親鸞の口伝を唯円が語り、覚如が筆記した」という体裁で作られた、一種の親鸞伝ではないだろうか。『歎異抄』に記されているのは「親鸞が語ったこと」ではなく、後世の本願寺関係者が考えた「親鸞が語ったはずのこと」と見るべきである。
著者
永吉 雅夫
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.18-28, 2002-01-10

幕末維新期、崇徳院をめぐる言説は、その政治的状況の中でにわかに問題化する。江戸と明治を区切る行事としての睦仁親王の即位と「明治」改元は、讃岐からの崇徳院神霊の京都遷還事業と密接にリンクしている。その政治的意味の内実を、秋成「白峯」と篤胤「玉欅総論追加」との差異をつうじて、あとづける。
著者
大洋 和俊
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.1-9, 1995-09-10

「小白河八講」の章段は、牛車の駐車と退場が、座の内外の人々の集中的な視線を呼びおこすだけでなく、それを基点として様々な感情の昂ぶりと言説を形成することに於て注目される章段である。史実の上からは花山天皇退位直前という苛烈な政治情況にありながら、「牛車」の位置は語られることのない歌語りと、和歌への相対化のまなざしによって、「現実」を越境する枕草子の<表現>の行方を提示している。
著者
川端 俊英
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.66-67, 1994-09-10
著者
津田 博幸
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.62-66, 1997-10-10
著者
大谷 久美子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.1-10, 2015-02