著者
中野 平二 河邉 博 梅沢 敏 桃山 和夫 平岡 三登里 井上 潔 大迫 典久
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.135-139, 1994-06-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
4
被引用文献数
46 121

1. 1993年に西日本で発生した養殖クルマエビの大量死に関連してクルマエビ養殖を行っている17県を対象に, その発生状況を調べるとともに, 病エビを用いて感染実験を行った。2. 大量死の発生は中国産種苗の導入と密接に関連していた。3. 死亡率は発生例の約8割が80%以上であり, 死亡エビのサイズは0.01g~22.5gと範囲は広かった。4. 大量死の原因と考えられるような細菌, 真菌, 寄生虫は検出できなかった。5. 自然発症及び実験感染クルマエビの磨砕濾液の筋肉内注射によりクルマエビは容易に死亡し, 死亡エビは自然発症個体と同様の症状を呈した。6. 以上の結果より, 今回の大量死の原因としては濾過性病原体が強く疑われ, それは中国産クルマエビとともに日本に持ち込まれたものと推定された。
著者
桃山 和夫 平岡 三登里 中野 平二 河邉 博 井上 潔 大迫 典久
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.141-148, 1994-06-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
13
被引用文献数
21 54

1. 1993年に西日本で発生した養殖クルマエビの大量死に関連して, 自然発症個体, 実験感染個体および輸入直後の採材個体について病理組織観察を行った。2. 自然発症および実験感染個体の間で症状に差は認められず, 両者は同一の疾病であると判断された。3. 病エビの肉眼的主な異常な体色の赤変ないし褪色と外骨格における大きさ数mm以下の白点の形成であった。4. 白点は基本的には外骨格標本の薄い透明層とその直下の外骨格内のやや厚い不透明層とから構成されていた。5. 本疾病の病理組織像は皮下組織をはじめ, 中・外胚葉起源の様々な組織における種々の細胞の核の肥大と無構造化を伴う細胞の変性によって特徴づけられた。6. 本疾病はクルマエビ属エビ類の新しい疾病であると考えられ, その原因としては濾過性病原体が疑われた。7. 中国から輸入翌日に採材されたクルマエビに本疾病の特徴的病理組織像が明瞭に観察され注目された。
著者
Fernandez Roselyn D. Yoshimizu Mamoru Ezura Yoshio Kimura Takahisa
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-34, 1993-03

Growth responses to three different media, temperatures, and sodium chloride concentrations in the media were determined for 13 salmonid and 14 non-salmonid fish cell lines. Most cell lines showed better growth in Eagle's MEM than in Medium 199 or in Leivobitz L-15 medium. Nine salmonid cell lines grew well in the normal sodium bicarbonate buffer in Eagle's MEM, while 11 non-salmonid cell lines grew better in Eagle's MEM buffered with either HEPES-bicarbonate or Tris-bicarbonate. Optimum temperature for growth ranged from 15 to 20℃ for almost all salmonid cells and 20 to 30℃ for non-salmonid cells. Most of the cell lines showed highest growth in commercial medium preparations with the lowest concentrration of sodium chloride (0.116M) examined. However, three of the six cell lines derived from rainbow trout, Oncorhynchus mykiss, and cell lines from eels, Anguilla japonica, showed optimum growth response at a higher sodium chloride concentration of 0.171M in the medium.
著者
永井 崇裕 坂本 崇
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.99-104, 2006-09-15
被引用文献数
8

冷水病感受性の低い海産交配系アユと高い累代系アユの交配系統を作出したところ, 冷水病菌に対する感受性は両系統の中間になり, この性質は遺伝する可能性が示された。これらのアユの免疫応答を比較するために, ホルマリン処理冷水病菌で浸漬免疫して有効性を検討した結果, ワクチン効果は認められるものの系統間でその効果に差は認められなかった。しかし, 冷水病菌のホルマリン死菌で免疫した際の抗体価は, 海産交配系が最も高く, これは冷水病低感受性と関連するかもしれない。
著者
飯田 悦左 溝上 昭男
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.157-164, 1996-09-15
被引用文献数
12 89

天然アユおよびオイカワに体表の潰瘍形成を主徴とする病気が発生し, 病魚の体表患部および腎臓から2種類の滑走細菌が改変 Cytophaga 培地で分離された. 生化学的性状などから1種は, Cytophaga psychrophila と同定され, もう1種も Cytophaga 属に分類されたが種名は決定できなかった. 両種は血清学的にも区別可能であった. 両種の代表株はアユおよびオイカワに対して病原性を示した. Cytophaga sp. は分離頻度が低かったことなどから, C.psychrophila が今回の流行病の主要な原因菌と考えられた.
著者
飯田 悦左 溝上 昭男
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.157-164, 1996-09-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
13
被引用文献数
36 89

天然アユおよびオイカワに体表の潰瘍形成を主徴とする病気が発生し, 病魚の体表患部および腎臓から2種類の滑走細菌が改変 Cytophaga 培地で分離された. 生化学的性状などから1種は, Cytophaga psychrophila と同定され, もう1種も Cytophaga 属に分類されたが種名は決定できなかった. 両種は血清学的にも区別可能であった. 両種の代表株はアユおよびオイカワに対して病原性を示した. Cytophaga sp. は分離頻度が低かったことなどから, C.psychrophila が今回の流行病の主要な原因菌と考えられた.
著者
Ullah Arshad 新井 俊彦
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.65-70, 1983
被引用文献数
9 56

病魚から分離されたEdwardsiella tarda株について,病原性に関与しうる生物活性の有無をしらべた。まず,付着性および細胞侵入性をしらべたが特異な活性を決定することはできなかった。ただ,菌体周囲にスライムを作る株の存在が確かめられた。また,すべての菌株は菌体から遊離しない溶血活性をもつことが見出されたが,大腸菌にみられるような腸管毒素や,タンパクやリン脂質を分解する酵素活性はみられなかった。しかし,これらの既知の活性とは別に,機能的に区別できる2つのウサギの皮膚に対し壊死毒性をもつ物質を細胞外に生産していることが見出された。これは,すべての分離株が共通に産生している唯一の強力な組織傷害性外毒素物質であるから,病原因子として働いている可能性が高い。
著者
網田 健次郎 星野 正邦 本間 智晴 若林 久嗣
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.193-197, 2000-12-15
被引用文献数
12 40

1999年5月から12月に新潟県海川で天然遡上アユ, 標識放流したアユ種苗, 流下アユ仔魚および他の生息魚を採集して F.psychrophilum の検出を試みた。 IFAT または nested PCR により検査した結果, 放流前のアユ種苗の一部, 採集された全てのグループのアユと他の4魚種(ヤマメ, ウグイ, ウキゴリ, ヨシノボリ)および成熟アユの卵から本菌が検出され, また, 河床の微細藻類や河川水の一部が PCR 陽性を示した。 これらの結果から親魚から仔魚への冷水病菌の伝播, 放流魚や他魚種等から天然遡上アユへの伝播の可能性が示された。
著者
永井 崇裕 坂本 崇
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.99-104, 2006 (Released:2007-05-11)
参考文献数
14
被引用文献数
2 8

冷水病感受性の低い海産交配系アユと高い累代系アユの交配系統を作出したところ, 冷水病菌に対する感受性は両系統の中間になり, この性質は遺伝する可能性が示された。これらのアユの免疫応答を比較するために, ホルマリン処理冷水病菌で浸漬免疫して有効性を検討した結果, ワクチン効果は認められるものの系統間でその効果に差は認められなかった。しかし, 冷水病菌のホルマリン死菌で免疫した際の抗体価は, 海産交配系が最も高く, これは冷水病低感受性と関連するかもしれない。