著者
和田 新平 倉田 修 畠山 仁 山下 亜純 高木 修作 西澤 豊彦 横山 博
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.7-15, 2014-03

2008年に南西海域で養殖されていたカンパチ稚魚に,死亡を伴う疾病が発生した。病魚は左右非対称な腹部膨大と鰓の褪色を呈し,頭腎,体腎,脾臓は腫大して褪色していた。既知の主要な病原体の検出を目的とした微生物学的および分子生物学的検査の結果はすべて陰性であった。病理組織学的に,本疾病は増殖性間質性腎炎および脾炎を特徴とし,増生している単核性細胞の細胞質内に微小な類円形構造が認められた。病魚の腎臓を用いた人為感染試験で病徴が再現されたことから,本疾病は何らかの感染症であり,感染因子として微小な類円形構造が最も疑わしいと考えられ,これらは未報告の真核性微生物であることが強く示唆された。
著者
室賀 清邦 江草 周三
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.141-147, 1968-01-31 (Released:2009-10-26)
参考文献数
15
被引用文献数
2

1)CTCはOTC, TCと共にchloramphenicol, streptomycinよりAeromonas, Vibrioに対しすぐれたin vitro抗菌力を示した。2)CTCの経口投与(2mg/100g)および薬浴(1ppm以上)はウナギのAeromonas人為感染症に対し発病阻止効果を示した。同様の効果は10ppm薬浴でアユのVibrio自然感染症に対しても認められた。3)ウナギに対する急性毒性は経口投与では0.5g/kgでも認められず,薬浴では50ppm以下ならば長時間でも致死的影響はなかった。
著者
Yukie Narasaki Yumiko Obayashi Sayami Ito Shoko Murakami Jun-Young Song Kei Nakayama Shin-Ichi Kitamura
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1-9, 2018 (Released:2018-04-03)
参考文献数
36
被引用文献数
3

Miamiensis avidus is the causative agent of scuticociliatosis in various marine fish species. The virulence factors of the parasite have not been identified, so far. In this study, we examined M. avidus extracellular proteinases (ECPs) as potential virulence factors, using culture supernatants as an ECPs source. We investigated the substrate specificity of ECPs using artificial peptides, and the cytotoxicity of the ECPs was examined using CHSE-214 cells. To elucidate the role of ECPs in ciliate growth, M. avidus was cultured on CHSE-214 cells in the presence of proteinase inhibitors. We detected proteinase activities from the supernatant of M. avidus. Viable CHSE-214 cells decreased significantly in number, when incubated in a medium supplemented with the culture supernatant of M. avidus. The growth of ciliates on CHSE-214 cells was delayed in the presence of PMSF (serine proteinase inhibitor) and E-64 (cysteine proteinase inhibitor). These results suggested that the culture supernatant contained ECPs showing cytotoxicity, and the proteinases facilitated nutrient uptake by the ciliates. Thus, ECPs may be responsible for virulence factors of M. avidus.
著者
湯浅 啓 釜石 隆 森 広一郎 HUTAPEA John Harianto PERMANA Gusti Ngurah 中澤 昭夫
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.59-66, 2007-03-15
参考文献数
12
被引用文献数
2 20

In October 2005, a mass mortality of yolk-sac larvae of yellowfin tuna <i>Thunnus albacares</i> due to an endoparasite infection occurred during the seed production in a semi-closed system tank in Bali, Indonesia. Prevalence of the infection reached 100% maximally. The affected embryo or yolk sac of hatched larvae was filled with numerous parasites by 24 h post spawning. The larvae died due to a burst of the yolk sac. Phylogenetic analysis with 18S rRNA sequence and morphological characteristics of the parasite indicated that the present parasite was identified as a protozoan endoparasite <i>Ichthyodinium chabelardi</i> infecting the yolk-sac larvae of Atlantic sardine <i>Sardina pilchardus</i> or as its closely related species. PCR with a primer set designed from the 18S rRNA sequence detected the genome of the parasite from infected fertilized eggs, yolk-sac larvae and rearing water but not from the gonads of broodstock or feed fish for broodstock. The infection was not observed when the spawned eggs were immediately transferred into sterilized seawater, but the eggs kept in the rearing water for more than 1 h were infected by the parasite. These results suggest that the parasite infects fertilized eggs horizontally through the rearing water.
著者
Shih-Hu Ho Chia-Zong Lin Yu-Chih Chen Yen-Ling Song
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.7-12, 2002-03-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
34
被引用文献数
1

Vivrio hareyi など12種類のグラム陰性魚介類病原細菌およびオニテナガエビ寄生真菌1種類に対するセクロピンAとP1の抗菌性を調べた。 その結果, ほとんどの菌種に発育阻止効果を示し, セクロピンAの最小発育阻止濃度は0.98-7.81μM, 最小殺菌濃度(MBC)は3.90-15.59μmであった。 しかし塩分存在下(0.5M NaCl)では抗菌作用は低下した。 セクロピンAはウシエビの血球に対し, MBC値の3.2倍の濃度で細胞毒性を示した。 以上の結果から, セクロピンを海水飼育エビの細菌病に応用するのは難しいと考えられた。
著者
Liyanage Yasoja S. 横山 博 的山 央人 細谷 久信 若林 久嗣
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.489-494, 1998-12-15
被引用文献数
1 9

粘液胞子虫 Thelohanellus hovorkai によるコイの出血性テロハネルス症の発病条件について調べた。養魚池で採集されたエラミミズと同居飼育することでニシキゴイとマゴイに同程度に病徴がみられ, 筋肉1g当たりの胞子数は5×104個に達した。一方, ミミズ槽からの排水で飼育した群は軽度に感染したものの発病はしなかった。同居飼育群では腸管と腹部皮下結合織, 排水飼育群では鰓に最も多く寄生した。以上より放線胞子虫寄生エラミミズを経口摂取することで発病に到ることが示唆された。
著者
Pen Heng Chang Shu Hwae Lee Hsien Choung Chiang Ming Hwa Jong
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.209-210, 1999-12-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
11
被引用文献数
12 64

1995年に台湾のキンギョ養殖場において, ウイルス感染によると思われる大量死が発生した。罹患魚は主に稚魚(体長1.5-2.0cm)で, 死亡率は90%に達した。病理組織学的観察により腎臓間質などの内臓や皮膚に壊死病巣の形成がみられ, ウイルス感染細胞には肥大化した核が特徴的にみられた。病魚から検出されたウイルス粒子は, 電顕観察によりヘルペスウイルス科に属すると考えられた。本ウイルス感染症は, 日本のキンギョで報告されているヘルペスウイルス性造血器壊死症と酷似していた。
著者
Donald V. Lightner R. M. Redman
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.165-180, 1998-10-20 (Released:2009-10-26)
参考文献数
99
被引用文献数
23 55

ウイルス病は世界のエビ養殖産業に甚大な経済的被害をもたらしている。 アメリカにおいては Taura syndrome virus (TSV),Infectious hypodermal and hematopoietic necrosis virus (IHHNV) および Baculovirus penaei が重要な病原ウイルスとなっている。 これまでに多くのウイルス病対策が試みられてきたが, SPF (specific pathogen-free) あるいは SPR (specific pathogen resistant) の種または系統のエビを用いることが最良の防除対策であると考えられ, 最近アメリカでは TSV および IHHNV 耐性の Penaeus stylirostris の系統が養殖されている。
著者
森実 庸男 滝本 真一 西川 智 松山 紀彦 蝶野 一徳 植村 作治郎 藤田 慶之 山下 浩史 川上 秀昌 小泉 喜嗣 内村 祐之 市川 衞
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.207-216, 2001-12-15
被引用文献数
12 25

1996年以来発生している赤変化を伴うアコヤガイの大量へい死の実態を把握するため, 1997-1999年に母貝の生育, へい死率, 外套膜の病理組織学的変化を調査した。本疾病は冬季水温の高い南部の海域で6月に発生し, 8~11月には北部に至り, 宇和海全域に広がった。本病の発生には, 冬期の水温が影響するなど強い温度依存性が示唆された。
著者
横山 博 井上 大輔 熊丸 敦郎 若林 久嗣
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.211-217, 1997-12-15
被引用文献数
2 13

コイ稚魚の鰓ミクソボルス症において宿主に対する害作用が異なる大小2型シストの発生状況, 組織観察, 胞子の形態学的, 血清学的比較を行った。大シストの発生率は7月が最高で約25%であったのに対し, 小シストは8月がピークでほぼ100%に達した。両者は魚への侵入時期や鰓での発育部位において顕著な差異がみられたものの, 胞子の形態学的, 計測学的比較, および間接蛍光抗体法を用いた血清学的比較により, Myxobolus koi Kudo, 1920と同一種であることが示された。
著者
横山 博 檀上 智則 小川 和夫 有馬 多恵子 若林 久嗣
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.19-23, 1996-03-15
被引用文献数
5 20

コイの筋肉繊維間にシスト形成する粘液胞子虫 Myxobolus artus について, 0才稚魚池における寄生状況と病魚からの胞子排出を定期的に調べた. 寄生率は9月に10%に達し, 以後約10ヶ月間続く胞子排出の過程で慢性的斃死がみられた. 瀕死魚は幼若赤血球の増加を特徴とする貧血症を呈した. 鰓薄板毛細血管内が貪食細胞により輸送された胞子で充満し, 毛細管の拡張や崩壊および鰓薄板上皮の剥離がみられ, 鰓からの出血が示唆された.
著者
松山 知正 南 隆之 福田 穣 佐野 菜採 坂井 貴光 高野 倫一 中易 千早
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.32-35, 2016
被引用文献数
5

マダイイリドウイルス(RSIV)病の感染防御における血清抗体の関与を検討するために,マダイ,ブリ,ヒラマサ,カンパチおよびイシダイについて受動免疫試験を行った。感染を耐過した個体群の血清を予め腹腔内に接種した試験区では,イシダイを除く全ての魚種で未感作な個体群の血清を接種した試験区と比較して有意に死亡率が低下した。ブリでは耐過魚血清から精製した抗体を接種した試験区でも有意に死亡率が低下した。ワクチンを投与した個体群の血清を接種した試験区では,ヒラマサとイシダイを除いて,有意に死亡率が低下あるいは生存時間が延長した。マダイとブリ類では, RSIV病に対する感染防御に血清抗体が関与する。
著者
横山 博 金 正鎬 佐藤 純 佐野 元彦 平野 慶二
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.99-104, 1996-06-15
被引用文献数
8 23

Uvitex 2B 蛍光染色をブリ・ヒラマサべこ病の原因微胞子虫 Microsporidium seriolae の胞子検出法として用いた. 体側筋肉ホモジネートの塗抹標本に Uvitex 2B 染色を施した場合の胞子検出率は, 剖検による"シスト"検出率より高く, 迅速診断法として有用と考えられた. パラフィン切片の Uvitex 2B-H & E 染色では, 成熟胞子のみが明瞭に識別でき, 微胞子虫の発育過程や宿主細胞による胞子の貪食, 被包化, 他器官への輸送などが観察され, 病理組織学的研究にも応用可能であった.
著者
高見 生雄 粉川 愉記 西澤 豊彦 吉水 守
出版者
日本魚病学会 = Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.29-34, 2007-03-15
被引用文献数
2 2

Kuchijirosho (snout ulcer disease) is an infectious disease of tiger puffer Takifugu rubripes in Japan and Korea. Little is known about detailed characteristics on the causative agent of kuchijirosho, except it is a filterable agent. In the present study, kuchijirosho associated proteins (KAPs) with molecular weight of 100-120 kDa were detected in brain tissues of tiger puffer by western blot analysis with sera of tiger puffer which survived kuchijirosho, but not in the kidney or spleen tissues. Interestingly, KAPs existed in brain tissues of tiger puffer with no history of kuchijirosho, however, the KAPs were not recognized by those healthy fish sera. KAPs were fractionated in supernatant of brain tissue homogenate containing the kuchijirosho agent by ultra-centrifugation, while pathogenicity of the kuchijirosho agent was observed in the precipitated fraction rather than the supernatant. These results suggest that KAPs are not structural proteins of the kuchijirosho agent, and could be brain tissue proteins antigenically altered by infection of the kuchijirosho agent. It is also considered that the causative agent could be low in antigenicity to host fish because structural proteins of the causative agent was never recognized by host fish sera.
著者
中島 員洋 反町 稔
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.47-52, 1995-03-15
被引用文献数
3 42

マダイイリドウイルス(RSIV)感染BF-2細胞を免疫原として, 20クローンのマウス単クローン抗体生産ハイブリドーマ株を作製した。これらの単クローン抗体は, 間接蛍光抗体法により, RSIVを感染させたBF-2およびKRE-3細胞と反応したが, 非感染細胞とは反応しなかった。得られた単クローン抗体はすべて, 西日本の3県から分離したRSIV株と同一の反応性を示した。免疫沈澱法により 19 クローンが230/180kDa の蛋白と, 1クローンが20/16kDaの蛋白と反応することが明らかになった。
著者
吉水 守 木村 喬久
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.243-261, 1985
被引用文献数
4

特異抗体感作 staphylococci を用いた coaggulutination test の細菌性およびウイルス性疾病迅速診断への応用について検討した。病魚の腎臓あついは患部の加熱抽出液を抗原とする coagglutination test によりサケ科魚類の細菌性腎臓病, セッソワ病, ビブリオ病およびコイ科魚類の"穴あき病"の迅速診断が, また病魚の内臓ホモゲナイズ濾液を抗原としてIPNの迅速診断が可能であった。さらに本法により自然凝集性 A. salmonicida の血清学的識別, V. anguillarum およびIPNの血清型別も可能であった。
著者
木村 武志 鮫島 守 野村 昌功 森田 淳 溝口 秀城 石原 守
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.147-151, 2006-12-15
被引用文献数
3 13

養殖トラフグのヘテロボツリウム症対策として, 産業動物の駆虫剤であるフェンベンダゾールのプロドラッグ, フェバンテルの有効性を検討した。フェバンテルはトラフグに経口投与後, 体内で速やかに活性型のフェンベンダゾールへ代謝された。魚体重1kg当たり12.5mgと25mgを5日間, 50mgを3日間連続で投与すると, 成虫の88%以上, 未成熟虫の95%以上が駆虫され, フェバンテルの有効性が明らかとなった。
著者
小川 和夫 井上 潔
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.15-20, 1997-03-15
被引用文献数
16 24

稚魚期から出荷サイズまで同一魚群の養殖トラフグのヘテロボツリウム寄生を1年半にわたり隔月に調べた。寄生虫は初め鰓弁に認められたが, 鰓から鰓腔壁に移動した後に成熟した。夏では寿命は6カ月以内と推定された。寄生率と寄生数は季節や宿主固体差による変動が大きかったが, 水温上昇とともに増加傾向がみられた。魚によって, 鰓や鰓腔壁の寄生数に有意な左右差がみられる場合があり, 極端な場合, 虫体は片側にのみ偏在した。本観察例では寄生数が比較的低かったため, ヘテロボツリウム寄生は血液性状にはあまり影響しなかった。
著者
山田 義行 加来 佳子 若林 久嗣
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.35-40, 2000-03-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
15
被引用文献数
7 9

非定型Aeromonas salmonicidaの系統解析を16S rDNAの塩基配列の解析により行った結果, 国内で分離された菌株は, キンギョ由来菌株, ウナギおよび海産魚(ムシガレイ, アイナメ, ヒラメ, クロソイ)由来菌株, ニシキゴイ由来菌株, マゴイ由来菌株の4グループに分類された。近年における本菌の宿主範囲の拡大はキンギョ由来菌株とは系統を別にする菌株群によると考えられた。
著者
楠田 理一 高橋 幸則
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.87-97, 1970-03-30 (Released:2010-02-10)
参考文献数
24
被引用文献数
1

(1) コイ科魚類の立鱗病の原因として細菌が関係するか否かを確かめるために,病魚の細菌学的検査を行なったところ,復元性をもつ細菌を分離することができた。(2) 分離菌の形態学的,生化学的および生物学的性状を検討した結果Aeromonas属と同定され, EDDY,SCHUBERTおよび江草らの記載と比較してAeromonas liqnsfaciensとするのが妥当であると思われた。(3) 本菌の薬剤に対する感受性はクロラムフェニコール,ナリジキシックアシッドなどが強力であるが,薬剤によってかなりの差が認められた。