著者
布村 昇
出版者
日本土壌動物研究会
巻号頁・発行日
no.62, pp.81-91, 1999 (Released:2011-03-05)
著者
阿部 進
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.29-37, 2014-03-07 (Released:2017-07-20)
被引用文献数
2

ミミズ(Oligochaeta)やシロアリ(Isoptera)のような土壌無脊椎動物は土壌生態系改変者と呼ばれ,土壌物理環境を改変・撹乱することによって他の生物への資源の有効性に影響を及ぼしている.土壌生成過程における物理学的,化学的,生物学的な影響に対する関心が高いのに対して,生態系改変者が土壌鉱物の風化において直接的および間接的に重要な影響を及ぼしていることはあまり認識されていない.その直接的な影響は鉱物粒子の物理的破壊であり,分泌物質による化学的変質である.一方,土壌無脊椎動物の共生微生物によって生成される有機酸やキレート成分による鉱物の溶解など間接的な影響もある.本稿では,土壌生態系改変者が土壌鉱物の風化に及ぼす影響に関する既往の文献を総括し,このトピックにおける研究課題と将来の展望について議論する.
著者
田中 真悟
出版者
日本土壌動物研究会
巻号頁・発行日
no.22, pp.27-33, 1980 (Released:2011-03-05)
著者
金子 信博 橋本 みのり
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.21-25, 2010-05-28 (Released:2017-07-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1

ミドリババヤスデは中部から西日本にかけて広く分布しているヤスデである.島根県三瓶山周辺では成虫の群遊がたびたび観察されていたので,このヤスデの生活史について1997年12月から1999年10月まで調査を行った.1999年10月には成虫の群遊が観察された.これらの個体群内の齢構成は単一で,一世代が3年であると推定された.この現象は中部地方で8年に一度の周期発生を起こすキシャヤスデに似ている.生活史が3年である理由について気候条件との関係で議論した.
著者
菊地 友則 諏訪部 真友子 辻 和希
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.59-73, 2009
参考文献数
54

本稿では琉球列島産アリ4種の生態について概説した.ツヤオオハリアリの巣仲間認識行動は,非巣仲間ワーカーに比べ女王に対してより攻撃的になるカースト依存的な発現パターンを示した.これは,産卵能力に関係した女王とワーカー間の受け入れコストの違いによるものと推測された.また,女王とワーカーの形態比較から,ワーカーは女王に比べ相対的に大きな頭部をもつことが明らかになった.ワーカーの形態は,繁殖に係わる個体選択と生産性などに関係したコロニーレベルの選択のバランスによって影響をうけることから,ワーカーの卵巣が完全に退化しもはや個体選択がかからないッヤオオハリアリでは,コロニーレベルの選択によってワーカーの形態が特殊化したと考えられた.二次的に消失した女王カーストの代わりに,受精したワーカー(ガマゲイト)が産卵者として存在するトゲオオハリアリでは,ガマゲイト存在情報は直接接触によってのみワーカーへと伝達される.このような情報伝達システム下で,伝達効率がコロニーサイズとともにどのように変化するのか明らかにするために,ガマゲイトとワーカーの接触確率とコロニーサイズの関係を調査した.その結果,コロニーサイズが大きくなるほどガマゲイトとワーカーの接触確率が低下することが明らかになった.このことは,接触確率が低下する大きなコロニーでは,ガマゲイトが存在しているにもかかわらず,ワーカーは誤ってガマゲイト不在と認識している可能性を示唆している.琉球列島には,ツヤオオズアリとアシナガキアリの2種の侵略的外来アリが侵入,定着している.この2種の外来アリと在来アリの季節的活動性を調査したところ,外来アリは秋から冬にかけて,逆に在来アリでは春から夏にかけて活動性が高くなる傾向が見られた.この様な活動性の違いが,琉球列島において外来アリが在来アリを駆逐し優占化しない理由の一つと考えられた.
著者
中森 泰三 一澤 圭 田村 浩志
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.43-82, 2014-11-14 (Released:2017-07-20)

日本産ミズトビムシ科およびムラサキトビムシ科の種を同定するための形質を示した.ミズトビムシ科は1属1種からなる.ムラサキトビムシ科の9属42種については図解検索表を示した.識別の指標となる主な形質は,小眼の数触角後器および副爪の有無,跳躍器端節の形,毛序である.各種の形態学的特徴をまとめた.
著者
古野 勝久 須摩 靖彦 新島 溪子
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.15-42, 2014-11-14 (Released:2017-07-20)

日本産シロトビムシ科の4亜目14属31種1亜種について,同定に必要な形質について説明するとともに,検索図と形質識別表を示し,種類別の特徴を解説した.識別のための主な形質は体色の有無,体形,跳躍器またはその痕跡の形態,触角第3節感器とPAOの形態および擬小眼の配置などである.
著者
藤川 徳子
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.1-6, 2009-08-31 (Released:2017-07-20)
参考文献数
9

クマエンマダニ(新称)Eupelops kumaensis sp.n.を熊本県あさぎり町から採集し記載した.翼状突起をつなぐ後体部前縁の突出部が三つ山型であること,肛側毛が2対のみであること,鋏角に2本の長いTragardh's organsをもつこと,そして第IV脚の脛節には感覚毛が存在しないことにより,他の同属種と区別できる.
著者
バイアルトグトホ バダムドルジ 青木 淳一
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.9-12, 2002-02-28 (Released:2017-07-20)
参考文献数
5

山梨県八ヶ岳の亜高山帯針葉樹林中の岩に生じたコケからササラダニ類の1新種が発見され,カネコッヤタマゴダニLiacarus kanekoi sp. n. と命名し,記載した.本種は,桁間毛が短いこと,胴背毛p1が長いこと,縦桁遊離棘の間にある中央突起が幅狭いことなどによって同属の他種から区別される.
著者
丸山 一郎 島野 智之
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.1-8, 2014-08-29 (Released:2017-07-20)

新潟県からSymbioribates属の1新種を採集し,Symbioribates yukiguni sp. nov.(ユキグニフタカタダニ)と命名し記載した.本属はこれまで,熱帯地域及び亜熱帯地域から記録されたが,本種は温帯域から発見された.ユキグニフタカタダニは,Symbioribates papuensis Aoki, 1966及びSymbioribates aokii Karasawa & Behan-Pelletier, 2007に似ているものの,雌雄ともに体長・体幅が両種よりも大きいこと,また,雄は背孔A_3が近接しているが,融合しておらずh_1は背孔の外に位置していること,雌は胴感毛が後体部前縁には完全には覆われておらず,背孔Aa,A_1が他の種に比べて大きく,さらに吻毛(ro)と桁毛(le)が長いことから容易に区別される.
著者
藤川 徳子
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.1-4, 2009-03-31 (Released:2017-07-20)
参考文献数
11

ヒゴミツセンロダニ(新称)Triautogneta higoensis gen.n.,sp.n.を熊本県あさぎり町から採集し記載した.ミツセンロダニ属(新称)には日本産既知種のうち,マサヒトセンロダニA.masahitoi Aoki,1963を新たに編入した.
著者
藤川 徳子
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.17-22, 2001-08-31 (Released:2017-07-20)
参考文献数
13

アカエゾマツは樺太南端に北限を,そして岩手県早池峰山に南限を持って自生する樹種である.その自生南限地で2000年に土壌動物の調査をする機会を得た.ササラダニ類については,ウズタカダニ科の一新種を採集したので,Platyliodes montanus sspec. nov.(新称ミヤマヒラタウズタカダニ)として記載した.
著者
藤川 徳子
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.11-16, 2004-08-31 (Released:2017-07-20)
参考文献数
3

愛媛県今治市在のサギソウ自生地として知られる蛇池で採集したヌバタマダニ属(新称)の一新種Tegeocranellus nubatamae spec. nov. ヌバタマササラダニ(新称)を記載した.名称の由来(山本章夫著,1979年,恒和出版'萬葉古今動植正名'P.90)にある様に,沼から採集したこのササラダニは黒っぽく,まるく,そして艶々として見える.
著者
中村 好男
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.15-16, 2001-08-31 (Released:2017-07-20)
参考文献数
7

岩手県川井村の早池峰山のアカエゾマツ林から採集されたヒメミミズ科Enchytraeidaeに属する1新種について,ハヤチネヒメミミズ(新称)Cognettia hayachinensis sp.nov.と命名し,記載した.本種はCognettia cognettiに似ているが,肥大剛毛がC. cognettiでは1剛毛束に2本あるのに対し,本種では1本であることから,区別される.
著者
田中 真悟 一澤 圭
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.17-20, 2002 (Released:2017-07-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1

利尻島および稚内市より,アオフサトビムシ属の1新種が見出され,リシリアオフサトビムシ(新称)Morulodes rishirianus sp.nov.と命名し記載した.本種は,主爪に明瞭な内歯を持ち,腿節の長毛の先端が平たくなっていることにより,同属の他種と区別される.なお,これは本属のアジア地域における初記録である.
著者
平内 好子 青木 淳一
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.17-23, 2003-02-28 (Released:2017-07-20)
参考文献数
11

富山県大山町有峰のシラカンバ林とカラマツ林の落葉落枝層からアミメオニダニ科,アミメオニダニ属の1新種が発見されたので,Nothrus undulatus sp.nov.(アリミネアミメオニダニ)と命名し,記載した.本種は,体が大きいこと,後体部の後方側面が波打ち,後端が突き出ていること,背毛c_1とc_2の長さの差が大きくないことなどによって同属の他種から区別される.
著者
藤川 徳子
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.1-11, 2012-02-29 (Released:2017-07-20)
参考文献数
21

2007年9月8日に宮崎県椎葉村鶴富屋敷周辺の庭の腐葉土から,次に挙げる2種類の新種を採集し,ここに記載した:ツルトミイチモンジダニ(新称)Eremulus tsurutomiensis sp. nov.;ナスカブトダニ(新称)Oribatella nasuorum sp. nov.前者の大きな特徴は後体部前方の肥厚部分の形であり,また後者のそれは吻先と4対の背孔の形である.
著者
坂寄 廣
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.1-7, 2002-02-28 (Released:2017-07-20)
参考文献数
9

長崎県琴海町の森林の落葉土壌層よりツチカニムシ科の2新種が発見されたので,それぞれMundochthonius kiyoshii sp. nov. (イシイカブトツチカニムシ,新称),Allochthonius kinkaiensis sp. nov. (キンカイツチカニムシ,新称)と命名して記載した.前者は,M.japonicusおよびM.minusculusに似るが,腹部背板の毛序式が4-6-6-6-6-6である点でM.japonicusと異なり,2眼あることや触手腿節の長さと幅の比が3.27-3.55である点などでM.minusculusと異なる.後者ほA.tamuraiに似るが,頭胸部の毛序式が10-4-6-2-4,26であること,鋏顎台に7毛が生えていることや触手腿節の長さと幅の比が雄で4.13-4.36,雌で4.03-4.28である点で異なる.
著者
藤川 徳子 冨永 浩
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.9-14, 2014-08-29 (Released:2017-07-20)

熊本県球磨地方で2001年より取り組まれてきた無農薬、無化学肥料、無耕起、二重被覆という土壌圏活用型農地から新種アサギリクモスケダニEremobelba asagiriensis sp.nov.を採集し記載した.桁が長く後方で収斂し、先端から生ずる桁毛の間隔は桁間毛の間隔より狭い、さらに後体部前方部分に存在する横に帯状に伸びる肥厚模様や、基節板毛1b,3a,3b,3c,4aは分岐毛であることなどは特異的であり同属の他種から区別される.