著者
唐沢 重考 金澤 泰人 久保田 耕平
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.11-27, 2014 (Released:2017-07-20)

シンタイプおよび東京大学本郷キャンパスの広葉樹林内で得られた標本に基づきSpherillo obscurus (Budde-Lund, 1885)の再定義を行った.また,横浜国立大学の広葉樹林内で得られた標本に基づきS. dorsalis (Iwamoto, 1943)についての再定義も行った.さらに,種同定用のDNAマーカーを開発するため,ミトコンドリアDNAのCOI, 12S rRNA, 16S rRNA領域,および,核DNAの18S rRNA, 28S rRNA領域の一部の塩基配列を決定した.
著者
粂川 義雅 三浦 収 藤本 悠 伊藤 桂 荒川 良 横山 潤 福田 達哉
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.19-24, 2019 (Released:2020-03-29)

ニホンアカザトウムシPseudobiantes japonicus の2 つの異なる系統群(クレードA とクレードB) の分布域が接触する四国中央部において両系統群間の交雑や遺伝子移入の有無を明らかにするために, ミトコンドリアDNAと核DNAのPCR-RFLP解析を行った.両クレードの混棲が確認されたのは1地点のみであったが,その地点を含め,この地域内で,核DNAの遺伝子におけるヘテロ接合と判定される個体やミトコンドリアDNAと核DNA間における不一致は発見されなかった.これは,クレードA とクレードB が接触地域において交雑や遺伝子移入を経験していないことを示唆し,これらのニホンアカザトウムシは隠蔽種であると考えられた.
著者
保科 英人
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.13-16, 2002 (Released:2017-07-20)
参考文献数
5

Agathidiini族Besuchetionella属は,ANGELINI and PECK(2000)によって記載された属で,東南アジアから日本にかけて18種が記録されている.今まで琉球からは,Agathidiini族に含まれる属の分布は,Agathidium属とCyrtoplastus属の2属のみが知られていた.今回,著者は琉球からBesuchetionella属の1新種を採集し,本論文においてB. kamiyai(カミヤツブタマキノコムシ)として命名・記載した.本種は,タマキノコムシ亜科の中では世界で最も体が小さい種の一つである.
著者
Zoltan Korsos Eszter Lazanyi
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.1-16, 2013-07-30 (Released:2017-07-20)
参考文献数
11

台湾と日本から初めて記録されたNepalmatoiulus属クロオナガヒメヤスデ属の3新種を命名記載した.台湾 : N.taiwanensisタイワンクロオナガヒメヤスデ(新称)N.formosaeウルワシクロオナガヒメヤスデ(新称),日本(琉球列島の西表島,石垣島,小浜島) : N.yaeyamaensisヤエヤマクロオナガヒメヤスデ(新称).本属は,これまでヒマラヤ,中国からベトナム,マレーシアにかけてその分布が知られていたが,かなり東地域にも広がっていることが判明した.これら3種が東アジアの台湾および琉球列島の島々から発見されたことは,かつて島々が互いに繋がっており,かつ中国大陸とも繋がっていた地理的な証拠を示すものと考えられるだろう.
著者
藤川 徳子 西 ヨシ子
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.17-23, 2013-07-30 (Released:2017-07-20)
参考文献数
17

熊本県球磨地方でも食用筍出荷のための竹林の育成管理が盛んである.竹林内の古い孟宗竹の切り株の中の竹の皮,その腐植物や苔などからコンボウイカダニ属に属する新種タケノウチイカダニFissicepheus(Fissicepheus) takenouchiensis sp. nov.を採集し記載した.後体部中央部分に存在する横に太く帯状に伸びる肥厚模様と後体部前縁外側の大きく長い瘤状突起の形が特異的であり,また,口下片表面の横皺状の模様やすべての脚の〓節に突起のあることなどにより同属の他種から区別される.
著者
金子 信博 橋本 みのり
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.21-25, 2010-05-28 (Released:2017-07-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1

ミドリババヤスデは中部から西日本にかけて広く分布しているヤスデである.島根県三瓶山周辺では成虫の群遊がたびたび観察されていたので,このヤスデの生活史について1997年12月から1999年10月まで調査を行った.1999年10月には成虫の群遊が観察された.これらの個体群内の齢構成は単一で,一世代が3年であると推定された.この現象は中部地方で8年に一度の周期発生を起こすキシャヤスデに似ている.生活史が3年である理由について気候条件との関係で議論した.
著者
藤川 徳子
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.1-6, 2009-08-31 (Released:2017-07-20)
参考文献数
9

クマエンマダニ(新称)Eupelops kumaensis sp.n.を熊本県あさぎり町から採集し記載した.翼状突起をつなぐ後体部前縁の突出部が三つ山型であること,肛側毛が2対のみであること,鋏角に2本の長いTragardh's organsをもつこと,そして第IV脚の脛節には感覚毛が存在しないことにより,他の同属種と区別できる.
著者
バイアルトグトホ バダムドルジ 青木 淳一
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.9-12, 2002-02-28 (Released:2017-07-20)
参考文献数
5

山梨県八ヶ岳の亜高山帯針葉樹林中の岩に生じたコケからササラダニ類の1新種が発見され,カネコッヤタマゴダニLiacarus kanekoi sp. n. と命名し,記載した.本種は,桁間毛が短いこと,胴背毛p1が長いこと,縦桁遊離棘の間にある中央突起が幅狭いことなどによって同属の他種から区別される.
著者
丸山 一郎 島野 智之
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.1-8, 2014-08-29 (Released:2017-07-20)

新潟県からSymbioribates属の1新種を採集し,Symbioribates yukiguni sp. nov.(ユキグニフタカタダニ)と命名し記載した.本属はこれまで,熱帯地域及び亜熱帯地域から記録されたが,本種は温帯域から発見された.ユキグニフタカタダニは,Symbioribates papuensis Aoki, 1966及びSymbioribates aokii Karasawa & Behan-Pelletier, 2007に似ているものの,雌雄ともに体長・体幅が両種よりも大きいこと,また,雄は背孔A_3が近接しているが,融合しておらずh_1は背孔の外に位置していること,雌は胴感毛が後体部前縁には完全には覆われておらず,背孔Aa,A_1が他の種に比べて大きく,さらに吻毛(ro)と桁毛(le)が長いことから容易に区別される.
著者
藤川 徳子
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.1-4, 2009-03-31 (Released:2017-07-20)
参考文献数
11

ヒゴミツセンロダニ(新称)Triautogneta higoensis gen.n.,sp.n.を熊本県あさぎり町から採集し記載した.ミツセンロダニ属(新称)には日本産既知種のうち,マサヒトセンロダニA.masahitoi Aoki,1963を新たに編入した.
著者
藤川 徳子
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.17-22, 2001-08-31 (Released:2017-07-20)
参考文献数
13

アカエゾマツは樺太南端に北限を,そして岩手県早池峰山に南限を持って自生する樹種である.その自生南限地で2000年に土壌動物の調査をする機会を得た.ササラダニ類については,ウズタカダニ科の一新種を採集したので,Platyliodes montanus sspec. nov.(新称ミヤマヒラタウズタカダニ)として記載した.
著者
藤川 徳子
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.11-16, 2004-08-31 (Released:2017-07-20)
参考文献数
3

愛媛県今治市在のサギソウ自生地として知られる蛇池で採集したヌバタマダニ属(新称)の一新種Tegeocranellus nubatamae spec. nov. ヌバタマササラダニ(新称)を記載した.名称の由来(山本章夫著,1979年,恒和出版'萬葉古今動植正名'P.90)にある様に,沼から採集したこのササラダニは黒っぽく,まるく,そして艶々として見える.
著者
中村 好男
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.15-16, 2001-08-31 (Released:2017-07-20)
参考文献数
7

岩手県川井村の早池峰山のアカエゾマツ林から採集されたヒメミミズ科Enchytraeidaeに属する1新種について,ハヤチネヒメミミズ(新称)Cognettia hayachinensis sp.nov.と命名し,記載した.本種はCognettia cognettiに似ているが,肥大剛毛がC. cognettiでは1剛毛束に2本あるのに対し,本種では1本であることから,区別される.
著者
田中 真悟 一澤 圭
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.17-20, 2002 (Released:2017-07-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1

利尻島および稚内市より,アオフサトビムシ属の1新種が見出され,リシリアオフサトビムシ(新称)Morulodes rishirianus sp.nov.と命名し記載した.本種は,主爪に明瞭な内歯を持ち,腿節の長毛の先端が平たくなっていることにより,同属の他種と区別される.なお,これは本属のアジア地域における初記録である.
著者
平内 好子 青木 淳一
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.17-23, 2003-02-28 (Released:2017-07-20)
参考文献数
11

富山県大山町有峰のシラカンバ林とカラマツ林の落葉落枝層からアミメオニダニ科,アミメオニダニ属の1新種が発見されたので,Nothrus undulatus sp.nov.(アリミネアミメオニダニ)と命名し,記載した.本種は,体が大きいこと,後体部の後方側面が波打ち,後端が突き出ていること,背毛c_1とc_2の長さの差が大きくないことなどによって同属の他種から区別される.
著者
藤川 徳子
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.1-11, 2012-02-29 (Released:2017-07-20)
参考文献数
21

2007年9月8日に宮崎県椎葉村鶴富屋敷周辺の庭の腐葉土から,次に挙げる2種類の新種を採集し,ここに記載した:ツルトミイチモンジダニ(新称)Eremulus tsurutomiensis sp. nov.;ナスカブトダニ(新称)Oribatella nasuorum sp. nov.前者の大きな特徴は後体部前方の肥厚部分の形であり,また後者のそれは吻先と4対の背孔の形である.
著者
坂寄 廣
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.1-7, 2002-02-28 (Released:2017-07-20)
参考文献数
9

長崎県琴海町の森林の落葉土壌層よりツチカニムシ科の2新種が発見されたので,それぞれMundochthonius kiyoshii sp. nov. (イシイカブトツチカニムシ,新称),Allochthonius kinkaiensis sp. nov. (キンカイツチカニムシ,新称)と命名して記載した.前者は,M.japonicusおよびM.minusculusに似るが,腹部背板の毛序式が4-6-6-6-6-6である点でM.japonicusと異なり,2眼あることや触手腿節の長さと幅の比が3.27-3.55である点などでM.minusculusと異なる.後者ほA.tamuraiに似るが,頭胸部の毛序式が10-4-6-2-4,26であること,鋏顎台に7毛が生えていることや触手腿節の長さと幅の比が雄で4.13-4.36,雌で4.03-4.28である点で異なる.
著者
藤川 徳子 冨永 浩
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.9-14, 2014-08-29 (Released:2017-07-20)

熊本県球磨地方で2001年より取り組まれてきた無農薬、無化学肥料、無耕起、二重被覆という土壌圏活用型農地から新種アサギリクモスケダニEremobelba asagiriensis sp.nov.を採集し記載した.桁が長く後方で収斂し、先端から生ずる桁毛の間隔は桁間毛の間隔より狭い、さらに後体部前方部分に存在する横に帯状に伸びる肥厚模様や、基節板毛1b,3a,3b,3c,4aは分岐毛であることなどは特異的であり同属の他種から区別される.