著者
宮城 妙子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.76-82, 2014-02-01 (Released:2015-02-01)
参考文献数
25

シアリダーゼは糖タンパク質や糖脂質糖鎖から酸性糖であるシアル酸残基を遊離するExo-型糖分解酵素で,糖鎖分子のコンホメーションや認識機構などを変化させ,多くの細胞機能にかかわっている.哺乳動物細胞には,遺伝子構造,細胞内局在や酵素学的性状が相違する4種が存在するが,これらはがん化で互いに異なった挙動を取り,発現異常を示すことがわかってきた.本稿では,シアリダーゼ異常によってもたらされるがんの糖鎖シアル酸制御の破綻とその意義について,筆者らの研究成果を中心に,この変化ががんの発がん過程や進展にいかに深くかかわっているかを紹介したい.

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出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.656-659, 2001-10-25 (Released:2009-05-25)
被引用文献数
1
著者
上野山 怜子 西川 俊夫 宮崎 雅雄
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.435-440, 2021-09-01 (Released:2022-09-01)
参考文献数
20

蚊は,人類の大敵である.蚊に吸血されると,かゆみが生じるだけでなく,生命を脅かすさまざまな伝染病,たとえば熱帯地域では,マラリアなどに感染する恐れもある.そこで人類は古くから植物からの抽出物を使って蚊を化学防御してきた.このような生存戦略をとった動物は,人類だけではない.たとえばオマキザルやハナジロハナグマなどの動物は柑橘類の果実の皮を身体に擦り付け,その忌避効果を利用していることが知られている(1).つまりヒト以外の動物も進化の過程で病原体を媒介する蚊から身を守る化学防御術を身に着けてきたようである.本稿では,ネコでよく知られたマタタビ反応も実は蚊の攻撃から身を守る重要な行動であるという予想外の知見が得られたので(2),この発見に至った経緯を紹介する.
著者
浜村 保次
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.7, pp.364-370, 1963-12-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
39
被引用文献数
3 4
著者
亀田 佳代子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.245-251, 2001-04-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
26
被引用文献数
5 3
著者
角谷 侑香 山口 暢俊 伊藤 寿朗
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.602-610, 2017-08-20 (Released:2018-08-20)
参考文献数
89

1991年に遺伝学的な解析によって,がく,花びら,おしべ,めしべという4つの花器官は3つのクラスの遺伝子の組み合わせ「ABCモデル」によってつくられることが報告された.その後の研究により,これらの3つのABC遺伝子がどの組み合わせではたらくのかを決める分子的なメカニズムが明らかになっている.さらにABC遺伝子がはたらき始めるための上流の仕組み,およびABC遺伝子が制御する多種多様なイベントと複雑な下流のネットワークの一端もわかってきた.この解説では,近年の研究から見えてきたABC遺伝子が花をつくるための仕組みと順序,およびそこから見えてきた今後の課題を述べる.
著者
葛谷 雅文
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.328-330, 2014-05-01 (Released:2015-05-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1 3

加齢とともに骨格筋量が減少するが,極度に低下する現象をサルコペニアと称し,高齢者のふらつき,転倒・骨折,虚弱状態との関連で,昨今重要視されてきている.その要因はさまざまな仮説が提唱されているが,栄養,特にタンパク質摂取量の低下が大きな要因として注目され,最近では介入研究も報告されてきている.さらにはビタミンDなどとの関連も最近注目されてきており,今後十分な栄養と適度な運動を励行することにより,サルコペニア予防が期待されている.