著者
小川 雅弘
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, 2019

就職(内定)状況調査の2018年3月卒業の大学生就職率は98.0%と,極めて高いと喧伝されているが,この数値は高すぎる。この問題はかつて検討したが,再度,学校基本調査と個別大学公表値と比較して検証した。その結果,就職(内定)調査の就職(内定)率は,実態以上に高く出ている可能性が高いことが確かめられた。
著者
小川 雅弘
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 = Journal of Osaka University of Economics (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1-22, 2016-05

国民経済計算SNA方式の国内総生産・国民総所得についていくつかの誤解―「国民」とは国籍を意味するとの説明,93SNAから国内概念が主になった等―が見られる。国内概念を国民概念へ変換する際の海外との受取・支払い所得が,68SNAまでの要素所得から93SNAで第1次所得に変った。その背景にはSNAの生産要素・要素所得に関する考え方がある。国民総所得は,国民=国内居住者による生産への貢献分でもなく,経常的支出の源泉所得でもなく,国民総生産と国民可処分所得に比べてあいまいな概念である。
著者
黒坂 真
雑誌
大阪経大論集 (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.139-147, 2013-11-15

本論の目的は、社会主義独裁体制による世界革命路線を、資源配分上の効率性という側面から考察することである。分析により、独裁者が指導する海外革命工作組織による工作活動の生産性が上昇すると、独裁者が自国内で自らへの個人崇拝を強化する場合がありうることがわかった。海外革命工作組織に参加する人が多くなると、独裁者は自国内で自らへの個人崇拝を強化することもわかった。旧ソ連や毛沢東期の中国、北朝鮮における個人崇拝の強化は、海外革命工作組織による工作活動の生産性上昇または組織強化がもたらした経済主体の合理的行動の結果と解釈できる。