著者
等松 隆夫 小川 利紘
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.17-36, 1967-01

高度80-200km領域の夜間電離層における電離源としての水素およびヘリウムの紫外大気光について考察した.水素原子1026Å(L_β),ヘリウム原子584Å,ヘリウム・イオン304Å(L_α)の三つの輝線について,これらが地球コロナに起因するものとして,その強度を推定し,同時に観測による水素原子1216A(Z'α)線強度を用いて電離生成率を計算した.電子およびイオン密度が昼間から夜間にかけて減少する過程を各高度レベルで計算し,あわせて夜間の平衡密度を計算した.もし,1216Åおよび1026Åの強度がおのおの4kR(=4×10^9 photons/cm^2/sec),10R(10^7 photons/cm^2/sec)であれば,夜間でも高度90-150kmで10^3cm^<-3>以上の電子密度が保たれ,最大平衡電子密度は105kmで2.5×10^3cm^<-3>となる.1216Åふく射の酸化窒素の電離過程は高度100km以下で有効であるが,100km以上では1026Åふく射の方が電離源として重要であることが結論される.また584Åおよび304Åふく射は,その強度がおのおの10R,1R程度でもO^+,O_2^+,N_2^+の生成に有効である.最後に理論計算の結果と観測結果を比較し,平均の夜間電離層の状態をよく説明できることを示す.資料番号: SA0125029000
著者
等松 隆夫 小川 利紘
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.49-58, 1972-03

1970年9月19目20時30分に打ち上げられた観測ロケット,L3H6号機による高度250~2,017kmの間で地球コロナおよび惑星間空間に起因するとおもわれるヘリウム584Åおよび304Åグローの測定結果にっいてのべる.He 584Å強度は上昇時250~720 kmの範囲で40から100R と増加し,それ以後ぱ減少し,高度1,600 kmでは30Rになった.ロケット下降時には1,400~600kmの範囲では約5R,それ以後ぱ減少し,440kmでは2R以下であった.この結果をもちいて求めた中性大気の温度は1,180°K±50゜Kであり,またヘリウム密度は720kmにおいて(1.2±O.2)×10^6 atoms/cm^3となった.一方,He^+ 304Åは420~1,200kmの開て12から4Rに減少し,また下降時には1.5±0.5Rであった.この強度は電離層に存在するヘリウムイオン量からすると強すぎるので,惑星間ブローである分算が大きい.資料番号: SA0125466000
著者
小川 利紘 等松 隆夫
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.211-219, 1970-03

K-10C-1号機によって,太陽紫外線の吸収を利用して上部成層圏および中間圏のオゾン密度分布を求める観測を行なった.この観測ではロケットの全飛しょう中のデータが得られたので,ロケットのプレセッションによって生じる見かけ上の太陽ふく射強度の変化は測光器の測定域(2500Åバンド,2900Åバンド,4500 Åバンド)で異なっていることがわかった.データ解析に際してはこの効果も含めて,プレセッションの影響を補正し,オゾン密度分布を求めた.またK-9M-21号機のデータをこの方法で再解析した結果から,高度60~65kmに存在すると指摘されていたオゾン密度の「第2のピーク」はその存在が疑わしいことになった.資料番号: SA0125321000
著者
等松 隆夫
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.286-289, 1966-03

資料番号: SA0124821000
著者
野村 民也 二宮 敬虔 風間 三郎 道野 敏雄 熊坂 武雄
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.450-463, 1974-07

スピン安定型の人工衛星で地球に近い軌道を周回するものについて,その姿勢変化を解明しまた制御するためには,衛星の磁気的な諸特性を打上げ瑕前に把握する必要がある.これに関連して今般,科学衛星の磁気的なスピンダンピングトルクを飛しょう前に予知すること,およびスピン速度制御装置の動作試験を行なうことを主目的とする微小トルク測定装置を開発し,今後打上げを予定されている科学衛星に対して実用に供することになった.そこで本報告では,スピンダンピングトルクの測定の観点から本装置を説明する.本装置は微少トルクを微少回転角に変換して測定する方式を採用している.即ち,披測定物をベンディクス社製の十字バネ(cross-spring flexural pivots)で保持し,スピンを模擬するための回転磁界をこれに印加し,発生する(渦電流および磁気ヒステリシス損による)トルクにより生ずるバネの微少回転角を,ヒルガーワット社製のオートコリメータを用いて遠隔計測する.軌道上で衛星に発生するスピンダンピングトルクぱ極めて小さいため,本装置では回転磁界強度およびその回転速度を実際条件より増大することによって,発生トルクを拡大した上で0.1秒角分解能のオートコリメータにて計測できるようになっている. 本装置全体はエアライドにより支えられた除雪今上に乗せられ,また追風ついたてにより空気流動の影響を排除されている.バネ定数の校正は空心コイルまたぱ永久磁石による標準磁気モーメントにより得られる標準トルクによるか,標準畳匪モーメントを持つ物体を装着したときの自由振動周期測定によるかのいずれかの方法で行なわれる.本装置はまた,磁気的トルク以外のトルク測定や慣性モーメントの測定にも使用できる.テストモデルを使用した試験の結果,望ましい条件下では,10dyne-cmに近い微少トルクまで測定可能であることがわかった.以下では,本装置の動作原理,構成,得られた伜匪等について説明する.
著者
宮崎 茂 大塩 光夫 平尾 邦雄
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.1040-1064, 1966-09
被引用文献数
1

1964年1月1日から始まって1965年12月31日に至るまての2年間の大陽活動極小期国際観測年には,計11回の電離層荷電位子密度の顛剥が行なわれ,その中には到達高度1000km 上にも及ぶ,3段式のラムダ型ロケットが3機打ち上げられた.電子密度測定には共振探極法およびラングミュア探極法を用い,正イオン密度測定にはイオン・トラップ法および固定電圧のラングミュア探極法を用いた.この論文では測定器の概要と荷電粒子密度の測定詰果および議論を述べてある.
著者
松岡 勝 宮本 重徳 小田 稔 小川原 嘉明 高岸 邦夫 中川 道夫
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.631-640, 1974-09

さそり座X線源,SCO X-1からの軟X線を観測することはSCO X-1までの星間空間とSCO X-1のまわりの中性ガスの存在(これら両者合わせてSCO X-1までの中性ガスの線密度と言う)を知る上に重要である。われわれはこれまでの3回のロケット実験により軟X線を観測し同種の観測装置,統一的なデータ解析法によりSCO X-1までの中性ガスの線密度を得ることが出来た。この3回の観測結果はガスの線密度が時間的に変動していることを明かにした。もしSCO X-1に対して一様高温プラズマのモデルをとるとするとその最低値は5×10^<20> H/cm^2 以下であり,その最高値は5×10^<21> H/cm^2 であった。資料番号: SA0124432000
著者
小原 嗣朗 武藤 範雄 KOHARA Shiro MUTO Norio
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1_B, pp.379-402, 1977-03

グラファイトノズルとFRPノズルの長所を合わせた性質をもつノズルとして,グラファイト-FRP積層材ノズルの研究を進めた。グラファイトおよびFRPの性質に関する基礎的な研究を行った後,小型の積層材ノズルを作り,テストスタンドで燃焼実験を行った。各種の推薬を用い,種々な条件における燃焼実験を繰返して,実用に供し得る程度の性能をもつ積層材ノズルを開発した。
著者
堤 四郎 竹屋 芳夫 黒田 託三 TUTUMI Shirou TAKEYA Yoshio KURODA Takumi
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1_B, pp.74-86, 1972-03

The basic chemical processes and engineering techniques concerning with the generation of the artificial cesium plasma clouds in the upper atmosphere were investigated. After some prior ground tests, it was designed and constructed the effective rocket- born type vapourizer as to be satisfied the requrement of payload conditions. The total chemicals weighted 8. 1 kg consist of cesium nitrate, aluminium granuels and sodium nitrate with small percentage. The K-9 M-33 rocket carrying this payload and another barium cloud source was launched on 26, Aug. 1971, at Kagoshima Space Center at 19 35 JST. Visible and photogenic plasma clouds were successfully created at the altitude of 117 km and 240 km, respectively. The optical data was obtained for the period of about 300 sec. at the five observing points. HF Radio wave tracking for them was tried by the some facilities, ionosonde at K. S. C. and syncronous receivers at K. S. C. and Nishinoomote City and ionospheric facility at Yamakawa, simultaneously operated. The echoing traces accompanied with the generation of the plasma clouds were appered for the period of about 13 min. in the records of Yamakawa Station. The predicted electron density at the initial phase of the Cs plasma cloud was consistent with observational results.

1 0 0 0 IR 研究の回顧

著者
谷 一郎
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.163-178, 1968-04

資料番号: SA0125062000

1 0 0 0 OA 研究の回顧

著者
谷 一郎
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.163-178, 1968-04

資料番号: SA0125062000
著者
西村 純 太田 茂雄
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2_B, pp.379-384, 1967-06

資料番号: SA0125001000
著者
上杉 邦憲 二宮 敬虔 大西 晃 UESUGI Kuninori NINOMIYA Keiken ONISHI Akira
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1_A, pp.38-64, 1970-01

あるスピン数で回転している衛星を所定のスピン数に減速させるための一手段であるヨーヨー・デスピンについて,その運動の解析と実験がおこなわれた.運動の解析は,二次元モデル次いで三次元モデルを仮定しておこない,さらに衛星とデスピナー(おもり)とを結ぶケーブルにばねを用いた場合の解析がなされた.実験は,エア・ベアリングによって浮かせた模擬衛星に直流モータでスピンを与えたのち,ヨーヨー・デスピナーを作動させて,スピン減速率を光学的回転検出器によって測定した.さらに高速度カメラによる写真を実験の解析に使用した.実験結果と理論値との一致はきわめて良好であり,このスピン減速方式の実用化への基礎的なデータが得られた.
著者
上杉 邦憲 二宮 敬虔 大西 晃
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.38-64, 1970-01

あるスピン数で回転している衛星を所定のスピン数に減速させるための一手段であるヨーヨー・デスピンについて,その運動の解析と実験がおこなわれた.運動の解析は,二次元モデル次いで三次元モデルを仮定しておこない,さらに衛星とデスピナー(おもり)とを結ぶケーブルにばねを用いた場合の解析がなされた.実験は,エア・ベアリングによって浮かせた模擬衛星に直流モータでスピンを与えたのち,ヨーヨー・デスピナーを作動させて,スピン減速率を光学的回転検出器によって測定した.さらに高速度カメラによる写真を実験の解析に使用した.実験結果と理論値との一致はきわめて良好であり,このスピン減速方式の実用化への基礎的なデータが得られた.資料番号: SA0125305000
著者
上杉 邦憲 二宮 敬虔 大西 晃 UESUGI Kuninori NINOMIYA Keiken ONISHI Akira
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1_A, pp.1-22, 1971-01

第一報[1]に続きヨーヨー・デスピンの運動解析と実験が行なわれた。運動解析は三次元モデルにおける硬式ヨーヨーに関して行なわれ,phase1およびphase2でのデスピナーの運動を明らかにする理論式が導かれた。次にばね式ヨーヨーを二次元モデルで作動させる実験が行なわれ,理論との一致が確認された。また断面がハ角形をした模擬衛星を用いて,ケーブルを巻き付ける面が円でない場合の実験が行なわれ,これがデスピナーの運動に与える影響は小さいことが検証された。以上の結果から,このデスピン方式が実際の衛星に十分適用し得るという見通しが得られた。
著者
岡田 実
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.179-200, 1968-04
著者
小田 直樹 杉山 卓也 舞原 俊憲 奥田 治之
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.823-843, 1977-09

視野1°角の気球望遠鏡により波長2.4μmにおいて我々の銀河系の観測を行い,銀経l=350°〜30°,銀緯|b|O°の領域の表面輝度の分布を得た その輝度分布は,銀経方向に約15゜,銀線緯方向に約7.5°の広がりを持ち,かつl≦10゜に鋭い輝度の集中を示すBulge成分と銀河面上での輝度分布がl=10°〜30゜において平坦でその幅が約4°と非常に狭いDisk成分に大別することができる.微細構造としてl=355゜,b=0°の位置に広がった赤外線源を発見した.→観測された輝度分布には,銀河中心方向に星間塵によると思われる強い吸収が認められた.吸収を受けない前の輝度分布をアンドロメダ星雲との類似性から仮定して,星間塵の分布を求めてみると,CO分子の観測で見出された5Kpc Ringに伴なう大量のダスト以外に,銀河中心に集中したダストが存在することが予想される.これらの結果をもとに,銀河系内における星とダストの分布について1つのモデルを組立て,種々の観測結果との比較を試みる.