著者
名取 通弘 外崎 得雄 市田 和夫 砂川 惠
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.p25-47, 1976-01

本報告は観測ロケット発射時におけるランチャ及びロケットの運動計測について述べたものであり,本報告により初めてこれらの運動が具体的に明らかにされた.運動計測はカッパ9M型ロケット及びそのランチャについて行われ,今後の理論的研究及び実験的研究に関して有用な基礎的資料が得られた.
著者
大家 寛 大林 辰蔵
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.959-972, 1966-07

ジャイロ周波数およびプラズマ周波数を含む周波数範囲でプラズマインピーダンスを掃引測定する新しいプラズマプローブとしてジャイロプラズマプローブを開発した.理論的に電子ジャイロ共鳴,シース共鳴およびハイブリッド共鳴の存在を予測していたが,まず1965年7月27日1210 JSTに発射されたK-9M-13号ロケットによる実験でシース共鳴とハイブリッド共鳴を含むジャイロプラズマプローブのデータが得られ,理論を一部実証した.特にハイブリッド共鳴周波数から正確な電子密度分布が得られた.続いて1965年10月4日に発射されたK-9M-14号ロケットによる実験では測定周波数を1.15Mcと5.01Mcの二つに固定して,共鳴の基本的な性質を観測した.その結果ジャイロ共鳴の存在を実証するとともに,ハイブリッド共鳴がイオンシースの存在およびプローブの磁場となす姿勢に無関係に定まることがわかり,これを電子密度測定に応用した場合に精度の高い結果が得られることが確認された.
著者
堀越 二郎
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.109-121, 1965-07

この調査研究の目的はBAC(英)・Sud Aviation(仏)協同のCONCORDE(マッハ2.2),ボーイング(マッハ2.7)およびロッキード(マッハ3.0)3計画の最近の進ちょく状態,SSTの開発および運航に伴う技術的・経済的および心理的な一般問題,あわせて上記3種類の設計の特徴および一般的特性について簡潔な知識をうるためである.現在SSTについての最大の問題は,技術やSST自体の直接運航費よりも広い意味での経済性にあるようだ.技術者の立場からの最大の興味は,同一目標をねらったボーイング案およびロッキード案,すなわち高翼面荷重の可変後退翼機と低翼面荷重の固定デルタ翼機のいづれに軍配が上るかにある.
著者
井口 俊夫
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.1001-1018, 1978-08

成層圏中の微量成分を観測する目的で,気球搭載用質量分析装置を製作した.装置はそれ以前の物に比べ,分析器部分を磁場偏向型の物から四重極型の物にかえるなど,改良がなされた.この装置を用いて1977年8月30日に気球観測を行った.得られたデータを検討した結果,観測装置に問題があるように思われた.それを明らかにするために室内実験を行った.その結果,イオン・ポンプからのガスの再放出,イオン・ソースでの反応,イオン化に伴う二次生成物の影響など問題が多く,成層圏中の大気組成を正確には測っていないことが明らかになった.これら気球実験および室内実験を通して明らかになった装置の問題点と今後の展望について述べる.
著者
林 友直 高橋 武
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.13-23, 1974-01

宇宙観測用二次電子増倍管への応用を主目的とした小型,軽量の直流高圧安定化電源を試作した.ここに述べる回路は,出力側からの帰還による安定化回路をもったCockcroft Walton型整流器で,出力電圧3,000 V, 負荷電流30μAに設計されている.この方式の整流回路を用い,さらに特殊な実装法を適用することによって装置の小型,軽量化を達成することができた.資料番号: SA0124466000
著者
後川 昭雄 高橋 慶治 河端 征彦 高橋 武 富田 秀穂
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.773-798, 1977-09

衛星が軌道中にあるとき,重要な電源である太陽電池の出力がどれ位かを正確に推定するために地上においてその特性が予め正確にわかっている必要がある.本来,太陽電池の出力較正は大気圏外で行うのが最もよい方法であるが,現在まだ回収が不可能であるため,一般には高々度気球を使用して,大気効果の少ない約36km以上の高空で出力較正を行うのが普通である.そこで昭和49年度から50年度にかけて実験装置の設計,製作,地上試験を行ない,昭和51年5月25日に三陸大気球観測所においてB_5気球により衛星用太陽電池の出力較正実験を実施した.今回は第1回目ということもあり飛翔高度は約27kmであった.しかしこの高度ではまだ散乱光の影響が残っており,また気球の反射も当初予想したように大きかった.今後,上記影響を充分に注意して実験を行えば,太陽電池の出力を正しく較正することが可能であり,標準太陽電池の気球による設定化の目途がついたといえる.
著者
鎌田 哲夫
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.168-175, 1970-03

この報告は,ロケットによる雑音電波観測の科学的な目的と,この目的を実行するのに用いた装置と,実際に観測を実施してえられた結果のpreliminaryな事柄に関するものである.実験に用いられたのはK-9M-26号観測ロケットで,他の相乗り機器の電気系統からの電波交渉をさけるため,VLF雑音電波の測定に対する受動的な機器のみを搭載した雑音電波観測専用のものである.さらに飛しょう体が電離層プラズマを乱すことによりつくり出される雑音が実際存在するか否かを検出するために親子方式を採用し親と子とで同一周波数値域の観測を実施した.実験は昭和44年8月24日17時03分JSTに鹿児島県内之浦の東大宇宙空間観測所で実施された.ロケットは正常に飛しょうし,発射後約5分で最高高度341kmに達した.搭載機器もすべて正常に動作し,ホイスラー空電およびその他の電離層プラズマ内での雑音電波観測に成功した.この結果のpreliminaryなものを本文で報告する.
著者
小原 嗣朗 立沢 清彦
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.493-504, 1981-03

液相焼結に対する重力の影響について,理論的な考察およびAl-CuとAl-Fe系を用いて実験を行った.液相焼結の再配列過程における毛管現象に対する重力の影響は,用いた系では実験的に検出できなかった.また,固相粒子の液相金属中における沈降速度の測定値は,計算値より小さかった.このことは,液相中の対流を計算に入れる必要があることを示している.また,このような重力の影響を検出するためには,融点差500℃以上,密度差10g/cm^3以上の系が適している.
著者
小川 俊雄 安原 通博 藤田 晃 香西 和子 川本 洋人
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.991-1000, 1978-08

1977年10月3〜4日に,成層圏の二つの異なった高度(20km及び26km)において,超低周波(ELF)帯の垂直電界成分を約24時間にわたって観測した.これから,シューマン共振が第7モード(44.9 Hz)まで存在し,共振電力のピーク周波数にライン・スプリッティングがあることを見い出した.高度による共振電力の差が第2モードに観測された.共振周波数と共振電力の日変化と,Q型バーストの例を得た.また,50Hz(商用電源周波数)のノイズが観測された.