著者
西村 絵
出版者
日経サイエンス ; 1990-
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.88-93, 2019-05

アフリカのアンゴラ共和国の西岸では,白亜紀後期に海底にあった地層が,その後の地殻変動によって,地上に露わになっている。近年,国際研究チームによって発掘調査が行われた。大型の海生肉食爬虫類モササウルスの新種や,首長竜,牡蠣や魚類など様々な海生生物の膨大な化石が発見され,当時の海の生態系の有り様をうかがい知ることができる。モササウルスは環境に合わせて多様な進化を遂げ,大型の種は海の生態系の頂点に立ったが,共食いや,近縁の種の間での争いも多かった。
著者
ウォン K.
出版者
日経サイエンス ; 1990-
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.66-74, 2017-11

2015年,ある国際研究チームがケニアのトゥルカナ湖北西岸のロメクウィ3遺跡で330万年前の石器を発見したと発表した。これまでの定説によると,人類は300万年前から200万年前にかけての気候変動に適応するなかで技術に依存するようになり,現生人類と同じホモ属が石器を生み出したとされる。
著者
Puttre Michael
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.64-71, 2003-04

2001年11月のある寒い夜,第389遠征戦闘飛行隊指揮官の空軍中佐ローヘッド(Tom Lawhead)はF-16戦闘爆撃機のコックピットから下を見つめていた。地上ではアフガニスタンの反タリバン兵1000人と米軍特殊部隊がカンダハル空港に進軍中だ。
著者
ギブズ W. W.
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.100-103, 2007-02

スペース・インベーダーの白黒画面と対峙して青春を無駄に費やしてきた私たちの世代が今日のコンピューターゲームを見ると,あまりの違いに呆然としてしまう。稚拙なピクセル画で描かれていたサルの「ドンキー・コング」も,驚くほど緻密な3次元のキング・コングに進化した。
著者
Dario Paolo Menciassi Arianna
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.11, pp.60-64, 2010-11

映画『ミクロの決死圏』が公開された1966年当時,ミニチュアになった医師たちが患者の命を救うために血管のなかを脳まで旅して手術をするというこの物語は,純然たるSFだった。ハリウッドがこの作品をコメディー仕立ての『インナースペース』として1987年にリメイクしたころ,実世界の技術者たちはすでに,医師に代わって患者の胃腸管のなかを探検できる錠剤サイズの小型ロボットの試作…
出版者
日経サイエンス ; 1990-
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.64-69, 2015-03

ほかにもブレイクスルーはいろいろある。生きた細胞の働きを変えるための新手法,あなたの視力に合わせて見え方を補正する表示画面,唾液で発電する燃料電池,リサイクル可能な超硬質プラスチック,低品質廃熱を回収する技術など,発想が光るアイデアと紹介する。
著者
Insel Thomas R.
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.62-70, 2010-07
被引用文献数
1

うつ病などの精神病患者は,悪霊にとりつかれている,危険人物だ,意志が弱い,親の育て方が悪かったなど,時代ごとにいろいろな汚名を着せられてきた。精神疾患は脳に明確な損傷が見られないため,純粋に「精神的なもの」と考えられてきたためだ。
著者
ウォン K.
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.52-63, 2003-04

この2,3年間に,人類とアフリカ類人猿の祖先との間に残る空白を大昔にさかのぼって橋渡しできるような,3つの素晴らしい発見が続いた。 パリにある国立自然史博物館の古生物学者ピックフォード(Martin Pickford)とセニュ(Brigitte Senut)は,ケニアのツーゲンヒルでオロリン・ツゲネンシス(Orrorin tugenensis,オロリンは現地語で最初の人の意味)という600万年前の人類化石を発見した。
著者
ペントランド A.
出版者
日経サイエンス ; 1990-
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.68-71, 2015-02

今どきの情報当局は,盗聴や隠しマイクはもう使わない。米国家安全保障局(NSA)は,目をつけた人物だけを調べる旧来の手法に代え,世界中の人間の通信記録を蓄積・監視している。
著者
中島 林彦
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.60-67, 2012-08

2012年,ゴールデンウィーク最終日の5月6日昼頃,関東平野北部から福島県南部にかけて4つの竜巻が発生した。そのうち,筑波山参拝の門前町,つくば市北条を襲った竜巻の規模は日本で起きた竜巻のトップ3に入るとみられている。
著者
西島 和彦
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.98-109, 2009-05

戦後間もなく,素粒子論の新たな扉を開いた西島和彦氏が2009年2月15日に逝去された。1950年代初め,陽子や中性子が素粒子だと考えられていたが,奇妙な振る舞いをする粒子が続々発見された。
著者
Jones Menna E. McCallum Hamish
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.62-68, 2011-09

怖そうな名前が付いているが,なかなかチャーミングな顔つきのタスマニアデビル。カンガルーと同様,お腹の袋で子どもを育てる有袋類だ。かつてオーストラリア大陸にも生息していたが,今ではその名前の通り,同大陸の南に位置するタスマニア島にしかいない。
著者
ローズ A.
出版者
日経サイエンス ; 1990-
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.94-99, 2015-09

メキシコから米国への密入国者が途中で行き倒れになる例が多く,困惑したテキサス州など地元当局は遺骸を氏名不詳のまま共同墓地に葬っている。これを知った3人の法科学者が遺骸の身元を特定して遺族のもとへ帰す試みを始めた。
著者
Zimmer Carl
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.42-50, 2006-03

「自己とは何か」という問いは,長い間,哲学の問題として扱われてきた。しかし最近,状況に変化が生じている。
出版者
日経サイエンス ; 1990-
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.80-83, 2018-10

米科学誌のサイエンティフィック・アメリカン(SA)は7月2日,日経サイエンスと「AIで切り開く新たな未来」と題したシンポジウムを東京都内で開いた。AI(人工知能)は研究が急進し,実用化の取り組みが盛んだ。シンポでは3人の日本の専門家が登壇し研究成果や応用の可能性を紹介したほか,技術的な課題や社会的・倫理的な問題を議論。約100人の聴衆が熱心に聴き入っていた。
著者
ベルフィオール M.
出版者
日経サイエンス ; 1990-
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.94-100, 2012-10

「民間企業が月探査」などというと「本当にそんなことできるの?」と思われるかもしれない。しかし,今やベンチャー企業が作ったロケットで打ち上げた民間宇宙船が国際宇宙ステーションに行って地球に戻ってくる時代。
著者
井元 信之 横田 一広
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.29-35, 2009-10
被引用文献数
1

奇妙な思考実験がある。2つの干渉計を準備し,それぞれに,電子と陽電子を入れる。
著者
Tegmark Max
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.26-40, 2003-08

この世には「別の宇宙」がたくさん存在し,あなたとまったく同じ人生を歩んでいる「もう1人のあなた」がどこかにいる。そんなバカな? いやいや,宇宙に関する最新の観測結果は「並行宇宙」の存在を示唆している。