著者
大橋 直義
雑誌
和歌山大学教育学部紀要. 教育科学 (ISSN:13425331)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.182-176, 2019-02-08

「我が国の言語文化」「伝統的な言語文化」としての「絵本」である絵巻・奈良絵本
著者
森下 順子 森下 正康
出版者
和歌山大学
雑誌
和歌山大学教育学部紀要. 教育科学 (ISSN:13425331)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.43-50, 2006-02-28

母と子の相互作用の中で子育てが進行し、母親が子どもに影響するように、母親自身も子どもから影響されると考えられる。本研究の目的は、子ども自身が持って生まれた気質が、母親の行動や養育態度にどのような影響を及ぼすかを検討することであった。3才児をもつ母親475名を対象に、子どもの気質・母親の行動特徴・養育態度について調査を行い428名のデーターを得た。主要な結果は次の通りであった。(1)パニックになりやすい男児の特徴が、母親の激しい感情表出をひきおこすことが明らかとなった。男児は、パニックになった場合、一般的に動きも激しいため、母親も激しく反応してしまうと考えられる。(2)情緒が安定している男児の特徴が、母親の受容的な関わりをひきおこすことが明らかとなった。育てにくい子どもの場合は、受容的な関わりができずに悩んでいる母親が多かった。(3)パニックになりやすい、あるいは外界に対しての反応が無頓着な女児の特徴が、母親の統制的な関わりをひきおこすことが明らかとなった。一般的に男児と違い女児は、パニックになったとしても、統制的な関わりで対応でき、また、無頓着で反応が鈍い子どもには、母親は、より統制的な関わりになると考えられる。(4)情緒の安定している女児の特徴が、母親の統制的でない関わりをひきおこすことが明らかとなった。穏やかな育てやすい女児から、母親も影響をうけ、お互いに受け入れられるよい関係になると考えられる。以上の結果から、母親の養育態度だけを問題視するのではなく、子どもからの影響も考えられるため、まわりの人たちは母親を受容的にサポートする必要がある。
著者
佐藤 英雄
出版者
和歌山大学
雑誌
和歌山大学教育学部紀要. 教育科学 (ISSN:13425331)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.67-73, 2008-02

現在の中学校は第二次大戦後に義務教育化されたが、それ以前は、高等小学校と旧制中等学校が並立していて、そこでの数学のカリキュラムを単純に対比して言えば、高等小学校では実用的色彩が濃く、旧制中等学校では学問的色彩が濃かった。新制中学校の数学のカリキュラムは基本的には旧制中学校のそれを受け継いだ。大戦後の小学・中学の新義務教育体制のもとでは、さらに、小学校算数科と中学校数学科のカリキュラムを、それ自体としてどのように位置づけるかということとともに、それらの連接関係をどのように捉えるべきかが問題となる。現在に至るまで、カリキュラムの改編は続いている。特に注意すべきは、ある内容が小学校算数に移されたり、中学校数学に移されたりしている。これは算数は数学の前段階、あるいは、数学は算数の発展段階とする考えに基いている。換言すれば、算数と数学は難易度は異なるものの、同質のものであると看做されている。著者は算数と数学は連接関係はあるが、必ずしも同質ではなく、そこにおける思考の型が異なると考える。ここで思考の型と言って、思考の質という言葉を避けたのは、そう言うと数学が算数の上位にあると解されかねないからである。それゆえ、中学校数学の指導に当たってば、思考の型の変換を教師の側が十分に意識しなければならないと考える。本稿では、このような視点で、本稿は中学校数学の「数と式」と「図形」領域について論ずる。なお、本稿は和歌山大学教育学部での講義「数学科教育法A」の概要である。
著者
坂田 真穂 竹田 眞理子
出版者
和歌山大学
雑誌
和歌山大学教育学部紀要. 教育科学 (ISSN:13425331)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.9-14, 2007-02-28

不登校の面接では、不登校生徒本人よりもその保護者が来談することが多く、学校現場では、さまざまなニーズに応じた取り組みが期待されるため、個人心理療法に固執していては問題の解決が困難な場合がある。また、学校におけるカウンセリングでは比較的短期に結果を出すことが求められるため、家族療法など、直接的介入が必要となるケースも少なくない。本研究は、定時制高校に通う不登校男子生徒の両親とのスクールカウンセリング(カウンセラー : 第一著者による)について、家族療法的視点からその過程をまとめ、考察を行ったものである。本研究では、スクールカウンセラーが不登校生徒の両親を対象に夫婦サブシステムを強化する形で家族システムに介入し、また、不登校を起こさせる関わりのパターンを断ち切るよう取り組んだ。その事例を紹介しながら、スクールカウンセラーとして、学校現場でどこまで家族療法的なアプローチが可能であるのかについて考察した。
著者
田中 存 菅 千索
出版者
和歌山大学
雑誌
和歌山大学教育学部紀要. 教育科学 (ISSN:13425331)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.15-22, 2007-02-28
被引用文献数
4

近年、学生の無気力・不登校などの学校不適応が問題となっている。大学生では不登校の出現率は1.2〜2.0%と推測されている。不登校者を小学生から大学生まで含めるとさらに多い。そのきっかけには、本人に関わる問題や、対人関係に関わる問題が挙げられる。さらに、その要因には不安や情緒的なものが挙げられる。学生が抱える不安について調査し、その要因を考えていくことは、学校不適応や不登校、登校拒否など教育現場の深刻な問題にアプローチする重要な手がかりになると考えられる。そこで、本研究では大学生を対象とし、大学生活で抱く不安のみならず日常生活で抱く不安についても考えていく。そして、不安に影響を与えている要因を生活状況・性格特性・対人関係の3方向から、検討していくことを目的とし、和歌山大学教育学部の学生196名(男子101名、女子95名)に対して質問紙による調査を行った。大学生活における不安としては「日常生活不安」「評価不安」「大学不適応」とその合計であ「大学生活不安尺度」の4変数を用いた。また性格特性では、「社会的外向」「神経質」「抑うつ性」の3変数、対人関係では、「社会的スキル」「他者志向性」「演技性」の3変数を使用した。学年と不安に関して分散分析を行った結果、「大学不適応」で、1回生と4回生の間に有意な差が見られた。「大学生活不安」に関しては、対人関係の影響よりも性格特性の影響の方がより強く関係していた。影響力の強い変数から順に、「神経質」>「抑うつ性」>「社会的スキル」であった。「大学生活不安尺度」の下位尺度である「日常生活不安」「評価不安」、「大学不適応」では、日常生活不安」では「神経質」「抑うつ性」「社会的スキル」、また「評価不安」で「神経質」「抑うつ性」「演技性」、さらに「大学不適応」では「抑うつ性」「社会的外向」が強い影響を与えていた。「他者志向性」に関しては大学生活の不安に、影響を与えていなかった。大学生活で抱く不安に関しては、対人関係の影響よりも性格特性の影響の方が強いことが示された。また、不安の高い項目で、対人関係に高い不安を感じているという結果も得られている。現在の大学生では個人差はあるものの、ほとんどの学生が不安を抱えている。特に日常生活における不安と評価に対する不安が高かった。しかし、それらの不安は大学生活の中での漠然としたものに対し多くの不安を抱えるが、単位習得や卒業に対しては、楽観的で甘えのある考えが出てくると考えられる。また、就職など現実的に進む道が見つかった時、不安を感じなくなると考えられる。本研究では、大学生活での不安にどのような要因が関係しているのかを明らかにすることを目的としていたが、その中には日常生活での不安も含まれており、求めたいものが幅広くなりすぎていた。そのため、今後はより目的を絞っていく必要があろう。
著者
佐藤 英雄
出版者
和歌山大学
雑誌
和歌山大学教育学部紀要. 教育科学 (ISSN:13425331)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.51-57, 2006-02-28

「図形」は中学数学の3本の柱のうちの一つとして位置付けられている。具体的に扱われているのは、平面幾何に限定すれば、三角形の合同と相似、円周角等である。「図形」の指導にあたっては、直観と論理の対応をたしかなものにすることが特に重要である。しかし、三角形の合同条件は決定条件と同値として、それを教育上確認させる手段として採られているのは、実際に作図させてただ一通りだけしか得られないことを感覚的に納得させることである。言わば神秘的な三角形の合同条件を認めさせれば、その後の「図形」の展開はかなり論理的に行える。この展開の仕方は、ユークリッド原論のそれを教育的に工夫はしているものの本質的には変わらない。言い換えれば,ユークリッド原論の欠陥を引きずっている。具体的に言えば、ユークリッド幾何の基本手段である、合同や相似の概念が不明確である。基本量は長さと角(の大きさ)であるが、特に角の概念が不明確である。その結果、高校数学で三角関数が出てくるときに戸惑うことになる。中学数学の段階では、これらについて、教育上、あいまい、かつ神秘的な扱いをすることはやむをえない。しかし、教師としては平面幾何を支える数学的な論理的基盤をわきまえておく必要がある。本稿ではユークリッド原論の問題点を指摘し、それを克服するために、複素数の世界(1)で代数的ないし純解析的な手段で構成・展開した複素数体を基盤として平面幾何を展開する。それをヒルベルトの著名な「幾何学基礎論」と対比させる。