著者
鈴木 達也 後藤 健 舟場 正幸 入来 常徳 波多野 義一 阿部 又信
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.4, no.Supplement, pp.39-40, 2001-05-24 (Released:2012-09-24)
参考文献数
3

実験1(n=7)において,健康なネコに市販ドライフード(乾物中CP30%)を1日3時間だけ制限給餌した場合,不断給餌に比べて尿量は変わらなかったが排尿頻度(1日当たりの排尿回数)が減少した。給餌方法に関わらず日中の排尿は少なかったが,時間制限の場合は食後の尿pHが著しく上昇した。一方,不断給餌中は1日を通して尿pHは比較的安定していた。実験2(n=12)において,健康なネコに乾物当たりのCP含量が29%,50%および71%のドライフードを不断給与した結果,粗蛋白質含量の増加とともに排尿頻度および尿量が増加し,尿pHは低下した。
著者
Sheri Ross
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.27-32, 2011-04-09 (Released:2011-05-27)
著者
林 海鷹 松井 徹 堀江 崇文 菱山 信也 藤瀬 浩 矢野 秀雄
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.53-56, 2003-04-10 (Released:2012-09-24)
参考文献数
17

一般臨床上健康な48頭の柴犬から採血を行い,高圧液体クロマトグラフィーにより血漿中ビタミンC濃度を測定した。供試犬の年齢構成は1歳未満4頭,1-2歳12頭,2-5歳7頭,5-10歳12頭,10歳以上13頭であり,性の構成は,雄13頭,雌28頭,避妊雌7頭であった。血漿中ビタミンC濃度は年齢の影響を受けたが(P<0.001),性の影響および年齢と性の交互作用は認められなかった。1歳未満の柴犬は,1歳齢以上のイヌと比較し血漿中ビタミンC濃度が高かった(P<0.01)。一方,1歳齢以降では加齢に伴う血漿中ビタミンC濃度の変化は認められなかった。1歳齢以上の柴犬における血漿中ビタミンC濃度は7.00±1.10mg/L(平均±標準偏差)であり,1歳齢以上の柴犬における血漿中ビタミンC濃度の標準的な値は4.8-9.2mg/L(平均±2×標準偏差)程度であることが推察された。
著者
福島 建次郎 大野 耕一 小田巻 俊孝 高津 善太 前田 真吾 辻本 元
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.13-19, 2018-04-10 (Released:2018-05-18)
参考文献数
8

近年、炎症性腸疾患(IBD)の病態や治療に関連して、腸内細菌叢や消化管粘膜の免疫寛容などに関しての関心が高まっている。しかしながら日本国内において、プロバイオティクスやプレバイオティクスの投与が動物の消化管に及ぼす影響に関する基礎的な研究は限られている。本研究では健常犬6頭にビフィズス菌・乳酸菌製剤(ビヒラクチンDXTM)およびサイリウムを2週間同時投与し、投与前、投与後の腸内細菌叢および腸粘膜における制御性T細胞(T-reg)数の変化について検討した。腸内細菌叢の解析では、投与後に Firmicutes門が減少し、Fusobacterium門および Bacteroides門の菌の構成比が増加していた。 また6頭中5頭で、投与後の細菌構成比が類似したパターンへと変化したことが明らかとなった。しかしながら消化管粘膜におけるTreg数については、有意な変化は認められなかった。今後はT-regの制御に関わるとされる短鎖脂肪酸の解析も実施し、また症例犬を用いた臨床的な検討も必要であると思われる。
著者
湯浅 一之 土井 花織 井田 聡
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.14, no.Suppl, pp.Suppl_65-Suppl_66, 2011-10-01 (Released:2011-12-20)
参考文献数
2

ペットフードにおいて、重要な事は動物が「好んで食べること」である。例え、ダイエット効果などの機能性を付加していても、イヌが摂食をしないとその効果を得ることは出来ない。一般に、ペットフードの開発過程では、二点比較法嗜好性試験が実施される。この方法は、イヌに2種類のペットフードを同時に給与してどちらを食べるかの反応を見て判断している。イヌに、どのようなペットフードを給与しても、選択確率は約60%であり、嗜好性は判然としない場合が多い。そこで今回、特別な訓練を施し二点比較法嗜好性試験に適したイヌの作出を試みた。
著者
川瀬 貴博 古瀬 充宏
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-13, 2019

<p><tt>腸内細菌叢は、迷走神経刺激、免疫系あるいはホルモン分泌を介して、宿主の脳機能を変化させて行動を調節する。近年、我々は腸内細菌が宿主脳内における遊離アミノ酸濃度にも影響を及ぼすことを報告した。乳酸菌の機能性に関する報告が増す一方で、学習能力に対する役割は不明である。加齢に伴う認知機能不全は、ヒト、イヌまたネコにおいても問題視されている。本研究では、</tt><i>Lactobacillus delbrueckii </i><tt>subsp. </tt><i>bulgaricus 2038</i><tt> 及び </tt><i>Streptococcus thermophilus 1131</i><tt> 乳酸菌株を利用したヨーグルトの長期投与が、マウスの空間記憶や大脳皮質における遊離アミノ酸及びモノアミン濃度に及ぼす影響を調査した。その結果、ヨーグルトの長期投与が8方向放射迷路試験における空間参照記憶のスコアを改善し、大脳皮質中のセロトニン、L-アラニン、D-およびL-セリン、L-バリン、L-イソロイシン濃度を増加させた。以上より、ヨーグルトを長期摂取することで、大脳皮質における数種のアミノ酸やセロトニンの代謝が変化し、マウスの</tt><tt>空間参照記憶が改善し得る可能性が推察された。</tt></p>
著者
大楠 千暁 鈴木 馨
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.135-140, 2017-10-10 (Released:2017-12-25)
参考文献数
6

フェレットフードの夜間不断給餌で飼育されてきたヨツユビハリネズミ(1歳9ヶ月齢、雄2個体、雌3個体)について、1日1回夕刻20分間の制限給餌へ食餌時間を4週間かけて変更し、その後の4週間でハリネズミフードへの食餌内容の転換を試みた。フェレットフードの不断給餌を制限給餌に変更したところ、体重は5.2~16.4%減少し、肥満傾向が改善する個体もみられた。ハリネズミフードはフェレットフードより明らかに嗜好性が低かったものの、ほとんどの個体でハリネズミフードに転換できた。ハリネズミフードを1日1回夕刻20分間の制限給餌から夜間不断給餌にして4週間観察しても体重の増加はみられなかった。 肥満がしばしばみられるハリネズミの体重管理には、食餌時間の管理とハリネズミフードの給餌が有効であることが示された。
著者
迫田 順哉
出版者
Japanese Society of Pet Animal Nutrition
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.14-24, 2019-04-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
27

家庭で飼育されているネコにおいて食事の吐き戻しの経験率は6割であった。この現象に対して飼い主の関心は高いものの、ほとんど対策は取られておらず消費現場で問題となっている。従来の多くのペットフードはエクストルーダーにて成型され、その後に栄養調整や嗜好性を上げる目的として油脂類がコーティングされる。エクストルーダー成型によってキブルが硬くなると同時に表面の油量が多い事によって、キブルは水分を弾きやすくなる。この吸水速度の遅さが胃内での胃液消化が開始されるまでの時間の遅延につながっている可能性があると考えた。そこで、吸水性能と離水性能を兼ね備えたリグノセルロースや繊維粒径の大きい精製セルロースを生地に練り込んだキブルや、エクストルーダーの先端で充分に膨化した状態でカットする製造方法によって作成したキブルを作成する事で、吸水速度の向上と短時間でのペプシン消化率の上昇を実現した。このような吸水速度が速く離水性能の高いドライキャットフードを、吐き戻し頻度の高い単頭飼育の家庭ネコに対して給与したところフードの吐き戻しの頻度を軽減する事が確認された。
著者
鈴木 達也 内山 明 金子 政弘 山本 広美 舟場 正幸 入来 常徳 波多野 義一 阿部 又信
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.12-20, 2003-01-10 (Released:2012-09-24)
参考文献数
29

健康な成ネコにおいて食餌のCP含量および炭水化物(粗繊維とNFE)含量が,水分出納およびストルバイト尿石形成の難易に及ぼす影響について比較検討した。実験1(n=12)では乾物当たりのCP含量が29%,50%および71%のドライフードを不断給与し,CP含量の影響を評価した。その結果,CP含量の増加に伴って飲水量と尿量は増加し,尿pHは低下し,[Mg2+]×[NH4+]×[PO43-]つにより求められるストルバイト活性積の負の対数(pSAP)は増加した。一方,尿不溶性の塩酸不溶性画分はCP摂取量の増加とともに減少し,尿中ストルバイト結晶数は逆に減少した。実験2(n=9)ではCP摂取量が等しく炭水化物摂取量が異なる3区間で比較した。対照食は実験1のCP71%食と同じで,他の2種類はCP含量が乾物当たり52%の高デンプン食と高繊維食であった。各区のCP摂取量がほぼ等しくなるよう給与量を調整した結果,炭水化物摂取量は対照区より他の2区で2.5-3倍多かった。その結果,飲水量と尿量には区間で差が生じなかった。対照区と比較して高炭水化物区はpSAPが低下し,特に高デンプン区は尿pHが上昇した。加えて,尿不溶性の塩酸不溶性画分と尿中ストルバイト結晶数は高炭水化物区で増加または増加傾向を示した。以上により,蛋白質とは異なり食餌中の炭水化物は,健康な成ネコにおいてストルバイト尿石形成を促進する可能性が示唆された.
著者
武石 勝 筏圭 太朗 武田 英嗣 石川 信幸 田上 雅之 中俣 由紀子 石橋 晃
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.63-69, 2002-04-10 (Released:2012-09-24)
参考文献数
22

Although a large number of ferrets as a pet are increasing in Japan, they are imported from USA, Canada, and New Zealand etc. Because there are a few available reports on the nutritional character of them, in order to develop a diet for ferrets, three experiments were conducted using gonadectomized male and female ferrets. In Expt.1, the intake of diets with one of four protein sources, meat meal, chicken meal, fish meal and soybean meal was compared. The intake of diet with meat meal was most among them. In Expt.2, the intake of meat meal diets with five crude protein (CP) levels from 20 to 40% CP were compared. The diet with 30% CP was most consumed. When the meat meal diet with 30% CP was supplied daily the consumption of CP and digestible energy per metabolic body size (BW kg0.75) were estimated to be 11.3 g and 150 kcal/day, respectively. In Expt.3, the digestibility of nutrients and the absorbed rate of amino acids of meat meal diet with 30% CP were determined by total feces collection method. The digestibilities were estimated to be 83.0% for CP,96.0% for crude fat, and 74.2% for nitrogen free extract, respectively. The average absorbed rate of AA was higher than 70%. The obtained values except digestibility of NFE were higher than those reported in cats.
著者
森本 ゆり 宮本 浩徳 古瀬 充宏
出版者
ペット栄養学会誌
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.5-6, 2006

ドワーフハムスターであるジャンガリアンハムスターとロボロフスキーハムスターにおいて,食の嗜好性に違いがあるか否かについて調査した。まず,飼料の色に対する嗜好性を調べたところ,ジャンガリアンハムスターは緑色の飼料を好んで摂食した。次に,実験動物用ペレット,ニボシ,ヒマワリの種およびカボチャの4種類に対する選択摂取テストを行った。その結果,カボチャを摂取する割合が最も高かった。また,ほとんど摂食しなかったニボシに対して,嗜好性が高かったカボチャの風味に対する反応テストも行った。結果として,嗜好性が低い食物であっても,好んで摂食するものの風味付けにより摂食量が増加することが示唆された。さらに,水分を多く含むキュウリとキャベツならびに水分の少ないヒマワリの種とクルミの4種類に対する選択摂取テストを行った。どちらのハムスターも水分含量が多い食物を多くの割合で摂食した。
著者
鈴木 達也 牧 小伝太 後藤 健 舟場 正幸 入来 常徳 波多野 義一 阿部 又信
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.7-12, 2001-04-10 (Released:2012-09-24)
参考文献数
15

ネコに対する高蛋白食給与が尿中ストルバイト結晶数および尿不溶性成分濃度に及ぼす影響について検討した。健康な成ネコ8頭を用い,1期3週間のswitch-back法により実施した。実験食は粗蛋白質含量が乾物当たり29%(対照食)および55%(高蛋白食)の2種類のドライフードとした。高蛋白食給与により尿pHが低下する一方,飲水量には差がなかったにもかかわらず尿量が増加した。また,高蛋白食給与により尿中NH4+濃度は増加したものの,Mg2+ならびにPO43-濃度が低下したため,それらイオンの濃度積(ストルバイト活性積)は低下した。このことはストルバイトが結晶化しにくいことを意味し,実際,高蛋白食給与群では尿中ストルバイト結晶の濃度および日量が減少した。また,高蛋白食給与により尿の沈渣(総不溶性成分)の濃度は減少したが,その減少は尿沈渣中のHCl可溶性区分(無機成分)と同時にHCl不溶性区分(有機成分)の減少によるものであった。しかし,これらの成分は日量では減少しなかったため,尿中濃度の減少は尿量の増加によると考えられた。以上の結果は,健康ネコにおける高蛋白食給与はストルバイト尿石予防に有効であることを裏付けた。
著者
黒澤 亮 得能 樹之 白石 明子 祐森 誠司 池田 周平 栗原 良雄 伊藤 澄麿
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.5, no.Supplement, pp.7-8, 2002-05-15 (Released:2012-09-24)

幼兎を用いて,食糞行動とビタミン吸収の関係を検討した。供試飼料は,豆腐粕(風乾物)とコーンスターチを主体としたビタミンフリーの組成とし,NRCのミネラル剤と F.LEBASの報告したビタミン剤を給与した区(対照区)と欠除した区(試験区)の2種類を調製した。これら飼料を食糞行動を阻止したウサギと阻止しないウサギに給与し,体重の変動,飼料摂取量,排泄糞重量,排泄糞組成を測定した。体重変動,飼料摂取量に対して,食糞行動の阻止は有意に抑制的に作用し,ビタミン給与はそれを若干補正する程度であった。またビタミンB12およびビタミンEの排泄量は,ビタミン給与で多く,食糞行動の阻止で少なかった。
著者
高木 伸哉 池田 裕美 川瀬 貴博 長澤 麻央 チョウドリ V.S. 安尾 しのぶ 古瀬 充宏
出版者
Japanese Society of Pet Animal Nutrition
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.67-72, 2013

カテコールアミンの前駆体であるL-チロシンの長期投与は慢性ストレスがもたらす行動を緩和することが知られているが、急性ストレス時にL-ならびにD-チロシンの効果を比較した報告はない。本研究では、急性ストレスに対するL-チロシンとD-チロシンの経口投与がマウスの行動に及ぼす影響と脳内の両チロシン濃度に及ぼす影響を調査した。オープンフィールドにおける行動量にL-ならびにD-チロシンの効果は認められなかった。経口投与35分後にL-チロシン投与により血漿L-チロシン濃度は急激に上昇したが、D-チロシンの投与では血漿D-チロシンの緩やかな上昇が観察された。興味深いことに、対照区の各脳部位(大脳皮質、海馬、線条体、視床、視床下部、脳幹ならびに小脳)において、D-チロシンの濃度はL-チロシンの1.8-2.5倍高かった。すべての脳部位において、L-チロシンの投与によりL-チロシン含量は増加したが、D-チロシンの投与でD-チロシン濃度の上昇は認められなかった。上記より、急性投与したL-チロシンとD-チロシンは行動量に影響しないが、L-チロシンとD-チロシンの脳内移行の様相は異なると結論づけられた。