著者
酒井 哲 内野 修 森野 勇 永井 智広 赤穂 大河 川崎 健 奥村 浩 新井 康平 内山 明博 山崎 明宏 松永 恒雄 横田 達也
出版者
社団法人 日本リモートセンシング学会
雑誌
日本リモートセンシング学会誌 (ISSN:02897911)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.197-204, 2014-07-04 (Released:2015-01-27)
参考文献数
15
被引用文献数
2

Volcanic ash particles originating from the eruptions of Mt. Sakurajima (31.59°N, 130.66°E) were observed with Mie lidar at an altitude of 1.6-2.3 km over Saga (33.24°N, 130.29°E) on 21 and 22 August, 2013. The lidar data showed a high depolarization ratio (10-15 %) and a moderately low backscatter wavelength exponent (0.6-0.7), indicating the presence of supermicrometer-sized nonspherical particles. The aerosol optical thicknesses at 500 nm derived from the skyradiometer were 0.12 on 21 August (13 : 50 LT) and 0.40 on 22 August (12 : 50 LT). The Ångström exponent was 0.16-0.49 and the single scattering albedo was 0.73-0.91, indicating the predominance of supermicrometer-sized and moderately absorbing particles.
著者
浅野 正二 内山 明博 塩原 匡貴
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.165-173, 1993-02-25
被引用文献数
4

1991年および1992年の1月から4月の期間に筑波(36.05゜N,140.13°E)において、大気柱に含まれるエーロゾルの光学的厚さ(AOT)の波長分布を多波長サンフォトメータを用いて測定した。1992年に観測された大気柱のAOTは、1991年に比べて0.1〜0.2ほど大きかった。この違いの主な原因は、1991年6月に起きたピナトゥボ火山の大噴火に起因する成層圏エーロゾルの増大と考えられる。成層圏エーロゾルによる光学的厚さは1992年2月に最大であり、この値は1982年12月に観測されたエルチチョン火山の場合の最大値を超えた。AOTの波長分布から大気柱内エーロゾルの粒径分布を推算した。成層圏エーロゾルに対するAOTから、約0.6μmのモード半径および0.05より小さい有効分散値をもつ一山型の狭い分布が、ピナトゥボ火山性エーロゾルの粒径分布として推定された。この一山型の狭い粒径分布は、ビショップ光環のシミュレーションから推定された粒径分布(Asano,1992)と合致する。
著者
岡松 佑樹 井上 勝博 川上 覚 河口 知允 内山 明彦 笹栗 毅和
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.373-378, 2016-10-20 (Released:2016-11-11)
参考文献数
15

背景.軟骨肉腫は大腿骨や骨盤から発生することが多く,肺より発生する軟骨肉腫は極めて稀であり,国内では自験例を含めて18例が報告されているのみである.症例.53歳男性.高血圧症,脂質異常症で近医通院中であった.初診1か月前より咳嗽を認め,かかりつけ医を受診した.胸部X線写真で右下肺野に腫瘤影を指摘されたため当科紹介受診となり,精査目的に入院となった.胸部CTで右中下葉にまたがる腫瘤を認め,気管支鏡検査では確定診断には至らなかった.MRI,FDG-PET検査により悪性腫瘍が疑われたため,右中下葉切除術を施行した.切除標本の病理組織所見では,硝子軟骨様の多量の基質中に大小不同の異型性を有する軟骨細胞様の腫瘍細胞が増生しており,軟骨肉腫の病理診断となった.全身検索の結果,他臓器からの肺転移は否定的であり原発性肺軟骨肉腫と考えられた.術後経過は良好で,現在も再発や他臓器の原発巣の出現なく経過している.結語.今回我々は肺原発と考えられる軟骨肉腫の1例を経験した.治療の第1選択は手術による完全切除とされ,完全切除された場合の予後は比較的良好であるが,再発例も多く自験例も慎重な経過観察が必要である.
著者
内山 明博 浅野 正二 塩原 匡貴 深堀 正志
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.513-532, 1999-04-25 (Released:2009-09-15)
参考文献数
43
被引用文献数
4 4

気象庁気象研究所では、上層の氷雲の微物理特性と放射特性同時観測のために地上からの観測システムを開発した。観測システムは、雲粒子ゾンデ(HYVIS)、ライダーと各種放射計からなっている。本論文では、観測システムの概要と1989年6月22日,30日に観測された梅雨前線に伴う巻層雲の構造と放射特性について述べた。HYVISによって観測された氷晶の粒径分布は、べき乗関数で近似でき、その指数は全層平均で3.2であった。粒径分布の顕著な温度依存は、見られなかった。全天日射量の透過率は、同時に測定したサンフォトメーターから推定した可視の光学的厚さに関係づけ、理論値と比較した。その比較は、氷晶粒子に対する非等方因子(asymmetry factor)は球形の粒子に対するものより小さいことを示している。放射温度計の測定値から波長10.5μmでの有効射出率を推定した。さらに、フーリエ変換型赤外分光光度計のデータから波数800から1200cm-1の間の有効射出率の波数分布も推定した。観測した巻層雲は可視の光学的厚さが1.0以上で有効射出率は0.4以上あり光学的に厚かった。
著者
鈴木 達也 内山 明 金子 政弘 山本 広美 舟場 正幸 入来 常徳 波多野 義一 阿部 又信
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.12-20, 2003-01-10 (Released:2012-09-24)
参考文献数
29

健康な成ネコにおいて食餌のCP含量および炭水化物(粗繊維とNFE)含量が,水分出納およびストルバイト尿石形成の難易に及ぼす影響について比較検討した。実験1(n=12)では乾物当たりのCP含量が29%,50%および71%のドライフードを不断給与し,CP含量の影響を評価した。その結果,CP含量の増加に伴って飲水量と尿量は増加し,尿pHは低下し,[Mg2+]×[NH4+]×[PO43-]つにより求められるストルバイト活性積の負の対数(pSAP)は増加した。一方,尿不溶性の塩酸不溶性画分はCP摂取量の増加とともに減少し,尿中ストルバイト結晶数は逆に減少した。実験2(n=9)ではCP摂取量が等しく炭水化物摂取量が異なる3区間で比較した。対照食は実験1のCP71%食と同じで,他の2種類はCP含量が乾物当たり52%の高デンプン食と高繊維食であった。各区のCP摂取量がほぼ等しくなるよう給与量を調整した結果,炭水化物摂取量は対照区より他の2区で2.5-3倍多かった。その結果,飲水量と尿量には区間で差が生じなかった。対照区と比較して高炭水化物区はpSAPが低下し,特に高デンプン区は尿pHが上昇した。加えて,尿不溶性の塩酸不溶性画分と尿中ストルバイト結晶数は高炭水化物区で増加または増加傾向を示した。以上により,蛋白質とは異なり食餌中の炭水化物は,健康な成ネコにおいてストルバイト尿石形成を促進する可能性が示唆された.
著者
内山 明博 浅野 正二 塩原 匡貴 深堀 正志
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.513-532, 1999-04-25
被引用文献数
1

気象庁気象研究所では、上層の氷雲の微物理特性と放射特性同時観測のために地上からの観測システムを開発した。観測システムは、雲粒子ゾンデ(HYVIS)、ライダーと各種放射計からなっている。本論文では、観測システムの概要と1989年6月22日, 30日に観測された梅雨前線に伴う巻層雲の構造と放射特性について述べた。HYVISによって観測された氷晶の粒径分布は、べき乗関数で近似でき、その指数は全層平均で3.2であった。粒径分布の顕著な温度依存は、見られなかった。全天日射量の透過率は、同時に測定したサンフォトメーターから推定した可視の光学的厚さに関係づけ、理論値と比較した。その比較は、氷晶粒子に対する非等方因子(asymmetry hctor)は球形の粒子に対するものより小さいことを示している。放射温度計の測定値から波長10.5μmでの有効射出率を推定した。さらに、フーリエ変換型赤外分光光度計のデータから波数800から1200cm^<-1>の間の有効射出率の波数分布も推定した。観測した巻層雲は可視の光学的厚さが1.0以上で有効射出率は0.4以上あり光学的に厚かった。
著者
青木 輝夫 青木 忠生 深堀 正志 内山 明博
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.595-614, 1999-04-25
被引用文献数
12

雪面及び大気上端(TOA)における波長別及び波長積分した積雪アルベドに対する大気の効果を調べた。そこでは空気分子、吸収気体、エアロゾル、雲による吸収と散乱の効果を、doubling and adding法とMie理論に基づいた大気 - 積雪系の多重散乱放射伝達モデルによって見積もった。波長別雪面アルベドは太陽天頂角が大きいとき、大気中の吸収気体によって大気がないときに比べて減少することが示された。その太陽天頂角依存性は波長0.5μm以下でレイリー散乱によって弱められ、ほとんどの波長でエアロゾル及び雲によって弱められた。水蒸気の豊富な大気は、太陽天頂角が大きいとき、水蒸気の吸収帯で波長別アルベドを減少させた。ところが近赤外域の下向きフラックスが水蒸気の吸収によって減少するため、波長積分したアルベドは数パーセント高くなった。エアロゾルは太陽天頂角が小さいとき波長積分した雪面アルベドを増加させ、太陽天頂角が大きいときには減少させた。しかし、エアロゾルは太陽天頂角が大きいときを除き、波長積分したプラネタリーアルベドを減少させた。光学的に厚い雲は太陽天頂角に依らず波長積分した雪面及びプラネタリーアルベドの両者を増加させた。太陽天頂角が小さいとき可視域では、雪面上における曇天時の下向きフラックスが晴天時のそれを上回り、また両者はさらに大気外日射フラックスを上回り得ることがわかった。この現象は雪面と大気(雲)の間の多重反射によって説明できる。しかし、雪面上における曇天時の全天日射量は、晴天時及びTOAにおけるそれらを上回ることはなかった。