- 著者
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田所 摂寿
- 出版者
- 作新学院大学
- 雑誌
- 作大論集 = Sakushin Gakuin University Bulletin (ISSN:21857415)
- 巻号頁・発行日
- no.8, pp.49-63, 2018-03-15
本論文の目的は「カウンセラー」という専門職のアイデンティティについて、歴史や定義を振り返ることによって再検討し、明確に構築することを試みたものである。本論文では、日米の歴史の変遷を概観し、それぞれの団体や論文が提示するカウンセリングの定義についてまとめた。その上で、日本におけるカウンセリング実践者およびカウンセラー教育者として、最重要であると考える6つの課題をまとめた。①カウンセラーのアイデンティティを明確に確立し、カウンセリングの定義を公に示し、理解を広める努力をしなければならない。②カウンセリングのそれぞれの専門分野を尊重し、カウンセラーとして統一見解に至った発言をしなければならない。③カウンセラー教育プログラムは、実証的データに基づく専門知識と専門技術を提供しなければならない。④カウンセリング専門団体は、最前線の実践家を団体の意思決定に組み入れ、研究と実践が乖離しないように努力しなければならない。⑤カウンセラーは、研究者-実践家モデルに忠実であり、個々人の状況に応じた形で研究に関わるように努めなければならない。⑥カウンセラーは、エビデンスに基づき倫理的な実践を行わなければならない。