著者
兼宗 進
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.92-99, 2019-09-01 (Released:2019-09-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1

2020 年度から始まる新しい教育課程では,小学校から高等学校までの12 年間の教育課程の中で,プログラミングを教科に位置付けた情報教育が行われる予定である.小学校ではプログラミングを体験し,中学校では計測・制御と双方向コンテンツのプログラミングを学び,高等学校ではアルゴリズムを含めたプログラミングを学ぶ.本稿では,有識者会議等の議論で得た知見を含め,学校教育におけるプログラミング教育を概観し,筆者が進めているプログラミング教育の研究を紹介する.
著者
大平 孝
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.15-22, 2021 (Released:2021-06-01)
参考文献数
25

ワイヤレス給電システムの一般的ブロック構成を示し,各ブロックの設計開発に役立つ基本理論を紹介する.結合系の最大電力伝送効率を支配するkQ 理論を述べる.一般化kQ 式を用いることで,電界や磁界など様々な結合方式の設計が可能になる.インピーダンスと反射率の関係を直感的に捉えることができる複素数平面を示す.この平面上でインピーダンスを頂点とする三角形の二辺の長さの比が反射率である.反射率と定在波比の関係を視覚的に捉えるための教材として考案されたゴムひもモデルを示す.このゴムひもモデルを使えば,数式も電卓も用いることなく,計算尺のような感覚で定在波比の振舞いを習得できる.結合系において,入力ポートと出力ポート両方で同時に整合をとることの重要性を述べる.電圧定在波比を二乗した電力定在波比の導入で,従来のスミス図表の中心付近が拡大される.インピーダンス平面上の2 点間を結ぶ曲線の長さを回路設計規範とするという考え方を述べる.高周波インバータを高効率で動作させるための負荷条件は複素数平面上で測地線となる.ダイオード整流回路で電源と負荷の抵抗比が流通角と電力変換効率を決定する.ここで述べた高周波回路理論は今後多彩なワイヤレス給電系の開発に大きく貢献する.
著者
小川 恭孝 大鐘 武雄 西村 寿彦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.11, pp.11_32-11_38, 2009-12-01 (Released:2011-06-02)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

数十Gbit/s以上の超高速通信が必要になった場合,MIMO伝送が必須技術となることは容易に想像できる.しかし,実際に超高速伝送を実現できるかどうかは,アンテナ本数のみならず,周波数帯,伝搬環境,実装技術に大きく依存する.特に超高速伝送が使用されると考えられる見通しのある解放空間では,空間相関が高くなるため,MIMO伝送の効果が減少する.したがって,アンテナ配置や伝搬構造の能動的最適化など,改善手法について述べる.
著者
不破 泰 北辻 佳憲 酒井 清一郎 松永 彰 大河 亮介
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.200-209, 2020 (Released:2020-12-01)
参考文献数
10

山岳登山ブームの中,遭難者の増加が問題になっている.このことを背景に,我々は登山者見守りシステムを開発している.このシステムは,登山者の位置ログを作成し,このログから遭難の発生を自動的に判定し,安全・迅速に救助することを目的としている.そして,通信システムとして山全体をカバーするLPWA と,特定の遭難者の状況を高精細映像等で把握する5G を組み合わせて採用している.実際に中央アルプスにおいて,2018 年7 月からLPWA の実証実験を行い,更に2019 年10 月には5G 総合実証(評価実験)を行った.本稿では,主にこの5G の評価実験について述べ,5G の有用性とカバレージについて論じる.
著者
高橋 応明
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.7, pp.7_51-7_58, 2008-11-25 (Released:2011-06-03)
参考文献数
30
被引用文献数
1 2

近年のRFID(Radio Frequency Identification)システムの急速な普及には目覚ましいものがある.使用されているアンテナは,システム全体の中で最も設計が難しいといっても過言ではない.これはアンテナの設計パラメータが,形状,材質,ICとのインピーダンス整合,通信エリアや各種規制等の遵守等々と非常に多岐にわたるためである.RFIDシステム(以下RFID)には使用する周波数帯がいくつか用意されており,13.56MHz帯とUHF帯(860~960MHz),2.45GHz帯等では,動作原理が異なるため,使用するアンテナの種類が異なる.また,RFIDタグを貼り付ける物質(金属や高誘電体等)によっても,アンテナ特性が大きく変化する.本論文では,RFIDタグ用アンテナの設計について述べる.
著者
酒井 五雄
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.2, pp.2_55-2_61, 2007-08-25 (Released:2011-06-03)
参考文献数
5

Bluetoothは2.4GHz帯域を使用する「パーソナルエリアネットワーク」(後述)のための近距離無線規格で,1998年4月に1Mbit/sの伝送速度をもつ基本仕様が発表された.本論文ではBluetoothのハードウェア,ソフトウェアの基本構成及び動作を説明し,「だれでも手軽に使うことを目指した無線規格」としての観点から,無線LANとの競合回避,接続時間の短縮及び伝送速度高速化というこれまでの仕様更新の要点に関して述べた後,将来に向けたBluetoothの動向を紹介する.