- 著者
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萩原 茂樹
米崎 直樹
- 出版者
- 一般社団法人 日本応用数理学会
- 雑誌
- 応用数理 (ISSN:24321982)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.4, pp.291-301, 2007-12-26 (Released:2017-04-08)
- 参考文献数
- 10
暗号プロトコルの解析は,確率的多項式時間チューリング機械を用いる計算論的手法と,Dolev-Yaoモデルに基づく記号論的手法がそれぞれ独立に研究されてきた.記号論による解析は,抽象レベルの解析とみなせ簡潔で分かりやすい一方,記号論による解析結果と計算論による解析結果の対応が明らかでなかった.この問題に対してAbadiとRogawayは,完全な対称鍵暗号方式を前提としてメッセージの見た目の等価性を記号論的に定義し,メッセージが等価ならばそれらは計算論的に識別不可能であること,すなわち記号論によるメッセージの識別不可能性の計算論的意味づけに対する健全性を示した.さらに,MicciancioとWarinschiはその完全性を示している.本稿では,これら内容を中心に関連する研究を含め紹介を行う.