著者
松尾 宇泰 宮武 勇登
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.213-251, 2012-09-25 (Released:2017-04-08)
参考文献数
49

微分方程式の数値解法のうち,微分方程式が持つ何らかの構造を離散系でも再現する特殊な数値解法のことを「構造保存数値解法」と呼ぶ.構造保存数値解法は,1980年代に常微分方程式系に対し提唱されてから長足の進歩を遂げ,最近では偏微分方程式系に対しても研究が進んでいる.本サーベイでは,これらの基礎と最近の進展について概説する.
著者
降籏 大介 松尾 宇泰
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

離散関数解析,変分理論の構成についてわれわれは研究を行い、微積分作用素間関係の離散的対応と差分作用素のなす空間における差分変換行列の概念を提唱、数学的評価を行うとともに、これらの結果を用いて一定の微積分不等式の離散版を統一的に証明するとともに、それらを成立させる数学的条件などについて研究を進めた.証明技法に関する議論により数学的制約の理解を深め、本議論がより広い関数空間で成り立つ強い示唆を得た.また、変分理論で用いる主要な概念の離散定義を拡張する研究も推進した.これにより、グリーン定理などの基本関係式の離散版に基づき離散変分理論概念を拡張し、差分法のさらなる数学的基盤を定義した
著者
松尾 宇泰 相島 健助
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

現代科学・工学では,微分方程式の数値計算に基づくシミュレーションが必須であるが,扱う問題が飛躍的に大規模化する一方,ムーアの法則の終焉により,並列(高性能) 計算のみに頼った性能向上は以前ほど望めなくなっている.本研究は,この状況を本質的に打開するために,数値解析学における最先端の2大トレンド,「構造保存数値解法:方程式の数理構造を活用することで物理的に適切な数値解を保証する手法」,および「モデル縮減法:大規模方程式を低次元近似することで数理的に計算量を削減する手法」を組み合わせ,数理的手法により,物理的に正しい数値シミュレーションを高速に行う,新しい数値計算法の枠組を創出することを目指す.平成29年度は,まず非線形シュレディンガー方程式に対してSymplecticモデル縮減法を適用し,良好に動作することを確かめた.またカーン・ヒリヤド方程式など散逸型の方程式に対して,最新の(非構造保存的)モデル縮減法をいくつか実装し,それらの有効性をある程度確認した上で,構造保存的でないモデル減ではこれらの方程式のモデル縮減に限界があることを初めて明らかにした.以上の成果は,「構造保存的モデル縮減」という考え方がモデル縮減においては必須であり,その方向の研究が望まれることを改めて示すものである.また動的モード分解法について検証し,その新しい拡張を与えた.さらに,一般線形系に対するある種の乱択アルゴリズムについて,初めて理論的収束証明を与えた.
著者
松尾 宇泰 杉原 正顯 森 正武
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.307-319, 1997-09-15 (Released:2017-04-08)
参考文献数
8

Through numerical experiments we compare the performance of the three algorithms (Linpack algorithm, Hager's algorithm, and Natori Tsukamoto's algorithm) and their variants for estimating the condition number of a matrix, and make recommendation concerning the use of the estimates in applications.
著者
松尾 宇泰 宮武 勇登
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.213-251, 2012-09-25

微分方程式の数値解法のうち,微分方程式が持つ何らかの構造を離散系でも再現する特殊な数値解法のことを「構造保存数値解法」と呼ぶ.構造保存数値解法は,1980年代に常微分方程式系に対し提唱されてから長足の進歩を遂げ,最近では偏微分方程式系に対しても研究が進んでいる.本サーベイでは,これらの基礎と最近の進展について概説する.
著者
相島 健助 松尾 宇泰 室田 一雄 杉原 正顕
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.97-131, 2007-06-25
被引用文献数
3

Convergence theorems are established with mathematical rigour for two algorithms for the computation of singular values of bidiogonal matrices: the differential quotient difference with shift (dqds) and the modified discrete Lotka-Volterra with shift (mdLVs). Global convergence is guaranteed under a fairly general assumption on the shift, and the asymptotic rate of convergence is 1.5 for the Johnson bound shift. This result for the mdLVs algorithm is a substantial improvement of the convergence analysis by Iwasaki and Nakamura. Numerical examples support these theoretical results.