著者
大川 佳寛 小林 健一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.2G4GS2f03, 2021 (Released:2021-06-14)

学習済み機械学習モデルを用いたAIシステムの運用において,コンセプトドリフトとも呼ばれる時間経過に伴うデータ分布の変化は,システムの性能低下を引き起こす主な原因の一つである.しかしながら,システム運用前に,運用中のデータ(運用データ)の分布変化を事前に予期することは困難であることに加え,取得した運用データに正解ラベルを手動で付与することは高コストな作業である.従って,AIシステムが運用中においても長期間に渡ってモデル学習時と同等の性能を維持するためには,ラベルなし運用データに対しても,コンセプトドリフトを含む分布変化をリアルアイムで検知し,その変化に対してシステムを適応させる必要がある.そこで本稿では,上記のコンセプトドリフトの検知および適応手法に関して,これまで発表された代表的な手法から最新の手法までの調査結果について述べる.特に,検知・適応時において,運用データの正解ラベルを用いない(または少数の正解ラベルのみ限定的に用いる)各手法について,その特徴に基づいて整理し,紹介する.
著者
Jin Michel OGAWA Tamao SAITO Ikuko Eguchi YAIRI
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.4N3IS1b03, 2021 (Released:2021-06-14)

The microbiome drifting through the upper stream to downstream are considered to be affected by innumerable natural or artificial factors. Caching up the changing of microbiome from these factors has the great importance for social to make the novel index of environment pollution and health safety. Since DNA sequencing technology improved these days, the number of studying river metagenome are increasing and the feature of changing river microbiome are surveyed. However, the predictable models for river microbiome are still not understandable yet.In this study, we found the effective factors of microbiome from two river, Tama river and Sinos river, located from nature-close to city-close area and examined the possibility of constructing predictable models for river microbiome by comparing with each river.Our result showed that both Tama river and Sinos river preserved the microbiome in upper stream through the time, and in downstream of Tama river has the stable microbiome, and microbiome of Sinos river indicate that microbiome shift by longitudinal water flow.
著者
田和辻 可昌 布川 絢子 山川 宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.2H1GS3a02, 2021 (Released:2021-06-14)

これまでオントロジカルAIにおいて機能を捉える枠組みは人工物をドメインとして提案されてきた.一方で,脳を参考にしたアーキテクチャを開発する上では,人工物のような合目的的な機能を設定するのではなく,自然物としての物理的構造に矛盾しない形で合目的的に機能を設定する必要がある.このような機能は一意に与えることができず,多元的にならざるを得ないという性質を有する.そこで本研究では,脳型アーキテクチャの構築を志向して,合目的的自然物における機能を多元的に解釈する枠組みに必要な概念を整理することを目的とする.本研究では,従来の関連する重要な概念として,David Marrの提唱した三つの水準を再考し,開発者と設計者間で合意が取れる概念の整理を試みた.この結果,David Marrの提案した三水準では,実質的ではあるものの機能的な観点と物理的な観点が未分化であり,またこの暗黙的な混同はソフトウェア開発一般における問題であることが明らかとなった.本研究の整理によって,脳型アーキテクチャの設計者・開発者間で合意が取れる概念が整理され,機能と構造を一貫した関係で捉えることが期待される.
著者
水野 貴之 土井 翔平 土屋 貴裕 栗崎 周平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.4H2GS11c05, 2021 (Released:2021-06-14)

約6600万ノード(企業とその株主)で構成されるグローバルな株所有ネットワークに,約80万種の投資ファンドを結合する.投資運用会社は,投資家の投資ファンドを運用することにより多くの企業の直接的または間接的な株主になり,収益を得る.そして,株主として企業を支配する.我々は,複雑でグローバルな株所有ネットワークを紐解き,社会的責任を伴うESGの投資ファンドとヴァイス企業(たばこ,軍需産業など)とを繋げる経路が存在することを指摘する.投資をやめれば,ヴァイス企業からの収益はなくなるが,支配することができず野放しになる.一方で,投資をおこなえば,ヴァイス企業からの収益を受け取ることになる.このジレンマは,グローバル株所有ネットワークで線形におこなわれる収益の配分と,多数決を通じて非線形におこなわれる支配力の配分を定量化し,収益と支配力とのバランスで投資の可否を決断することにより解決できる.
著者
山川 宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.1H2GS1a01, 2021 (Released:2021-06-14)

人工知能が思考の幅を大きく広げ、科学的発見につながる創造能力を獲得するには、帰納的推論の枠組みである整列構造を自律的に発見できなければならない。本研究では、整列構造を支える3種類の関係を自動的に構築する方法を目指す。指定関係とその等価性は、計算処理によって様々な方法で構成できると仮定しうることが明らかになった。しかし、比較可能性についてはセンサの特性から得るしか無い。そこで、センサの比較可能性に合致するように様々な指定関係を組み合わせて、新たな整列構造を得る手段を検討した。すると、それは、対象を認識・操作しやすいモノとして扱う意味での「客体化」とみなせることがわかった。そして現在進呈している深層生成モデルの中で特にアテンション機能を備えたモデルは、整列構造に基づいて客体を学習する実現要件を満たしつつある。しかしながら新たな客体化を学習することは未だ難しさが残るようである。
著者
鶴田 大 豊島 裕樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.2H3GS3b03, 2021 (Released:2021-06-14)

金融機関においてアパートローンの残高が中長期的に増加してきており、金融機関ではアパートの収益性を適切に把握し、リスク管理を行うことが課題となっている。収益評価においてはアパート賃料の予測が必要となる。本研究では、機械学習手法を用い、物件属性情報に加え、緯度経度や住所に紐づく情報を活用することで精度が改善することを示す。具体的には緯度経度情報や住所情報などを用い、周辺の同種物件の過去賃料を用いることで短期的な賃料の予測精度が向上することを示す。また、緯度経度情報を活用し各物件が属する災害情報などの地理空間情報(GIS)データを取り込み、周辺の過去賃料に災害情報を加えることでは、賃料予測の精度が改善しないことを示す。
著者
谷中 瞳 峯島 宏次
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.4J3GS6f02, 2021 (Released:2021-06-14)

単語と文の構造に基づいて新しい文を構成的に理解し,文間の意味的関係を認識することは,より人間らしい自然言語理解をコンピュータによって実現するための基本的な課題の一つである.本研究では,英語の構成的推論・類似度データセットSICKを人手で日本語に翻訳することで日本語の含意関係認識・文間類似度データセットJSICKを構築し,JSICKを学習した汎用言語モデルBERTが否定表現や量化表現といった多様な意味現象を構成的に捉えられているかについて,意味現象のタイプごとに評価を行う.さらに,語順を変えても意味内容が変わらないという日本語独自の性質を考慮して,モデルが意味現象を構成的に捉えているかについて分析を行う.実験の結果,現行の汎用言語モデルは数量表現や語順の入れ替えの扱いにおいて,改善の余地があることが示唆された.
著者
佐々木 汐 岡本 航昇 大里 虹平 川本 一彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.2Yin509, 2021 (Released:2021-06-14)

強化学習によるロボット制御では,シミュレーション環境で方策を獲得し,それを現実環境に適用することが一般的になりつつある.シミュレーション環境と現実環境にはギャップがあるため,それを埋めるために,さまざまなシミュレーション環境で学習させておく方法が提案されている.本研究では,歩行ロボットのために,シミュレーション環境の地形形状を徐々に複雑にしていくカリキュラム強化学習を提案する.提案方法では,地形形状をイジングモデルで表現し,その相互作用パラメータを地形形状の複雑さの決定に用いる.イジングモデルの性質から,相互作用パラメータが大きいとき地形は平らになり,小さくしていくと凹凸が発生する.評価実験では,この地形パラメータ化によるカリキュラム強化学習の有効性を示している.
著者
後藤 成晶 土屋 英滋 水野 祥宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.3J4GS6c04, 2021 (Released:2021-06-14)

Software as a Serviceに代表されるX as a Serviceは、開発と運用を一体化したDevOps方式を採用する事が多い。DevOpsを採用する目的は、システム運用時におけるユーザー要求の獲得と、システム開発時におけるユーザー要求の反映との繰り返しにより、システムをユーザーが求める姿へ育て上げる事である。本研究では、DevOpsをより高速に実施できるよう、SNS投稿文のような自然言語文章からユーザー要求に関する記述を抽出し、システム開発に反映しやすいSysMLに準拠した表現形式に自動変換する自然言語処理アルゴリズムを検討する。本稿では、自然言語処理タスクの定義、およびBERTによる固有表現抽出タスクを応用した実装、F値69.3%を確認した試行結果について報告する。
著者
黒木 開 川上 孝介 岩井 大志 石塚 湖太 中田 和秀
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.2D3OS7a02, 2021 (Released:2021-06-14)

リスティング広告における広告文の品質向上は、消費者をランディングページ(LP)へ誘導し、購買へと繋げるために大変重要である。 品質向上手法には一般的に知られた手法がいくつかあり、例えば検索キーワードを広告文内に含めることで、クリック率など各種指標が改善することが知られている。そこで本論文ではより優れた広告文を生成するために、特定のキーワードを高確率で含む文生成手法を提案する。ベースとなる自然言語処理モデルには事前学習済みBERTをEnc-Dec構造にしたBERT2BERTを採用し、学習データはgoogle広告において配信されていた約69万件の広告データを用いた。また、生成時に「ドア」と「扉」といった類語の生成を防止するため、キーワードをマスクした形で学習を行なった。加えて文生成時にはキーワードを優先出力する手法を検討した。実際に配信された広告データを用いてその精度を評価した結果、提案手法は最大約80%の確率で広告文内にキーワードを挿入できることを確認し、既存モデル(BERT2BERTを学習データでfine-tuningしたのみのモデル)の挿入率を有意に上回ることができた。
著者
新屋 勝啓 中村 泰行 山岡 成光 西 和彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.2Yin514, 2021 (Released:2021-06-14)

近年,「あおり運転」の摘発数は減少傾向にあるが,依然として社会問題となっている.「あおり運転」の摘発に はドライブレコーダーの映像が重要な証拠となっている。 本稿では,自動車後方にエッジデバイスを設置し,後方ドライバーのあおり運転を検出及び警告するシステムの中でも,限定的なリソースの中でいかにあおり運転を高精度に認識するかに言及する 。
著者
豊澤 修平 村井 源
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.3D4OS12c02, 2021 (Released:2021-06-14)

物語の自動生成にはその物語を構成するプロットを作成し,それを元に文章を生成する必要がある.また,物語のプロットを自動生成する段階で意味の通る内容にする必要もある.物語の面白さの一つとして意外性のあるオチが挙げられる.意外性のあるオチを生成するにはプロット作成する段階でオチをプロットに組み込まなければならない.意外性のあるオチを含む作品として星新一のショートショートが挙げられる.星作品に関してはいくつかのテーマにおいてオチの詳細なパターンが明らかになっている.加えて,パターンを構成する要素の分類やその要素の持つ機能・文脈依存性・文章表現を構造化されたデータとして抽出可能であることも明らかになっている. 本研究では先行研究で明らかになったオチのパターンと要素を利用してオチを含む物語プロットの自動生成を行った.具体的には「強盗・泥棒・詐欺・囚人」のテーマから2つのパターンを利用し,それらパターンに代入可能な要素168個のデータを利用して自動生成するアルゴリズムを作成した.今後,星新一の代表的なジャンルであるSFのパターンに代入可能な要素のデータ化と自動生成を行う計画である.
著者
小林 翔太 宮川 将士 武政 奨 高橋 直希 渡邉 好夫 加納 学
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.4F1GS10l03, 2021 (Released:2021-06-14)

ケミカルトナー製造プラントでは,収集されるプロセスデータを活用し,機械学習を用いた品質自動制御を実施している.精度の高い機械学習モデルを構築する際に,入力変数と出力変数を対とする多くのデータを必要とするが,トナー製造プラントでは,毎日1ロットという生産量であるため,長期間データを収集しなければならない.一方,製造現場ではしばしば工法や材料の改良が行われており,データの再収集と予測モデルの再構築の間は,手動操作による多大な工数が必要となる.そのため,少数ロットのデータを用いて精度の高い予測モデルを構築することが求められている.本稿では工法の改良後の少量データと改良前のデータに対して転移学習を活用した品質予測手法について提案する.提案手法では,簡単な特徴空間の拡張で実装が可能なFrustratingly Easy Domain Adaptionを転移学習に用い,予測手法にはガウス過程回帰(GPR)とバギングを組み合わせる手法を用いた.提案手法をトナー製造プラントに活用した結果,品質管理者の工数75%低減を達成した.
著者
神藤 翼 小川 祐樹 服部 宏充 高 史明 鳥海 不二夫 吉田 光男
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.1D2OS3a02, 2021 (Released:2021-06-14)

近年,インターネットの普及によりメディアは一層多様化し,個人が選ぶことのできる情報源も爆発的に増加した.そのなかで,自分の好みの情報だけを選ぶ選択的接触が問題として取り扱われている.もし多くの人が選択的接触を行うと,正しい情報共有がなされなくなり,コミュニティや政治思想の分断が一層進む危険性もある.本研究では,その選択的接触について,2019年の参議院選挙当時の質問紙調査と被験者のTwitter利用データに着目して分析を行った.具体的には、Twitterのフォロー相手やリツイート情報から情報接触の傾向やコミュニティを見出し,質問紙調査での政治態度・意識についての回答をもとに分析を行った.結果,情報接触の偏りから特徴のあるコミュニティを抽出することができた.また、そのコミュニティごとで政治的態度に違いがあることが分かった.また、選択的接触の傾向と政治的無関心との共通性、それらに当てはまるコミュニティについても抽出することが出来た。