著者
小枝 達也 内山 仁志 関 あゆみ
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.384-388, 2011 (Released:2014-12-25)
参考文献数
16

通常学級に在籍する小学1年生69名 (男/女=33/36) に実施した単文音読検査によって発見されたディスレクシア児に対して, 2段階方式の音読指導を行った. はじめに文字の解読が容易にできるようになることに力点を置いた解読指導を行い, 次に単語形体の認識を高めるための語彙指導を実施した. その結果, 解読指導は誤読数の減少に, 語彙指導は音読時間の短縮に効果があることが示唆された.
著者
小枝 達也 関 あゆみ 田中 大介 内山 仁志
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.270-274, 2014 (Released:2014-12-25)
参考文献数
17
被引用文献数
6

【目的】Response to intervention (RTI) の導入による特異的読字障害の早期発見と早期介入の可能性を検証する. 【方法】小学校1年生 (77名 ; 男児36名) を対象として, RTIを導入して特異的読字障害の早期発見と介入を行い, 3年生での予後を調査する. 【結果】1年生時に4名の音読困難のある児童が発見された. その4名に音読指導 (解読指導と語彙指導) を実施した結果, 3名は音読困難が軽快したが, 1名は特異的読字障害であると診断された. 3年生時には1年生時に発見された1名が特異的読字障害であり, 新たに診断に該当する児童はいなかった. 【結論】1年生時にRTIを導入することで, 特異的読字障害の早期発見と早期介入が可能になると考えられる.
著者
関 あゆみ
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.54-58, 2009 (Released:2010-03-10)
参考文献数
15

アルファベット言語圏においては発達性読字障害の主たる原因は音韻認識・処理障害であると考えられ、機能的MRIなどの脳機能画像研究により、音韻処理に関わる左頭頂側頭部と文字形態認識に関わる左下後頭側頭回の活動不良が共通する所見として報告されている。この2つの領域の読みの習熟に伴う変化や言語による違いが注目されており、縦断的な機能的MRI研究や言語間比較研究が開始されている。 日本語においても仮名の習得に困難を認めた発達性ディスレクシア児では音韻認識障害が認められた。さらに仮名の母音比較課題を用いた機能的MRI研究では、日本語の発達性ディスレクシア児にも同様の障害メカニズムが存在することが示唆された。
著者
栁内 景太 関 あゆみ
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.23-31, 2023-03-24

書字困難児に対して不適切な対応が為されると、書字への抵抗が強まり学習意欲の低下を引き起こすことがある。そこで、本研究では小学生の書字困難児4 名を対象に、書字困難児の認知行動的特徴と経過との関連について検討した。その結果、共通する認知行動面の困難としてワーキングメモリ、巧緻性、目と手の協応、視覚認知の困難と不注意が認められた。また、共通する経過として、学習する漢字がより複雑になり、自己客観視が可能となる小学3 年時頃より、自尊心が低下し、学習意欲が低下することが認められた。加えて、行動面の困難として多動と対人関係にも困難を有すると、不適応の原因を見極めることが難しく、書字への支援が遅れ、学習意欲の改善が著しく困難になることが示唆された。従って、多動と対人関係の困難が目立つ場合でも、書字困難への対応を後回しにしないことが重要と思われる。
著者
松本 伊智朗 湯澤 直美 関 あゆみ 蓑輪 明子 永野 咲 加藤 弘通 長瀬 正子 丸山 里美 大谷 和大 岩田 美香 大澤 亜里 鳥山 まどか 佐々木 宏 杉田 真衣 山野 良一 田中 智子 上山 浩次郎 藤原 千沙 吉中 季子 福間 麻紀 大澤 真平 藤原 里佐 川田 学 谷口 由希子 中澤 香織 伊部 恭子 山内 太郎 新藤 こずえ 小西 祐馬 加藤 佳代
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、子どもの貧困の現代的特質を明らかにすると同時に、政策的介入と支援のあり方を検討することである。そのために、大規模な子ども・家族を対象とした生活調査(3万人対象)を北海道で行った。あわせて、女性の貧困に関する理論的検討、社会的養護経験者に対する調査を行った。それらを通して、経済的問題、時間の確保、追加的ケアへの対応、ジェンダー平等の重要性、子どもの活動と経験、社会的ケアと社会保障制度の問題について検討を行った。