著者
関 和彦 山口 愛加 窪田 諭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.22-00071, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
20

我が国の人口減少と少子高齢化により,熟練を有する橋梁点検技術者の不足を招くことは必至である.適切な予算配分を行い橋梁の長寿命化修善計画を策定するために,その状態を把握する基盤となる点検データの品質向上および平準化は重要な課題である.そのうえで,損傷進行状況を適切に把握し的確な診断および適切な対策の計画を実施しなければならない. 本研究では,橋梁の点検現場作業を支援することを目的として,橋梁の3次元点群データの差分によるヒートマップにより損傷箇所を可視化し,点検技術者が損傷を発見することを支援する技術を提案した.そして,提案技術の適用可能性を複数の実橋梁で実験した.点検技術者による評価を実施し,現場支援技術への要求事項および課題を整理した.
著者
窪田 諭 井上 明日香 関 和彦 安室 喜弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
インフラメンテナンス実践研究論文集 (ISSN:2436777X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.224-232, 2023 (Released:2023-02-20)
参考文献数
17

国土交通省は,橋梁の維持管理の効率化と高度化を図るために,3次元モデルの活用を推進している.既設橋梁においては,紙図面から精確な3次元モデルを生成することは容易ではない.また,図面が残されていない橋梁も多く,点検時に図面を参照することや点検結果を図面に記録できない課題がある.本研究では,3次元モデルを維持管理に関する情報を記録するための基盤とすることを目的として,地上型レーザスキャナ,UAV搭載型カメラとMobile Mapping Systemにより実橋を計測したデータから生成した点群データにパラメトリックモデリングを適用し,3次元モデルを構築する手法を提案した.各計測機器により取得した実橋の点群データを用いて提案手法を検証し,データが一部欠損していても3次元モデルを構築できることを示した.
著者
塚田 義典 田中 成典 窪田 諭 中村 健二 岡中 秀騎
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.796-812, 2015-10-15 (Released:2015-11-13)
参考文献数
16
被引用文献数
1 6

我が国では,高度経済成長期に集中整備された多くの道路橋が老朽化しており,適切な長寿命化修繕計画の策定が急務である.適切な点検・補修計画の策定,および工法の選定には,現況の形状を正確に把握する必要がある.しかし,現地での再測量作業には通行止め等の措置が付随するため,全国で約70万橋を対象に実施することは,コスト面と人的資源の面で困難である.この問題に対して,MMSを用いることにより道路の通行止めを行わずに道路橋上部工の現況を3次元で可視化する研究がなされている.しかし,MMSは道路に面した領域のみを計測対象にしていることから,路面だけのモデルにとどまり,上部工全体のモデルを生成することはできない.加えて,橋梁の下部工のモデル化も不可能である.そこで,本研究では,地上設置型のレーザスキャナとUAVを用いて取得した点群データから橋梁の上部工と下部工を一体とした3次元モデルの生成手法を提案する.
著者
田中 成典 中村 健二 山本 雄平 今井 龍一 窪田 諭 姜 文渊
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.826-845, 2016-10-15 (Released:2016-11-12)
参考文献数
26
被引用文献数
4 2

高度経済成長期に建設された多くの高架道路橋は老朽化を迎えているため維持管理が必要である.しかし,これらの高架道路橋は,設計時や竣工時の図面が紙媒体であり,廃棄されているケースが多く維持管理業務に支障をきたしている.そこで,MMSの点群データから高架道路橋の維持管理用のSXF図面を自動生成する研究がなされている.既研究では,高架道路橋の継ぎ手の位置で点列を分割しスパンごとに道路橋の線形を生成している.しかし,継ぎ手を抽出できない場合や設計図に記載された線形の起終点が継ぎ手の位置から離れている場合,生成したクロソイド曲線と直線や円弧との連続性が失われる問題がある.そこで,本研究では,平面の直線,クロソイド曲線,円弧と縦断面の直線と2次曲線の起終点を算出し,各線形を連続に接続する解析手法を提案する.それにより,継ぎ手の情報なしで,高架道路橋上部工のSXF図面を高精度に生成することを実現する.
著者
窪田 諭 横尾 達哉 安室 喜弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.629-637, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
15

施工現場では,資源の有効な利用のために,土砂の発生量を正確に管理することが必要である.本研究では,簡易に土砂量を推定することを目的に,土砂運搬中のダンプトラックの荷台内に積載された土砂に注目し,LiDARを用いて計測した3次元点群データから土砂の体積を推定する手法を提案した.まず,施工現場における計測により,LiDARデータの特性を示した.次に,3次元点群データからダンプトラックの荷台の土砂量を推定するために,複数のダンプトラックの3次元点群データをダンプトラックのみに切り取り,メッシュ化して体積を算出した.推定体積値の妥当性を評価するために,オベリスクの式を用いて土砂量を算出した結果,提案手法との差分が,評価対象11台のうち9台において約±1.5 m3の範囲となる結果が得られた.
著者
工藤 彰 窪田 諭 市川 尚 阿部 昭博
出版者
一般社団法人 地理情報システム学会
雑誌
GIS-理論と応用 (ISSN:13405381)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.19-27, 2013-06-30 (Released:2019-02-28)
参考文献数
16

In recent years, there has been a growing interest in field museums, which has led to local communities rediscovering their cultural identity, history, and ecology. However, a field museum guide system has not been researched extensively. The purpose of this study is to develop a field museum guide system by smartphone using digitalized old maps and old photographs. An evaluation of the prototype by users yielded roughly satisfactory results. As a result, we clarified the following design features of the guide system. Based on the following designs, we have developed a guide system in Field Museum of Morioka. The guide system has four functions: push-type information providing using GPS, use of old map/photograph, story-based navigation and cooperation among on-site mobile applications and Websites to visitors before/after the visit. And, the system was evaluated by viewpoint of the visitor and operator groups of the field museum. As a result, it was evaluated that the system is useful for town walking.
著者
窪田 諭 石井 慶之介 丸山 明 安室 喜弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.II_9-II_15, 2021 (Released:2021-03-15)
参考文献数
11

我が国に約53万橋ある橋長2~15m未満の小規模橋梁の点検においては,その位置と名称の特定に課題がある.そこで,本研究では,現地で橋名を示すものがない小規模橋梁を対象に,点検効率の向上と点検ミスや点検漏れをなくす点検結果の信頼性向上とを目的に,タブレット端末に橋梁名とその概要を表示するシステムを開発した.システムでは,橋梁名の特定にRFIDとQRコードを採用し,橋梁名,橋梁コード,橋長,総幅員,緯度と経度を表示する機能を有する.システムの有用性を評価するために,新潟県新潟空港周辺の小規模橋梁5橋を対象に実証実験を行った.その結果,本システムが現場での橋梁名の特定に利用可能であることが示唆された.実験では,RFIDの読み取り距離は約23~27cmであり,その貼り付けは橋梁の側面が適していた.
著者
池田 透 窪田 諭
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.667-668, 2019-02-28

我が国では,スポーツ×ICTの政策や国民の健康維持の観点から,スポーツ分野における計測機器の開発やデータ計測と可視化などが進められている.スポーツ分野にICTを適用する試みは始まったばかりであり,教育現場や地域クラブの指導者では,ICTを自在に操ることは難しい.本研究では,集団スポーツでは競技人口がもっとも多い野球の打撃を対象とするが,その指導は指導者による感覚や経験によって曖昧に実施されているのが現状である.そこで,打撃フォームを撮影した映像から選手の動きを可視化し,得られた特徴点座標から打撃フォームを解析するとともに,打撃指導方針への応用を検討する.
著者
井上 晴可 窪田 諭 今井 龍一 田中 成典 重高 浩一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_152-I_168, 2015 (Released:2016-03-30)
参考文献数
20

スマートフォンを利用すると高精度な位置情報を容易に取得できるため,災害対応や交通などの分野で位置情報の利活用が期待されている.特に,災害時には,利用者がリアルタイムに正確な位置情報を知る必要がある.しかし,個々のスマートフォンのGPSセンサから取得される位置情報は,周囲の環境や機種で異なるため,精度にばらつきが生じ多くのノイズが含まれる.大規模なプローブパーソンデータを解析することにより,前述の課題に対処することが可能であるが,緊急を要する場合においてはリアルタイム性に欠ける.本研究では,スマートフォンで取得したパーソントリップデータからリアルタイムに信頼性の高いGPSデータを取得するために,3次元の位置情報を対象にノイズを除去する手法を提案する.
著者
田中 成典 窪田 諭 北川 悦司 物部 寛太郎 中村 健二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.II_41-II_50, 2011 (Released:2012-03-26)
参考文献数
26

我が国の建設事業においては,CALS/ECや情報化施工,生産性向上のために3次元データを利用する環境を構築することは重要な課題であるが,その要求を満たす3次元CADが存在しない.そのため,国産の3次元CADの開発を支援することを目的とした,汎用3次元CADエンジンの開発が求められている. そこで本研究では,建設事業において3次元CADを迅速かつ低コストに導入し,これを活用できる環境を構築するために,汎用3次元CADエンジンを設計するための調査研究を行った.ここでは,3次元CADの利用場面,標準化動向,汎用3次元CADエンジンに付随するシーズ,既存製品,IT要素技術について調査し,汎用3次元CADエンジンに対する要求を明らかにした.
著者
窪田 諭 森井 拓 三上 市藏 石川 知憲 松林 豊
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.87-96, 2006 (Released:2011-12-20)
参考文献数
14
被引用文献数
2

道路を適切に維持管理するためには, 空間属性と時間属性を考慮した道路管理情報を一貫した履歴情報として保存・蓄積して一連の事業で活用する必要がある. 本研究では, 道路管理で発生する空間属性と時間属性を四次元情報として収集, 蓄積, 管理, 共有, 活用するために, 四次元情報の構築方法と情報を取り扱う道路マネジメントシステムを提案し, そのプロトタイプを構築した. プロトタイプシステムは空間データ基盤, 道路情報モデル, モデルライブラリ, 共通インターフェイス, システム共通機能, 道路データベース, 道路アプリケーションシステムの構成とし, 道路アプリケーションシステムとして四次元情報表示機能, シミュレーション支援機能, 進捗管理機能を開発した.
著者
堀口祐耶 市川尚 窪田諭 阿部昭博
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.715-717, 2013-03-06

近年地震などの災害により, 被災地だけでなく被災地周辺の観光地においても風評被害を受けている. 東日本大震災では,多くの観光地において風評被害の影響を受けた. しかし, 風評被害に対する活動を報告するするサイトは多く見られたが, これらの活動についてまとめているサイトや風評被害に関する研究は少ない.そこで, 筆者らは観光提供側を対象に過去に発生した観光への風評被害の事例を紹介し, 風評被害の理解を深めてもらうことを目的としたポータルサイトの研究を行ってきた. 本稿では, 新聞データベースの分析を通して, 観光風評被害事例データの分類・収集方法およびメタデータの再構築について考察を行う.
著者
佐々木 道史 曽我 和哉 市川 尚 窪田 諭 阿部 昭博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.120, pp.23-29, 2008-11-25
被引用文献数
1

近年,学校教育現場には広く協同学習を取り入れる事例が増えているが,単に手法のみを導入してもグループ内に有意な相互作用は生起しがたい点が課題として挙げられる.本研究では,高等学校の授業において協同学習を行う際のグループ編成に着目し,相互依存関係に配慮した効果的なグループ編成を支援するための情報システムの在り方について考察する.Recently, application cases of cooperative learning on educational sites have increased. However they have been pointed out difficulty of effective interaction in learning group. In order to conduct effective cooperative learning on a class of high school, this paper describes a grand design and its prototype of support information system to organize learning groups taking interdependence relationship into consideration.