著者
吉田 文和
出版者
北海道大学大学院経済学研究科地域経済経営ネットワーク研究センター
雑誌
地域経済経営ネットワーク研究センター年報 (ISSN:21869359)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.51-74, 2012-03-30

2011 年3 月11 日に発生した福島第1原子力発電所が引き起こした原発災害を,公害論からみることによって,この問題を原因論と被害論を基礎として責任論,対策論,費用論,救済論,代替政策論から分析し,問題の広がりと解決の方向性と時間軸,課題を整理し,展望を見出すことができることを具体的に示した。
著者
吉田 文和
出版者
北海道大学
雑誌
地域経済経営ネットワーク研究センター年報 (ISSN:21869359)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.51-74, 2012-03-30

2011年3月11日に発生した福島第1原子力発電所が引き起こした原発災害を,公害論からみることによって,この問題を原因論と被害論を基礎として責任論,対策論,費用論,救済論,代替政策論から分析し,問題の広がりと解決の方向性と時間軸,課題を整理し,展望を見出すことができることを具体的に示した。
著者
阿部 智和 宇田 忠司 平本 健太
出版者
北海道大学大学院経済学研究科地域経済経営ネットワーク研究センター
雑誌
地域経済経営ネットワーク研究センター年報 (ISSN:21869359)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.89-113, 2015-03-30

本稿の目的は,質問票調査にもとづいて,国内のコワーキングスペースの実態を記述することである。具体的には,まず,ウェブ調査を実施し,国内で稼働している施設の全数に近い(2014年7月時点)と考えられる365スペースのうち,191スペースから回答を得た(回収率52.3%)。ついで,収集したデータを分析し,①施設,②運営組織,③戦略,④活動,⑤利用者,⑥成果,という6つの包括的視点から記述統計を示した。そのうえで,本調査にもとづくコワーキングスペースの実態に関する知見を提示した。
著者
宮下 弘美
出版者
北海道大学大学院経済学研究科地域経済経営ネットワーク研究センター
雑誌
地域経済経営ネットワーク研究センター年報 (ISSN:21869359)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.145-166, 2017-03-29

2016年11月に,北海道旅客鉄道株式会社(JR 北海道)は,現行の運行在来線25線区のほぼ5割に相当する13線区を単独では経営が維持できないと公表した。「路線の見直し」によって,JR北海道の経営難は解決するのであろうか。本稿では,第1に明治以降の広軌改築か新線増設かという二つの大きな鉄道政策の流れの中で,戦後の国鉄を位置づけなおし,第2に北海道の鉄道輸送の特徴点を明らかにし,今後の鉄道維持の方向性について考察しようとするものである。前者からは,輸送力の改善が進まない中で高度成長をむかえた国鉄が,第3次長期計画での資金調達スキームに失敗して巨額の債務をかかえ,1980年以降に特定地方交通線をバスや第3セクターに転換していったものの,結局37.1兆円の債務がJR各社や国民に引き継がれていったことが明らかになる。JR北海道の経営難は,経営安定基金の運用益の減少が直接的な原因であり,それは歴史的に生み出されたといえた。後者についても,課題は残されているが,1965年度には,東海道線に収益が集約され,北海道では貨物輸送の割合が高いことがうかがえる。「路線の見直し」には,道内の鉄道が長年かけて敷設されてきた道民の財産であることを出発点にし,長期的,全国的な視野からの慎重な対応が求められるように思われる。
著者
中村 将人
出版者
北海道大学大学院経済学研究院地域経済経営ネットワーク研究センター
雑誌
地域経済経営ネットワーク研究センター年報 (ISSN:21869359)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.61-74, 2020-03-30

寿都鉄道は,大正期から昭和中期にかけて北海道後志地方に存在した局地鉄道であり,国有鉄 道に買収してもらうことを前提に,当面の輸送手段確保のために地元資本によって敷設された当座企業 であったと言われる。大正期の鉄道業では減価償却が実施されつつあったが,その根底にあるのは「継 続企業の公準」であり,換言すると安定的な減価償却は継続企業性を示す指標であった。寿都鉄道の減 価償却実務を分析すると,処分可能剰余金に感応的な計上額ではあるが減価償却を実施しており,未成 熟ながらも継続企業性を模索していたことが判明する。
著者
宇田 忠司 阿部 智和
出版者
北海道大学大学院経済学研究科地域経済経営ネットワーク研究センター
雑誌
地域経済経営ネットワーク研究センター年報 (ISSN:21869359)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.113-143, 2017-03-29

本稿の目的は,質問票調査にもとづき,国内の共有・共創型ワークスペースの実態を明らかにすることにある。まず,ウェブ調査を実施し,国内で稼働している施設の全数に近い(2016年9月30日時点)と考えられる750スペースのうち,308スペースから回答を得た。ついで,収集したデータのうち268スペースの回答を分析し,①施設,②運営組織,③戦略,④活動,⑤利用者,⑥成果,という6つの包括的視点から記述統計を示した。そのうえで,本調査にもとづく共有・共創型ワークスペースの実態に関する知見を提示した。
著者
宇田 忠司 阿部 智和
出版者
北海道大学大学院経済学研究科地域経済経営ネットワーク研究センター
雑誌
地域経済経営ネットワーク研究センター年報 (ISSN:21869359)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.115-133, 2015-03-30

本稿の目的は,質問票調査にもとづいて,国内のコワーキングスペースの実態を記述することである。具体的には,まず,ウェブ調査を実施し,国内で稼働している施設の全数に近い(2014年7月時点)と考えられる365スペースのうち,191スペースから回答を得た(回収率52.3%)。ついで,収集したデータを分析し,①施設,②運営組織,③戦略,④活動,⑤利用者,⑥成果,という6つの視点から相関分析の結果を示した。そのうえで,本調査にもとづくコワーキングスペースの実態に関する知見を提示した。
著者
濱田 康行
出版者
北海道大学大学院経済学研究院地域経済経営ネットワーク研究センター
雑誌
地域経済経営ネットワーク研究センター年報 (ISSN:27580695)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.135-156, 2022-03-30

資本主義の弔鐘がなる,という150 年前のマルクスの言葉が聞かれるようになった。左翼思想の側からだけでなく,いわゆる体制派と思しき人々も,この世の終わりをつぶやくのである。こうした言動の背後には,人々の耳目を引きたいという動機もあろうが,それだけではなさそうである。株価を除けば,資本主義のほぼ総ての指標は衰退をしめしている。加えて,物質の豊富さとは裏腹に,多くの人々にとってこの世は住みにくくなっているらしい。幸福論という,やや,怪しげなものだけでなく,社会学の研究が示す様々な統計に,それは示されている。しかし,である。鐘が鳴り止んだ後の,経済・社会の姿が皆目,わからないのである。誰もそれを語らないまま,日暮れの鐘撞場から去っていく。予想が社会科学の任務でないことは,そのとおりだが,人々が不安に思っているときに,来たるべき社会の輪郭を科学的な考察に基づいて示すことは,必要だろう。存在意義という言葉はこういうときのためにある。私の専門は,ここにない,などと言ってはいられない。本稿は,こうした問題意識ではじめた研究会の二番目の成果である。ひとつ目は,社会学者との共同研究であったが,今回は近い将来の合流を意識しつつ,それぞれのテーマを設定した。対象は,株式市場である。最初の考察対象が株式市場なのは,それが資本主義の生みだした最大,最強の装置だからである。これがあってこそ,巨大な投資が可能となり,大きな生産設備,インフラがつくられた。では,鐘がなり終わった後,この巨大装置はどうなるのか?どうすべきか?ドイツの社会経済学者,G・コルネオ,日本の在野の研究者,平川克美,廣田尚久の主張を検討しつつ,マルクスの残した,否定の否定の命題に沿って,株式市場の将来を考えてみたい。
著者
濱田 康行 川島 一郎
出版者
北海道大学大学院経済学研究院地域経済経営ネットワーク研究センター
雑誌
地域経済経営ネットワーク研究センター年報 (ISSN:21869359)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.65-91, 2021-03-26

状況(2021年初頭)を見れば,まさに大災害:Disasterに見舞われている。世界のコロナ感染者数と死者数をみるだけで,それは明らかである。そして,経済は深刻な不況であり,2021年が明けて一段と深まる気配だ。しかし,2020年11月,あらゆる状況が悪化する中でダウ平均株価は“夢の3万ドル”を達成した。この状況を理論に基づいたフレームワークの中で,かつデータに基づいて分析するのが,一連の研究の目的である。課題は二つに分けられる。第一は,株式市場の繁栄が人々の幸福・経済の状況とあまり関係がないように見えるが,それはなぜか?国際決済銀行(BIS)のレポートの表現を借りれば,Disconnected(非関連)なのはなぜか。第二は,そもそも,この高株価を生み出した要因は何か,特に内的要因を探ることである。第一のテーマは,2020年8月に発表した論文が,そして第二のテーマを本稿が扱っている。第1節では,株価を決定するのは,基本的に当該企業の業績・収益の状況によるとする株価第一原則について解説する。第2節は,過去のデータから株価の算定式を導き,この式でダウ平均3万ドルを判定している。今回の株高がバブルなのかどうか,それを問う試論である。第3節では,株価第一原則だけで説明できなくなった時に浮かび上がってくる要因について述べ,さらに,この要因の説明力を強める状況を示す。ここで従来の株価理論へのいくつかの疑問も呈示している。第4節では,マクロ的視点から,以上展開したことを総括する。金融概念図を使って株式市場の概念的位置の移動があったこと,その原因のひとつが株式市場の巨大化であることを主張している。最後に,全体のまとめ,および今後の研究方向を示してむすびとしている。
著者
阿部 智和
出版者
北海道大学大学院経済学研究科地域経済経営ネットワーク研究センター
雑誌
地域経済経営ネットワーク研究センター年報 (ISSN:21869359)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.87-101, 2014-03

本論文の目的は,わが国で積み重ねられてきたオフィス空間のデザインに関する研究知見のうち,とりわけ2000年以降の研究の到達地点を明らかにすることにある。本論文で2000年以降の研究蓄積に注目を向ける理由は,経営学者たちもオフィス空間のデザインを重要視し始めたことにある。より具体的には,この時期を契機として,知的創造や知識創造を促すオフィス空間のデザインを志向した研究が創始されているのである。 1990年代までのオフィス空間内の快適性の向上を志向した研究とは異なり,建築学者や実務家たちだけではなく,一部の経営学者たちからもオフィス空間のデザインに対して注目が向け始められたのである。 本論文で明らかにする先行研究が辿り着いた研究知見は,以下の3点に集約することができる。より具体的には,①実務家や一部の経営学者たちによって知的生産性を向上させるオフィス空間のデザインへの注目が向けられ,実際にオフィス空間の設計が行なわれてきたこと,②建築学者を中心として知的生産性を計量的に把握する試みが積み重ねられ,定量的なデータにもとづいたオフィス空間のデザインが志向されてきたこと,③経営学者たちがコミュニケーションを鍵概念にして,オフィス空間のデザインについて考察を加えてきたこと,の3点である。最後にこれらの研究の貢献と残された問題を明らかにし,今後の研究課題を提示する。