著者
西部 忠 橋本 敬 小林 重人 栗田 健一 宮﨑 義久 廣田 裕之
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
Discussion Paper, Series B
巻号頁・発行日
vol.104, pp.1-79, 2012-05

私たちは2011年2月21日より25日まで,ブラジル・セアラ州フォルタレザ郊外パルメイラ地区にあるパルマス銀行を訪問して,その設立者,従業員,近隣小売業者などの関係者にインタビューを行い,同銀行の沿革や特徴,および,その近隣の経済社会への影響を調査した。本調査報告書の目的は,このインタビューの内容を参照可能な一次資料として記録し,公刊することにある。
著者
西部 忠 橋本 敬 小林 重人 栗田 健一 宮﨑 義久 廣田 裕之
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
Discussion Paper, Series B
巻号頁・発行日
vol.104, pp.1-79, 2012-05

私たちは2011年2月21日より25日まで,ブラジル・セアラ州フォルタレザ郊外パルメイラ地区にあるパルマス銀行を訪問して,その設立者,従業員,近隣小売業者などの関係者にインタビューを行い,同銀行の沿革や特徴,および,その近隣の経済社会への影響を調査した。本調査報告書の目的は,このインタビューの内容を参照可能な一次資料として記録し,公刊することにある。
著者
西部 忠
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.133-146, 2006-11-29

進化主義的制度設計とは,理論モデルと経済主体の内的属性との間の双方向的因果関係を重視する内部観測的な視点に立ち,基底的制度であるメディアのルールやシステム境界をデザインすることで,システムの機能やパフォーマンスを間接的に制御しようとするものであり,進化経済学の応用政策的方法の一つである。また,制度生態系とは,複数の類似的制度が垂直的かつ水平的に共存しうる動的で複雑なシステムである。では,これらが前提とするルールや制度とはいかなるものか。本稿は,この問題を複製子と相互作用子という進化経済学の基礎概念を再吟味しながら,以下の3つの観点から考察する。すなわち,1)生物進化とは異なる経済社会進化の文脈の中で,複製子と相互作用子の定義を行い,その相互関係を明らかにする,2)経済理論の従来のアプローチが使用しているルールや制度の意味を吟味し,複製子や相互作用子という進化経済学の基礎概念からそれらについて独自な定義を提示する,3)進化主義的制度設計においてルールや制度が果たす理論的役割について明らかにする,である。
著者
橋本 敬 西部 忠
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.131-151, 2012-03-08

本論文は, 制度の多様性と内生的変化を示す制度生態系を記述する数理モデルとして「ルール生態系ダイナミクス」(Rule Ecology Dynamics: RED)を提示し, それが経済社会進化の態様記述や政策展開に対して持つ経済学的含意を論じる。まず, 戦略ルール(ミクロ主体の内部ルール)とゲームルール(外なる制度)を経済社会の複製子(If-then ルール)と再定義し, 制度を, ミクロ主体の認識・思考・行動とマクロ的な社会的帰結をメゾレベルで媒介する, ミクロ主体によって共有されたルールと捉える。これにより, ゲーム形式と戦略的予想均衡という従来の2つの制度観を, それぞれ「ゲームルール」と「共有された戦略ルール」として統一的に理解できる。こうした進化的制度観の下, REDは, ゲームルールを評価するミクロ主体の価値意識の集合的表象(内なる制度)を「メタルール」として導入することにより, 進化ゲーム理論とレプリケータ・ダイナミクスを統合・拡張し, 戦略ルールとゲームルールの相対頻度が内生的に変化するような共進化を記述し分析できる。このため, REDは進化主義的制度設計のための理論枠組みとなる。
著者
西部 忠
出版者
北海道大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

研究代表者は『地域通貨のすすめ』(北海道商工会連合会,2004年)で,地域通貨の二大目的である「地域経済の活性化」と「地域コミュニティの活性化」を同時達成するため,社会福祉やボランティアのような非商業取引を商業取引が補完する地域通貨循環スキームとして「ダブル・トライアングル方式」を提唱した。この制度設計に基づく地域通貨流通実験が北海道苫前町で2004年11月22日から2005年2月20日まで行われ,その調査研究成果を西部忠編著『苫前町地域通貨流通実験に関する報告書』として今年度に発表した。そこでは,二つの研究手法を駆使して,地域通貨が実施される地域の特徴や背景を記述し,地域通貨の経済的効果を評価しようと試みた。一つは,数回にわたるインタビュー、2回のフォーカス・グループ・ディカッション、および、3回実施したアンケートの結果を利用する定性的分析であり,もう一つは,地域通貨の経済活性化効果を評価するために,ネットワーク理論を応用して流通ネットワーク分析である。この調査の結果,地域通貨の流通速度が法定通貨の6-7倍であることがわかり,経済活性化効果について顕著な有効性が確認された。また,ネットワーク分析により,個々の地域通貨の流通ネットワークの特徴,例えば、どの地区や主体が中心的役割を果たしているか,ボランティア活動はネットワークの形成にどの程度の影響を与えるかなどを明らかにした。これは、地域内部のミクロ主体レベルでの観察情報を提供するもので,人体に対するCTスキャン技術のような役割を果たす。こうした情報を定性的情報とともに利用することで、地域の経済面とコミュニティ面についての診断(「地域ドック」)を行うことが可能になり、それを元にして,経済的自立とコミュニティ的豊かさを備えるまちづくりのための処方箋が書けるものと期待できる。他方,地域通貨の経済思想,政策思想の研究も発表した。
著者
西部 忠
出版者
経済理論学会
雑誌
季刊経済理論 (ISSN:18825184)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.22-35, 2015-04-20 (Released:2017-04-25)

The present paper shows, by using different models of scientific research and methodology, that economics and economy coevolve because there exists a bidirectional causal relation between them, and that Keynes, Hayek and Marx all knew its unique implications for economic policy of the government and economic thought of the public even in different views. We focus on Marx's historical materialism (HM) and his model for coevolution of economics and economy that comprises HM as pre-theory, and advocate the necessity of transforming HM into historical knowledgism (HK) in the 21st century of post-industrial society. Finally we present the framework of evolutionary economics in view of HK and explain its implication for theory and policy.
著者
西部 忠
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.290-297, 2008-03-15

経済活性化とコミュニティ構築に,地域通貨がどのような役割を果たしているのかについて,その流通ネットワークの可視化をベースに,スモールワールド性とスケールフリー性の共存,商業取引と非商業取引の相互関係の分析などから考察する.また,そうしたネットワーク分析をいかに地域の総合的な診断技術や規範的な制度設計論へと接続し得るかについても論じたい.
著者
西部 忠
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.290-297, 2008-03-15

経済活性化とコミュニティ構築に,地域通貨がどのような役割を果たしているのかについて,その流通ネットワークの可視化をベースに,スモールワールド性とスケールフリー性の共存,商業取引と非商業取引の相互関係の分析などから考察する.また,そうしたネットワーク分析をいかに地域の総合的な診断技術や規範的な制度設計論へと接続し得るかについても論じたい.
著者
梶原 景昭 望月 哲男 佐藤 研一 小山 皓一郎 天野 哲也 宮武 公夫 西部 忠 権 錫永 国広 ジョージ 越野 武
出版者
国士舘大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

調査研究の結果、得られた知見は以下の通りである。1.「北方」を地理的に定義するのではなく、わが国との関わりを中心に文明論的に、そして近年の国際関係、地域連繋の点から定位すると、極東ロシア、北東アジア、中央アジアを含む、北西ユーラシアの拡がりに21世紀的な意味を見出すことができる(「北方」といえば北米、スカンディナヴィア、極北、ロシア北部等を含むが、ここでは上述の積極的な定義が重要である)。2.1で定めた「北方」地域に関しては、その大半が社会主義の洗礼を受けたことも含め、ロシア語、ロシア文明のきわめて強い影響下にある(学術制度から日常生活にも到る)。3.しかしながらこうした文明・文化の状況は現在あくまでグローバル化の渦中にあり、いわゆる従来のロシア文明ととらえることは妥当でない。4.中央アジア、極東ロシアにおける韓国の存在は極めて大きい。それに反し、歴史的にはさまざまな関わりがあるもののわが国の存在感は弱い。5.上述の域内でのヒト・モノの移動は想像以上に進行している(アゼルパイジャン、チェチェン人が極東ロシアに多数移住していること、またスターリン時代の強制移住による中央アジアの朝鮮人の存在など)。6.この地域を概観すると、周辺地域である日本、韓国などの相対的な経済先進地域が北方中心域に刺激を与えているようにみえるが、こうした経済的インパクトが社会変化を支配するところまではいっていない。7.ユーラシア鉄道計画等の北方地域に関わるプロジェクトに対し、日本の関心と関与が圧倒的に少ない。
著者
吉地 望 西部 忠
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.1-14, 2007-09

本稿では,対極的な性質を有する集中的発行通貨(法定通貨)と分散的発行通貨(特定の地域通貨)をモデルによって表現し,コンピューター・シミュレーションを実行することによりLETSのような相互信用・分散的発行方式の持つ長所を明らかにすると同時にその課題を考察した。 LETSの相互信用・分散発行方式の利点は,経済取引に必要とされる通貨バッファがマクロレベルでもミクロレベルでも必要ない点にあり,そのことは貨幣保蔵による有効需要の抑制を引き起こさないことを意味する。一方で、LETSは受領性が個人の相互信頼に基づくため,その流通範囲は相互信頼でつながれる範囲に制約される。流通範囲を拡張するには,コミュニティへの信頼,相互信頼の範囲を拡張する必要性があり,いかなるシステムやルールの導入が有効であるかが今後の検討課題として残されている。逆に、集中的発行通貨は流通範囲が広範であるが,貨幣保蔵による有効需要抑制という課題を持つ。 また,ランダムネットワークに基づくLETSにおけるマクロ的黒字残高=マネーサプライは売買による債権債務の相殺により長期的には残高0に収束するという直感に反して,逓減的に増大する。このメカニズムを解明し,そこからLETSと現金通貨に関するいくつかのインプリケーションを引き出し,検討を加えた。