著者
小林 雅弘 関東火山灰グループ
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.155-160, 2003-06-25 (Released:2017-07-14)
被引用文献数
1

The research result by the Geological Research Group of Central Kanto Plain is already reported about the core samples collected from boreholes at Kasukabe, Itakura, Ora, and Yoshimi. The cordierite bering tephras were newly found from those core samples. Moreover, the same tephra was found out also from outcrop of Isumi-cho, Chiba Prefecture. As for cordierite bering tephras, the Joetsu Ash etc. are known until now. And the Joetsu Ash is 1.3Ma or 1.1Ma in age. In this study, newly found codierite bering tephras are described with grain-size composition, mineral assemblage, refractive index of volcanic glass and chemical composition of cordierites. These features show that newly found codierite bering tephras probably can be identified with the Joetsu Ash. This fact agrees with the consideration of the Geological Research Group of Central Kanto Plain (1994) that there is the underground structure of the form of the stairs which has the deepest portion in the Kasukabe area. Moreover, since codierite bering tephra was found directly under O-18 volcanic ashes layer in Boso Peninsula, the upper part of D layer of drilling cores is identified with the part of the Otadai Formation.
著者
川辺 孝幸
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.379-387, 2007-09-25 (Released:2017-05-16)
被引用文献数
1

地震動によって被害を被った墓石の,墓地ごとの倒壊率や被害率は,地震動の大きさを反映していると考えられており,異常振動帯の認定や,倒壊率と地質との関係などが論じられている.ただ,墓石の場合,墓石の構造によって,被害の現れ方が異なり,個々の墓石からの力学的な復元は困難である.2007年能登半島地震において,破損した石造鳥居の状態を目にして,破損状態から鳥居の破損をもたらした力学的復元が可能ではないかと気がついた.そこで,能登半島内の20km×50kmの範囲の中で,240基の石造鳥居を観察した.その結果,149基について被害を確認した.被害は,岩石は硬くて脆いので,外力に対して敏感に反応して応力に対応した破壊がおこる.その結果,破損の部位の観察から,破壊をもたらした鳥居の変形の力学と,鳥居に働いた外力を推定できる.また,被害の程度を各部位の破損の状態を点数化して集計して評価した.外力の方向と破損の評価値をもとに地形図上にプロットして示した.鳥居の破損状況の調査からは,個々の地点の振動特性の具体的データとして利用できる可能性が明らかになった.筆者は,鳥居の破壊の調査をおこなうための記載シートを提示した.データの蓄積が進むことで,地震地質学的に貢献できるであろう.
著者
横川 美和
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.370-377, 1998-09-25 (Released:2017-07-11)
被引用文献数
1

堆積粒子の配列について,特にインブリケーションについての話題を中心に解説した.火星表面の映像に磯のインブリケーション構造が認められ,洪水の痕跡と解釈された.インブリケーション構造は流れに対して抵抗が少なくなるように粒子が配列したもので,礫浜や河川の礫床など私たちの身近なところにも普通に認められる.また,砂サイズの堆積物の中にも普通に見られる.インブリケーションを始めとして,堆積粒子の配列はパッキングとともに「ファブリック」と呼ばれ,堆積岩組織の一要素として位置づけられている.堆積粒子の配列は,地層から古流向を推定するために古くから研究されてきた.最近ではさらに,流体の性質や堆積粒子の輸送形態,堆積直前の動き等の推定に利用されている.このためにはパッキングなども含めた真の三次元組織を解析する必要があるが,これまで行なわれている粒子配列の測定方法では必ずしも充分とはいえない.真の三次元組織を調べるために,X線CT法などが試みられている.
著者
三谷 豊
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.193-204, 2003
参考文献数
48
被引用文献数
4

千葉県北部は関東堆積盆地の東縁部にあたり,分布する更新統には収斂現象がみられる.この地域の中・上部更新統は,下位より八日市場層,神崎層,上岩橋層,木下層から構成されている.八日市場層は西北西へ3/1,000で傾き,これに重なる神崎層と上岩橋層は同様に傾きながら収斂する.この収斂は侵食によるものではなく,累層構成層の薄化・尖滅により起こっている.したがって,下総層群の収斂は八日市場層堆積後から上岩橋層堆積期に徐々に進行した傾動運動によってもたらされた.また,上岩橋層基底は,東西に延びる幅約5kmの凹状部を形成し,下部河成層によって埋積されている.この凹状部は,その東縁が収斂部と一致するが,その一方で南縁の形態は木下層の上位に重なる常総粘土層の変形構造と大変よく似ている.つまり,上岩橋層堆積期には,上記の傾動運動と常総粘土層を変形させた運動の2つの要素が認められる.
著者
中村 庄八
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.346-360, 1997-09-25 (Released:2017-07-11)
被引用文献数
1

小野子火山は,中期更新世に活動した複成火山で,体積約13km3の円錐火山からなる十二ヶ岳成層火山形成期,山頂部にカルデラ状地形を,北北東および南東斜面に溝状地形を形成して山麓部に岩屑なだれ堆積物を堆積させた山体崩壊期,カルデラ状凹地から宮沢溶岩や小野子山南溶岩が流出した山頂溶岩類流出期の3期に区分される.溶岩流などの火山岩は,複輝石安山岩を主体とするが,初期には玄武岩やかんらん石含有複輝石安山岩も認められる.十二ヶ岳成層火山形成期の後半には,火山体の西斜面で漏斗状の形をとる十二ヶ岳南爆裂火口が発生し,現在その内部構造の一部が露出している. 山頂部付近には,中ノ岳貫入岩,放射状岩脈群,小野子山貫入岩などの貫入岩体が存在し,これらは東西方向に直線状に並ぶ.この方向に本火山活動と密接な関係をもち,かつ,中新統の相対落差が1100m以上に達する断層が推定される.
著者
武田 一郎
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.71-81, 1998
参考文献数
65
被引用文献数
1

後浜上限の位置の安定性と高度に関する従来の知見を概説し,さらに,日本海沿岸の後浜上限高度について検討した.後浜上限の位置は暴浪時の波の規模がさまざまであるにもかかわらず安定している.これは,浅海域のバー(海底砂州)が波に対してフィルターの役割を果たし,また,ステップが汀線直前の水深を規定するので,汀線砕波の波高がある限度を越えることがなく,その結果,暴浪時の波がある限界の地点,すなわち後浜上限を越えて遡上することがないためである.さらに,耐塩風性植物の地形固定作用も後浜上限の位置の安定に寄与する.後浜上限高度は海浜を構成する堆積物が粗いほど大きくなる.これは,堆積物が粗いほど高いフィルター効果を持つインナー・バーが形成されにくく,また,規模の大きなステップが形成されやすいので,汀線砕波波高が大きくなり得るためである.アウター・バーが存在する海岸では,これもまた波に対してフィルターの役目を果たすので後浜上限高度は小さくなる.複数のアウター・バーを発達させる多段バー海岸では,さらに後浜上限高度が小さくなる.日本の太平洋沿岸の主要海浜のほとんどは1段バー(1段のアウター・バーを有する)海岸であるのに対して,日本海沿岸はほとんどが多段バー海岸であるので,日本海沿岸の後浜上限高度の方が小さくなる.
著者
足立 久男
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.41-57, 2018-01-25 (Released:2019-12-27)
参考文献数
69
被引用文献数
5

新生代においてフォッサマグナ地域の隆起は中期中新世末からはじまり,後期中新世には全般的隆起が進行している.この時期には隆起中軸部付近で激しい火山活動が生じ,多数の火山性陥没盆地群が形成されている.火山性陥没盆地群は一次的な配列と,それと斜交する雁行状の二次的な配列をなしている.これらは,溶融体の上昇による鉛直下からの地殻の突き上げによる引張場での雁行状の深部断裂の形成によって説明することが可能である.隆起中軸部には中新世の花崗岩類の活動,後期中新世の火山性陥没盆地群の発生,第四紀火山の活動などがみられ,現在もキュリー点深度は浅く,また,周囲より地殻熱流量も高い値を示しており,高温帯(火山-深成作用高温帯)を形成している.一方,地震分布・地震波速度構造・地震波トモグラフィなどのデータからも隆起中軸部の地下には溶融体の存在が想定され,深度30 ~50 km ないしは20 ~60 km には地震波の低速度層がみとめられる.これらは地表部から得られた火山性陥没盆地群の形成機構と調和的である.マントル内における部分溶融の発生後,地殻下部~最上部マントル付近への溶融物質の付加と蓄積,溶融物質の地殻内への上昇と迸入(群生マグマだまりの形成),地殻内の断裂に沿っての上昇などが想定され,隆起中軸部における隆起は,このような溶融体の形成とその活動からもたらされるマグマ活動に原因があると考えられる.

1 0 0 0 OA 超高圧変成岩

著者
高須 晃
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.253-260, 2021-07-25 (Released:2021-09-29)
参考文献数
39
著者
青木 斌 伊東 正喜
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.118-120, 1969

久野(1960)は,"高アルミナ玄武岩"がアルカリ玄武岩とソレイアイトの中間的な性質を示すと定義した.その後かれは,"高アルミナ玄武岩"がアルカリ玄武岩と低アルカリソレイアイトの中間的な性質を示すと修正した(久野,1965; 1967; 1968a; 1968b).本論文では,カムチャツカ地域と千島列島の第四紀玄武岩の資料を整理し,次の2つの結論をえた.1)"高アルミナ玄武岩"は,低アルミナ玄武岩と共存する."高アルミナ玄武岩"の中間性という久野の見解は,カムチャツカ地域と千島列島では否定される.2)久野(1965; 1967; 1968bなど)は,環太平洋造山帯では,アルカリ玄武岩・"高アルミナ玄武岩"・低アルカリソレイアイトという漸移関係のあることを指摘してきたが,これは,高アルカリソレイアイトを無視した機械的な結論である.
著者
飯島 南海夫 山辺 邦彦 甲田 三男 石和 一夫 小宮山 孝一
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.63-72a, 1969

After the disappearance of paleo-Komoro lake which was filled up by the Pliocene Komoro group, a new lake basin was formed, and the older Josho lake sediment was deposited in it. After an interval of erosin stage, the younger Josho lake sediment was settled in the same basin. These Pleistocene formations are named the Josho lake-deposit as a whole. The relation between the older and the younger Josho formations is an unconformity. Their rock facies are different between the southern part and the eastern part. Especially the strata in the eastern part are rich in conglomerate, whereas those of the southern part consist mainly of mudstone. Judging from the fact that the sandy pumice in the younger volcanic ash formation overlies conformably on them everywhere, it is suppose that the Josho lake-deposit is contemporaneous in both areas irrespective of the difference in rock facies. The geologic age of the older Josho formation is correlated with the early Tama age, while that of the upper part of the younger Josho formation corresponds with the early Musashino age, though its main part is correlative with the age of Shimosueyoshi loam. The younger Josho formation is also supposed to have been formed during Wurm glacial age through the examination of mammal fossils in it. The center of these older and younger Josho formations lies in the Shioda basin in the southern part of the whole lake basin. They are not suppossed to be the lakes which were formed through the dam-up effect of the pyroclastic flow. The uplift of the surrounding mountains and the corresponding subsidence of the lower lands may be one of the main factors of the formation of these lakes.