著者
胡 志昂
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
pp.130-115, 2001-12

Luofuxing, the ancient text of Moshangsang which is one of the songs collected by the Han Yuefu (the Music Bureau of Han Dynasty), has been regarded as representative work of Han Yuefu, and has been loved by Chinese people. But it has a comic character, which makes itself obviously different from other old texts of Yuefu. It may be a result of adaptation added for harmonizing with the atmosphere of Place, during the process that the songs of Yuefu were brought from lower strata society to the court and were played at the banquets since Wei-Jin period. This article notices the adaptation through division and connection of words accompanied by wanderings and playing of music, and pursuits the character of the ancient text through various aspects related with the generating process of Luofuxing.
著者
上野 昌之
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.12, pp.231-243, 2012-12

消滅の危機に瀕する言語といわれるアイヌ語は、近年アイヌ復興の動きの中でニーズも増えてはおり、学習者も増加はしている。しかし、アイヌ語の復興再生を想定した時、残念ながら現状では目に見えた成果が上がっているとは言い難い。 そこで本論では、アイヌ民族の人々にとってアイヌ語とはどのような意味をもつ言語であるのかという視点から、彼らのアイヌ語への意識を探るとともに、近年の北海道の動向を踏まえて、アイヌ語学習の可能性を求めていくことにする。そこではアイヌ語を民族言語としてのみ考えるのではなく、日本の文化的財産としてとらえる多文化教育的な視点も考慮していく。そして、アイヌ語を日本における先住民族の言語としてとらえたとき、どのように位置づけ発展させていったらよいのか、近年採択された先住民族の権利に関する国際連合宣言を踏まえて、先住民族の言語権という視点からも考察していきたい。
著者
鈴木 一代
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.103-113, 2007-12

The present study aimed to clarify the awareness of teachers at part-time Japanese schools regarding the Japanese language and culture acquisition of intercultural children with Japanese ancestry. Furthermore, from teachers' perspective, this study assesses the kinds of support such children require in order to improve their Japanese language and culture acquisition. Participants were 56 teachers (51 women, 5 men.) at ten part-time Japanese schools (three in Asia, one in South America, six in Europe). who completed a questionnaire survey. The survey results were similar to those reported by Suzuki (1996, 2001) concerning Japanese language and culture acquisition of the intercultural children with Japanese ancestry at a part-time school in Indonesia. Specifically, similar findings were observed with regard to the difficulty with reading and writing Japanese (especially Chinese characters), the importance of the family environment, and the necessity for visiting Japan. Moreover, as support for improving Japanese language and culture acquisition, the teachers emphasized "assistance for teaching materials" and "formulation of a system for accepting intercultural children with Japanese ancestry in Japan"
著者
松村 真木子 Makiko MATSUMURA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.17, pp.281-294, 2017-12

学習指導要領の改定が平成22年(2010年)に公示され、平成25年4月1日の入学生(2013年)から「情報と社会」「情報と科学」が導入された。2011年にLINEが登場すると、爆発的にスマホが浸透し、高校生をめぐるインターネット環境は劇的に変化した。本稿では、高校生が情報を安全に使うために必要となる項目を抽出して「情報と社会」の教科書を検討する。たとえば、自分が使う情報端末の管理、インターネットの仕組みと使い方、個人情報の保護、SNSの使い方、公開された情報は消せない、ネットいじめなどである。個々の項目について各教科書は丁寧に説明しているが、情報端末の仕組みやインターネットにつながる仕組みとインターネットの安全な使い方を関連づけて伝えていない。それぞれを別々に解説しているため、その関連性を読み解くのは難しい。情報機器やインターネットの仕組みと安全な使い方を関連づけて教えることで、高校生は情報を安全に使えるようになる。
著者
川勝 麻里 Mari KAWAKATSU
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.14, pp.226-211, 2014-12

キャラクターによるリミテッド・アニメーションから、日常に生きる人間らしい成長アニメーションへ。影響を受け続けた手塚治虫から宮崎駿はどのように卒業していくのか。七〇年代の手塚治虫的な、パターン化されたキャラクターが動くリミテッド・アニメーションの遍歴物語から、八〇年代の、等身大の少女が日常生活の中でリアルに動く成長物語へと、宮崎駿が脱皮していく過程を追いかけた。原作をどのように改変して成長物語が作られたかを分析。『ゲド戦記』の影響や、同時代の魔法少女アニメーションとの違いにも言及しながら、等身大の少女の〈成長〉を描いたところが、『魔女の宅急便』の面白さであると論じた。また、本作は『風の谷のナウシカ』に次ぐ〈魔法もの〉だが、ナウシカと比べて、職業によって生計を立てるという経済的部分がキキには付け加えられており、ナウシカになかった〈一人で生きるための〉手段として仕事する責任感が強められている。そうした「生きる力」は、宮崎がスタジオジブリの監督を通じて描き続けたテーマである。神格化されていない等身大の人間が悩む姿は、当時大流行した『魔法の天使 クリィミーマミ』の悩む姿も参考に作られていると考えられる。
著者
松村 真木子 Makiko MATSUMURA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.14, pp.113-125, 2014-12

ウィンドウズXPが2001年に登場してから12年を経て延長サポートが終了した。その間、一般ユーザーが増加し、高速通信の環境が整い、ブログ、SNSなど多様な方法で一般ユーザーが情報を発信するようになった。一方、一般ユーザーを標的にするウイルス、スパイウェアなど悪意の脅威が活発に活動し巧妙化した。2000年から2014年までの情報セキュリティに関する新聞記事を分析し、ウィンドウズXP時代のインターネット環境の変化を振り返り、一般ユーザーのセキュリティ意識がいかに啓発されてきたかを考察した。新聞は、一般ユーザーがインターネットを安全に利用するための知識を学ぶ重要な手段である。今後セキュリティ情報に、PCの構造やインターネットがつながる仕組みを基本的に伝えることを含めると、よりいっそうユーザーの理解が深まり、積極的にセキュリティ対策をとるようになる。
著者
遠田 諭
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.89-100, 2011-12

本研究では過敏型自己愛と誇大型自己愛のフラストレーション場面における言語的攻撃を中心とした、実際的な対人場面における言語表出の特徴について検討を行なうことを目的とし、大学生165名を対象に調査を行った。自己愛尺度とP-Fスタディの分析の結果、全体的な傾向として誇大性が高いことが他者非難的な言語表出に結びつきやすいことが示された。また、場面状況によって反応傾向に違いが見られ、特に検査提示場面に対して心理的な距離が大きい場合、誇大型が過敏型よりも表面上は攻撃的な言語表出をしないことが示された。
著者
赤津 純子
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.151-161, 2008-12

日本の昔話のうち、「かちかちやま」を取り上げ、その教育的意義について考察する。「かちかちやま」には、タヌキがお婆さんを婆汁にしてお爺さんに食べさせる場面が出てくる。この部分は、多くの昔話絵本では残酷であるとの理由から曖昧に扱われている。本研究では、保育に携わる保育者、保育者志望の学生、様々な年齢経歴の成人女性という3つの集団の構成員がこの部分について、どのように感じ、またどのように扱いたいと考えるかを調査する。そこから現在の子どもたちにとってのこの昔話の存在意義、教育的意義を検討することを目的とする。
著者
小島 弥生 Yayoi KOJIMA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.13, pp.83-96, 2013-12

大学生が学業場面で他者からほめられる際に、ほめ言葉を発する相手やほめ言葉が伝えられる状況が、ほめの受け手の心理的反応(感情・認知)にどのように影響を及ぼすかについて想定場面を用いた質問紙実験で検討した。実験参加者148名は相手(教員・同級生・後輩)と状況(直接・伝聞)を組み合わせた6つの実験条件のいずれか1つに割り当てられ、ほめ言葉の受けとめ方、相手のほめ行動の受けとめ方、場面から感じる感情(肯定的、否定的)を回答した。さらに、心理的反応を調整する個人差変数として、賞賛獲得欲求と拒否回避欲求を測定し、分析に投入した。結果は仮説の一部を支持し、直接ほめ言葉を聞かされる場合よりも第3者から相手のほめ言葉を伝え聞く場合の方が、ほめ言葉やほめ行動を肯定的に認知することが示された。ただし、教師が相手のほめの場合に状況間での認知の違いはみられず、同級生からほめられる場合に状況間での認知の違いが顕著となった。すべての条件において肯定的な感情が高く評定されていたが、賞賛獲得欲求はほめに対する肯定的感情を促進し、拒否回避欲求は肯定的感情を抑制する調整効果があることも示された。