著者
田村 亮 亀田 達也 深野 紘幸
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.233-240, 2006

Tamura & Kameda (2004) showed that, when people evaluated the desirability of various resource allocations, their preference for an "allocation that was unfair but provided a Pareto-improvement" over other "fair" allocations was enhanced via group discussion. In their study, participants served as arbitrators who were asked to solve disputes over resource-allocation. This study was a conceptual replication of Tamura & Kameda (2004) to determine whether the prevalence of the Pareto-principle can be observed in a group situation, where interested parties discussed resource-allocation. In each experimental session, two college students worked on an anagram task individually, and then discussed how to allocate a "pair-reward" between them (n=40). The pairs were presented with three reward allocation schemes : plans based on equality, equity, or a plan that was unfair (i.e., paying more to the less productive member) but provided a Pareto-improvement over the other two plans. In line with Tamura & Kameda (2004), the results confirmed that participants' preference for the unfair but Pareto-improving allocation was enhanced substantively via group discussion.
著者
上田 早智江 須摩 茜 田村 亮 片岡 潔 杉山 義宣 水谷 仁 高木 豊
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.347-355, 2017 (Released:2018-06-15)
参考文献数
21

背景:クロロゲン酸(chlorogenic acids)を主成分とするコーヒーポリフェノール(Coffee Polyphenols,CPPs)の継続摂取には,抗腫瘍,抗酸化,高血圧改善,脂肪消費促進作用等の生体における効果が報告されている。さらに近年,顔面や手の皮膚の角層水分量増加および鱗屑改善効果も見出されている。目的:CPPs の継続経口摂取による顔面,下肢皮膚の角層機能への影響を明らかにする。さらに,ストレス症状への影響についても検討する。方法:健常成人女性108名を対象とし,CPPs 配合飲料(クロロゲン酸 300mg/100ml/day)の効果を CPPs 無配合(プラセボ)飲料を対照として8週間継続摂取するランダム化二重盲検並行群間比較試験により検討した。皮膚性状,血流調節機能の計測,および主観評価に基づく皮膚性状の変化・ストレス症状の評価を行った。結果:8週間の摂取試験後,CPPs 配合飲料摂取群では,プラセボ飲料摂取群と比べ,顔面および下肢の角層水分量の増加,テープ剥離後の水分蒸散量増加の抑制が認められると共に,ストレス症状の改善が認められた。結論:これらの結果から,CPPs の継続摂取により全身の皮膚の乾燥の改善が期待されると共に,ストレス症状の低減が示唆された。(皮膚の科学,16: 347-355, 2017)
著者
隼野 寛史 宮腰 靖之 真野 修一 田村 亮一 工藤 秀明 帰山 雅秀
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.372-382, 2013 (Released:2013-05-31)
参考文献数
38
被引用文献数
1

1936~2007 年の網走湖産シラウオの漁獲量変動を調べた。シラウオは 1930 年代前半から網走湖に生息し,漁獲されるようになった。漁獲量は 1~94 トンの間で変動した。その変動には 1 年間隔の周期性が認められ,生活史に起因すると考えられた。漁期はじめの資源量は CPUE と稚魚密度により,36,763×103~487,590×103 個体と推定された。大規模な増水のあった年には降海が促され,不漁になる一方,翌年の親魚量は多くなった。親魚数と次世代資源の加入量には Ricker 型の再生関係が良く当てはまった。
著者
田村 亮子
出版者
清泉女学院大学人間学部
雑誌
清泉女学院大学人間学部研究紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies Seisen Jogakuin College (ISSN:21893632)
巻号頁・発行日
no.14, pp.41-60, 2017-03-15

Levels of Japanese learners’ proficiency in English have been divided into two extremes. Proficiency level of the one extream is B1 or higher on the CEFR scale, while that of the other is A2 or lower. What is needed for English learners to attain B levels is intensive and extensive reading training on the basis of an integrated understanding of English Grammar. The number of those who do not have enough opportunities for this training is increasing, however. This is the first of my papers in which I examine the reasons which underlie this bipolarization, the problems it has been causing in the fields of English education, society, culture, and politics, and suggest ways to solve those problems.
著者
中村 義人 田村 亮 関谷 和之
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.319-327, 2006-06-01

W杯の地域ブロックの割当出場枠を各国代表チームの強さのランキングに基づき,ランキングへの整合性と競争的(民主的)配分との観点から議論する.各国代表チームのランキングはFIFA公表のランキングを用いるとともに,独自に集計したデータからBradley-Terry modelに基づき最尤法と最小χ二乗法で導出したランキングを用いる.第18回W杯後,オーストラリアがアジア地域に加入することが決定している.オーストラリアのアジア加入で生じる地域ブロック再編にともなう出場枠に関して述べる.
著者
杉浦 令人 和田 邦孝 荒井 友章 山本 圭一 前田 則弘 田村 亮介 土屋 裕規 杉浦 徹 和田 弘
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.584-588, 2017-10-25 (Released:2017-12-07)
参考文献数
5

当法人では“介護の標準化”を図る事を目的に介護士育成のための客観的介護技術評価ツールの開発に着手した.今回,介護部役職者に研修および試験を実施し,評価シートの信頼性を分析した.検者間の相対信頼性は,食事でICC:0.797,排泄でICC:0.952であった.また,より詳細な検証が可能になる一般化可能性理論を用いた結果として,一般化可能性係数は,食事:0.466,排泄:0.743であり,食事よりも排泄で高い信頼性が示された.
著者
田村 亮 長谷 正司 福島 孝治
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.652-657, 2021-10-05 (Released:2021-10-05)
参考文献数
11

「物質のハミルトニアンを知りたい」,物性研究者なら誰でも思うことだろう.しかし,対象物質の実験結果を説明できるハミルトニアンを構築するのは,一筋縄にはいかない.ハミルトニアンの関数系,含まれるパラメータ値を決定するためには,多くの試行錯誤が必要となるためである.この煩雑な作業を回避するにはどうしたらよいだろうか.近年注目されている機械学習をはじめとしたデータ駆動手法の利用が一つの道筋だろう.我々は機械学習を利用することで,実験・観測データからハミルトニアンを推定する手法を開発した.ハミルトニアンを推定するために,実験データが与えられた際のハミルトニアンの事後確率を定義する.ベイズ推定を利用することで,この事後確率は,ハミルトニアンが与えられた際の測定ノイズを含めた実験データの尤度(計算物質科学手法により評価可能)および事前分布で表すことができる.事前分布は,推定するハミルトニアンに対する事前知識を表し,推定対象に適した分布を導入する必要がある.このようにして定義された事後確率を最大とするハミルトニアンが最も実験・観測データを説明できると推定される.しかしながら,この事後確率の最大条件探索は,使用する計算物質科学手法によっては簡単ではない.あるパラメータの組における事後確率の値は,対象とする物理量を計算物質科学手法により評価することで得られる.そのため,計算に時間がかかる場合,最大条件を見つけるのは困難である.これを克服するために,機械学習が使える.機械学習を利用することでできるだけ少ない試行回数でよりよい条件を探索することができるベイズ最適化を,事後確率の最大条件探索に利用した.テストケースとして,1次元量子スピン系に対して適用した.ベイズ最適化を用いることで,物理学でよく利用されるマルコフ連鎖モンテカルロ法や勾配法よりも物理量の計算回数が少なくても,よりよい最大条件を見つけ出せることがわかった.一方で,ベイズ最適化を用いると実験データを説明できるハミルトニアンを高速に導出することはできるが,事後確率の最大条件だけでは,観測ノイズを見積もることはできない.そこで,マルコフ連鎖モンテカルロ法によって事後確率を詳しく解析することで観測ノイズを求め,推定されたハミルトニアンに誤差をつける手法を開発した.このように開発された手法の有用性を示すために,実際の実験系への適用として,低次元量子スピン系KCu4P3O12に対して高磁場測定で得られた磁化過程および帯磁率の実験結果から,スピンハミルトニアンを推定した.その結果,推定されたスピンハミルトニアンは,実験データをよく再現できた.また,磁気的相互作用の誤差も見積もることができた.推定されたスピンハミルトニアンを用いることで,実験室レベルでは直接見積もることが難しい,スピンギャップや磁気エントロピーなども予測することができる.つまり,“高価”な実験なしに物質を理解できるため,ハミルトニアン推定は物質開発のコスト削減に繋がり,新物質の発見を加速させるだろう.また,この手法は,ハミルトニアンが定義でき,入力する実験・観測データを計算できる計算手法があれば利用することができる.物理学における様々な分野において,広く応用できる手法である.
著者
田村 亮輔 中川 宙飛 五嶋 聖治
出版者
北海道大学大学院水産科学研究科
雑誌
北海道大学水産科学研究彙報 (ISSN:13461842)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.37-44, 2014-07

アサリRuditapes philippinarumはサハリンから日本,朝鮮半島,中国に分布し,潮間帯から水深約10mまでの砂礫泥底に生息する潜砂性の二枚貝である(松隈,2004)。日本においては古くから沿岸漁業の重要種として漁獲が行われてきたが,近年その資源は減少傾向にあり(伊藤,2002; 多賀ら,2005; 松川ら,2008),資源管理技術の確立が望まれている。適切な資源管理を行う上で本種の成長や成熟に関する情報は不可欠であるが,北海道におけるそれらの知見は本州や九州に比べて乏しく,北海道内においてもアサリ漁業の中心である道東域(中川,1994)に限られているのが現状である。北海道函館湾に面する北斗市(旧上磯町)館野地区では,殻長32mm以上の個体を対象に漁獲が行われている。しかし当該地域においては本種の産卵期についてわずかに知見があるのみで(清水ら,2006),成長に関する情報は不足している。
著者
川上 寛弥 田村 亮太 中島 潤
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.61-62, 2020-02-20

ARDF競技は,電波探査の要素を取り入れたオリエンテーリング競技の一種で,日本においても愛好者が年齢層に関わらず多数おり,毎年全日本大会が開催されている。これまで,ARDF競技大会の運営では,スタンドアロンのPCを利用した競技結果の集計作業が行われてきたが,特殊な競技ルールに基づく競技という事情もあり,競技大会をサポートする総合的な情報システムは存在せず,集計作業に携わることが出来る大会役員の確保等の課題があった。本稿では,ARDF競技大会向けのクラウドサービスを利用して集計作業等をオンラインで行うことによりこれを解決し,大会関係者に競技速報をリアルタイムで提供できるシステムを開発し,北海道において開催された全国大会において有効性を確認したので報告する。
著者
田村 亮 亀田 達也
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.64-70, 2007-03-25 (Released:2008-10-03)
参考文献数
11

Using a brain-imaging technique, Breiter et al. (1996) and Morris et al. (1996) showed that the amygdala, which is known to respond to threatening stimuli, is activated when participants view fearful facial expressions. These results imply that fear is transferable between individuals. The purpose of this study was to provide behavioral evidence for ‘fear contagion’ using a probe detection task to measure attention bias following exposure to either fear-relevant or fear-neutral primes. As expected, the results revealed a fear-specific response bias in which participants selectively directed their attention towards a fearful facial-expression after being primed with a fear-face. Conversely, selective attention was not observed with neutral-face, sad-face, or snake primes. Interestingly, participants tended to selectively avoid a picture of a snake following a fear-face prime. Implications of these findings and future directions are discussed.
著者
田村 亮輔 中川 宙飛 五嶋 聖治
雑誌
北海道大学水産科学研究彙報 (ISSN:13461842)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.37-44, 2014-07-31

Shell growth of the short-necked clam Ruditapes philippinarum at Hakodate Bay, Hokkaido, Japan, was studied from February 2011 to February 2012. Monthly measurements of shell growth increment from the last ring on the shells revealed that a ring was formed annually from February to March. The Gompertz growth equation was fitted to the relationship between number of rings and shell length, and the equation, LR = 38.41exp (-exp (-0.892 (R-2.029))) was obtained, where LR is the shell length (mm) at the number of ring R. This equation shows highly depressed growth rate after 30 mm in shell length, and maximum shell length was attained about 40 mm that is smaller than those of the other localities. The estimated growth pattern was in accordance with the results of analyses of the size frequency distributions. The observed depressed growth was not explained by a shortage of food supply or seawater temperatures, but may be due to sediment character of including many cobbles and pebbles with sand which disturbs shell growth of the short-necked clam.
著者
田村 亮子
出版者
清泉女学院大学人間学部
雑誌
清泉女学院大学人間学部研究紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies Seisen Jogakuin College (ISSN:21893632)
巻号頁・発行日
no.16, pp.41-54, 2019-03-15

The Ministry of Education and Science has decided to replace the English Test for the National Center Test for University Admissions with private-sector English tests (e.g.Eigokentei, TOEFL, TOEIC.et.al) . One of the biggest problems of this change of policy is the appropriateness and fairness of using the results of different kinds of tests as a standard for university admissions. The Ministry of Education and Science is going to use CEFR as the index with which the scores of different kinds of exams are compared. This study examines the kind of problems that will emerge from this change of policy.
著者
日高 勇一 小玉 彬人 田村 亮太 伊藤 誠文 小池 貢史 平井 卓哉 佐藤 裕之 萩尾 光美
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.6-11, 2014-07-05 (Released:2014-07-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

5歳、雌のミニチュア・ダックスフントが腹囲膨満および呼吸困難を主訴に来院した。身体検査、エックス線検査および超音波検査により腹腔内腫瘤と胸水の貯留が認められた。腫瘤と胸水の細胞診により、腫瘤は胸腔内転移を伴う卵巣由来の悪性腫瘍であることが示唆された。手術により腹腔内腫瘤は摘出され、病理組織学的に卵巣の乳頭状腺癌と診断された。術後、肺転移に伴う胸水の制御を目的にパクリタキセルと白金製剤併用の化学療法が合計9回行われ、手術から623日目に死亡した。剖検により肺は腫瘍組織に侵されていたことが確認された。パクリタキセルと白金製剤併用の化学療法は、犬の転移性卵巣癌症例に対する化学療法の選択肢の一つになりうるかもしれない。
著者
本間 雅行 田村 亮 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫 佐藤 真琴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.224, pp.7-12, 2008-09-22

近年のディジタル機器においては,多種多様で,膨大なデータを短時間で処理することが要求されている.このような要求に応える新たなアーキテクチャとして,多数の演算器を並列に動作させることができる再構成型プロセッサがある.ここでは,ディジタルメディア処理向け動的再構成プロセッサFE-GA(Flexible Engine/Generic ALU array)に注目する.現在,FE-GAの開発ツールに関してはまだ確立されていない.そこで本稿では,FE-GAへの設計を容易にし,開発コストを軽減するFE-GAマッピングアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムは特定のデータフローグラフ(DFG)を入力とすることで,FE-GAへのマッピング結果を生成,変換し,FE-GA専用のアセンブリ言語を自動生成するものである.この自動生成したアセンブリ言語をFEEditorと呼ばれる専用ツールに読み込ませることでマッピング自動化を実現する.提案手法では,DFGの入力側から出力側に向かってレベル順にノードを一つ一つFE-GAの演算セルアレイに配置配線していく.最初にマッピングするノードを優先的に左上にマッピングすることとし,それ以降のノードは,マッピングしたいノードの入力データを出力するノードの位置により,その位置を決定する.この過程を繰り返すことでマッピングを実現する.8つのDFGに対し提案手法を適用しサイクル数および実行時間を算出した.すべてのDFGでマッピングを実現することができた.
著者
田村 亮
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.190-198, 2010-03-25 (Released:2011-02-20)
参考文献数
6

In recent years, the importance of demonstrating one's own achievements has increased signi.cant-ly. Most noticeably, the number of research articles that survives rigorous peer reviews is frequently being used as an index to measure eligibility for an academic position or research grant. Therefore, almost all of researchers often find themselves being pressured to write academic papers. On the other hand, writing academic papers can be quite di.cult for those who have never written them. This article provides a brief tutorial for writing academic papers in Japanese language. However, there already are some good manuals which explain writing paper such as Tsuzuki (2006) or Rosnow & Rosnow (2006). Therefore I wish to demonstrate how to write academic papers in Japanese language based on my own experiences. This article consists of two parts. The first one describes how to write academic papers for each section of an article, namely “purpose” “method” “result” and “discussion”. The second part presents comprehensive strategies in writing academic papers.
著者
杉浦 令人 和田 弘 櫻井 宏明 鬼頭 良介 合川 善浩 齋藤 有紀 角田 利彦 本谷 郁雄 朴 英浩 田村 亮介 緒方 真己 川原 有貴子 金田 嘉清
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.E3P1196, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】平成18年4月に介護保険法が改正された.中でも転倒予防への取り組みは重視されており全国2/3の自治体が地域高齢者を対象に転倒予防教室を実施している.しかし、それらの活動の効果は立証されておらず、さらに要介護高齢者の転倒予防効果はほとんど報告されていない.そこで、本研究の目的は要介護高齢者が行える『安全・楽しく・長く』を念頭に構成した集団リズム運動が心身機能にどのような効果をもたらすのかを検証することである.【対象】M県の通所サービスを利用している要支援1~要介護2の19名(平均年齢/79.9±7.0歳、男:女/7:12)を対象とした.次の項目の該当者は対象外とした.(1)独歩不可能(2)運動の説明が理解困難な認知症を有す(3)急速に進行中の進行性疾患、急性疾患や不安定な慢性疾患、6ヶ月以内の心筋梗塞や下肢骨折(4)ADLで介助を有す方である.対象者を無作為に2群に割付け、個別運動と集団リズム運動を行う群を介入群、個別運動のみを行う群を対照群とした.【方法】介入前と6週後に身長、体重、BMI、握力、膝伸展筋力、坐位体前屈、開眼片脚立位、Functional Reach Test(以下FRT)、Timed Up & Go Test、歩行能力、Profile of Mood States(以下POMS)、Falls Efficacy Scale(以下FES)の測定を行った.個別運動は中川らが考案した運動を採用した.体力測定の結果を基に5~6種類の運動を選択し個別プログラムを作成した.回数は運動毎に8~10回×2~3セット、頻度は週5回、期間は6週間とした.集団リズム運動は第1~3ステージより構成され、全て音楽に合わせて行った.第1ステージでは足踏み、支持面固定での重心移動、スクワット等を行った.第2ステージでは歌詞に合わせ運動を行った.第3ステージでは『1・2・3』と足踏みをし『3』の時、一歩足を出し、それを前後左右へと繰り返した.両運動の強度はBorgScale12~13とし微調整は重錘ベルトにて行った.各群の効果判定として介入前後における体力測定の結果を比較した.介入前後の両群間の比較、さらには体力測定の各項目において変化量を介入前の値で除した値を両群ともに算出しその割合を比較した.尚、本研究は当法人倫理審査委員会の承認を得た.【結果】各群の介入前後を比較したところ介入群では坐位体前屈、FRT、最大歩行速度にて有意な向上が認められた(p<0.05).FESでは有意差は認められなかったが向上傾向を示した.対照群では膝伸展筋力、POMS(T-A)にて有意な向上・改善が認められた(p<0.01).両群間の比較では介入前後ともにFRTにて有意差が認められた(p<0.01).両群間の変化量の比較では有意差は認められなかった.【考察】6週間の短期介入にて介入群では柔軟性、バランス、歩行能力の向上が認められ、また転倒恐怖心が減少傾向を示した.よって、今回提案した集団リズム運動は転倒予防への可能性が示唆された.対照群では下肢筋力の向上が認められ個別プログラムの有用性を再認識した.
著者
田村 亮輔 天野 敏之 加藤 博一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.3, pp.341-342, 2008-01-17

仮想立体絵本は,拡張現実感技術を利用し,カメラで撮影した絵本の画像上に3次元 CG コンテンツを重畳表示するシステムである.絵本の各ページを予めコンピュータに登録しておき,その情報と画像を比較しカメラと絵本の相対的な位置姿勢を計算することで,幾何学的に整合性のとれた画像合成が可能となる.我々もテンプレートマッチングに基づく特徴点追跡を利用した位置姿勢計算手法について研究してきた.近年,マルチコアCPUが普及し始めており,並列処理による処理の高速化が標準的なPC環境においても比較的容易に実現できるようになった.今回は,マルチコアCPUの使用を前提に,我々のこれまでの提案手法の並列化を行い,処理を高速化,安定化を実現した.Virtual pop-up books are systems which can overlay a captured image with 3D CG objects based on augmented reality technology. 3D geometrical consistency in the composite image can be kept by estimating the relative pose of the camera from the physical book. We have been studying about this pose estimation method using feature tracking based on template matching. Since multi-core CPUs have been spread in recent years, it can be easily achieved to improve the performance speed by parallel processing on a standard PC environment. We modified our tracking codes for parallel processing by multi-core CPUs and improved the performance speed and robustness of the tracking.