- 著者
-
玉瀬 耕治
藤田 正
- 出版者
- 奈良教育大学教育研究所
- 雑誌
- 奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, pp.143-152, 1982-03-23
本研究では、奈良県山間部の子どもを主な対象として、子どもからみた親の称賛・叱責の実態と子どもの学習適応性について調べた。主な結果は次のとおりであった。(1)親の称賛・叱責の類型では、両親ともによくほめよく叱るRW型がもっとも多く、次いで母親ではよく叱るがあまりほめないNW型が多く、父親ではよくほめるがあまり叱らないRN型が多かった。(2)称賛の内容では、"良い成績をとってきたとき"がもっとも多く、次いで"お使い"と"そうじ"、"ごはんのあとかたずけ"が多かった。叱責の内容では、"けんかをしたりあばれたり"がもっとも多く、次いで"宿題"と"テレビ"であった。(3)RW型とRN型の家庭の子どもは、NW型とNN型(ほめも叱りもしない)の家庭の子どもに比べて学習適応性検査(新AAI)の学習態度,学習技術,および学習環境の得点が高く、より好ましい状態にあることが示された。(4)学習適応性に関して、山間部の子どもは4年生と5年生では全国平均とほぼ同じ水準であったが、6年生では劣る傾向がみられた。特に、学習態度および学習技術に関する面と、"根気強さ"が劣ることがわかった。へき地教育研究室報告特集12