著者
星野 高徳
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.29, 2018

本研究の課題は、屎尿処理を改善する際に重要な論点になった肥料問題と衛生問題に注目し、行政や公衆衛生の研究者が、肥料の確保を重視する農村と衛生面の改善を重視する都市の双方にいかに配慮したのかを検討することにより、戦後日本における屎尿処理の特徴を明らかにすることである。<br>戦後になると、大都市を中心に下水道の建設が推進されることになったが、人口に対する普及率は低く、都市の屎尿処理は依然として農村還元処分や海洋投棄に依存せざるを得なかった。公共下水道の整備には多額の費用を要することから、戦後の日本では、農村部で厚生省式改良便所と糞尿分離式改良便所を使用した農村還元処分の継続が模索され、都市部では浄化槽による下水処理化が目指された。しかし、いずれも財政面、衛生面の限界を抱えていたことから、急速には普及せず、海洋投棄などの非衛生的な処理が残存することになったのである。
著者
佐々木 創 清水 孝太郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.63, 2009

わが国の機械情報産業等がアジア諸国へ進出するに伴い、現地の製造プロセスから大量の工程くず・オフスペック品が発生するようになっている。これら工程くず・オフスペック品の多くは、十分な処理・リサイクルをされずに第三国へ輸出されていることが多く、資源流出という点や環境配慮という点から問題になっている。そこで、アジア諸国へ進出するわが国の機械情報産業等を資源戦略の観点から支援し、また新たな環境ビジネスの展開可能性も探るため、技術同友会が提言しているクリティカルメタルの中からタングステンを対象として、アジア諸国におけるレアメタルのリサイクルビジネスのあり方を検討するために、国際資源循環のフローの推計を行った。
著者
宮川 英樹 村上 進亮
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

今回の調査では、ELV由来のプラスチックリサイクルフローを整理し、大きく分けて2つに分類した。ELVから主に手解体工程を通じて回収したPPを「ELV-PP」とした。また、ASRから主に高度選別(光学選別・比重選別)工程を通じて回収したPPを「ASR-PP」とした。この二つのフローは、工程ごとのマテリアルフローが異なる。さらに、それぞれのELV由来のプラの物性を比較し、今後のリサイクル方法を明らかにした。
著者
佐々木 俊介 渡辺 浩平 荒木 徹也
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

本ポスター発表においては、映像人類学に基づくダンプサイト・ウェイスト・ピッカーの活動記録を、写真、図表、動画を用いて発表する。調査地はインドネシア共和国西ジャワ州バンタル・グバンに設置された廃棄物最終処分場の周囲に形成されたスラム街であり、発表者は2010年2月より、19回渡航し、計707日間滞在している。調査地のウェイスト・ピッカーたちは廃棄物最終処分場内において有価物収集を行っており、有価物収集の際には、自分自身で作成あるいは道具製作者から購入した道具を用いている。有価物売買においては伝票が発行されるなど、取引上のごまかしが起こりにくい取引方法がとられている。ウェイスト・ピッカーたちが1日に収集する有価物は世帯当たり約100kgであり、ここから推定されるリサイクル率は6.5%である。ウェイスト・ピッカーの収入は、月に240US$でありジャカルタにおける法定最低賃金と同水準にある。
著者
佐々木 俊介
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.23, 2012

スカベンジャーによるリサイクルへの貢献が指摘され、インフォーマルな活動であるスカベンジャーによる有価物収集活動をフォーマルなシステムに組み込む統合的な廃棄物処理行政が複数の研究者によって提案されている。しかしながら、量的データとして正確にスカベンジャーたちのリサイクル能力などを推計したものはほとんど無い。そこで、本研究においては、インドネシア共和国バンタルグバン廃棄物最終処分場近隣のスラム街に居住するスカベンジャーを対象に約9ヶ月間の現地滞在調査を行った上で、スカベンジャーたちによるリサイクル方法を明らかにするとともに、スカベンジャー社会において有価物の売買時に取り交わされている伝票に基づき、スカベンジャーたちの収入(Rp.1,178,643)について明らかにしながら、世帯あたりのリサイクル量(1,977kg)を明らかにした。
著者
花嶋 温子 福岡 雅子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

筆者らは、2014年に「恋するフォーチュンクッキー 関西のごみ処理施設Ver.」、2015年に「心のプラカード 関西のごみ処理施設 Ver.」という2つのインターネット動画を自主制作しYouTube上に公開した。ごみの問題にあまり関心のない人達にも焼却工場や資源化施設、最終処分場などごみ処理施設の存在を知ってもらい、イメージアップを計ることが目的であった。本研究では、実際にこの動画を視聴した人達の反応を被験者1006人のインターネットアンケートにより調査した。ごみ処理施設に対して、負のイメージ(汚い・臭い、危険・有害)と、正のイメージ(生活を快適に、環境を守る)のどちらもイメージが強い層ほど、動画を見た後でイメージが変わったと答える比率が大きい。これらの調査結果をもとに、ごみ処理施設に負のイメージを持っている人のうちどのくらいの人に影響を与えられたかを試算した。
著者
福岡 雅子 花嶋 温子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.26, 2015

筆者らは、前回の研究発表で取り上げたインターネット動画「恋するフォーチュンクッキー 関西のごみ処理施設Ver.(https://youtu.be/n4DAJpPvlDk)」に引き続き、新たなダンス動画を作成した。大阪府・兵庫県内にある焼却施設、資源化施設、最終処分場などのごみ処理施設11カ所をロケ地とし、そこに関わる人達180人を踊り手に迎えた、ごみ処理施設全体のイメージアップのためのダンス動画である。前作を超える動画を製作するべく、新たな挑戦も試み、「心のプラカード 関西のごみ処理施設 Ver.(https://youtu.be/ Wi-MmoZFCv8)」を完成させた。 発表では、動画の着目点、1作目と2作目の比較、ダンス動画作成の効果に関する考察などについて、第2報としてインターネット動画のその後を紹介する。
著者
花嶋 温子 福岡 雅子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

&nbsp;多数の自治体が「恋するフォーチュンクッキー」のダンス動画を製作し、インターネット上の動画投稿サイトで公開している。そして、その自治体のおすすめの場所をPRしている。しかし、自治体が製作するダンス動画に、ごみ処理施設が出てくることはなかった。そこで我々は、ごみ処理を担う処理施設を「恋するフォーチュンクッキー」のロケ地として、施設で働く職員やごみ収集担当者などと一緒にダンスを撮影し、動画を完成させて公開した。 <br>&nbsp;ごみ処理施設のイメージアップのために製作して公開した動画のその後について、視聴者などの反応を検証した結果を報告する。今回の動画配信は、自治体が公開しているごみ減量関連の動画などに比べて、再生回数が桁違いに多かった。また、「楽しい」「笑える」という反響が多かった。今回の経験で、廃棄物への認識を広報する際に持つべき視点を、いろいろな立場の人たちと共有したいと考えている。
著者
山崎 達雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

廃棄物を意味する言葉として、近世においては、「塵芥」や「ごみ」が使われていますが、尼崎、峰山、紀伊田辺での「ごみ語」の用例、さらに、具体的な塵芥の内容や、その処分方法も含めて報告する。
著者
山城 公人 大川 浩志 小竹 茂夫 柴田 健司
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

近年、石材等の採石場の跡地に管理型廃棄物最終処分場を計画する事例が増えている。採石場跡地に最終処分場を建設する利点として、河川水等の表流水の流入が少ない点や沈下や崩壊の恐れが少ない点が挙げられる。一方、採石場跡地に処分場を建設する難しさも存在する。<br> 管理型最終処分場では、一般に遮水シートを用いた表面遮水工が必要であることから、遮水シートの基盤はシートの破損を防止するための平滑性が求められる。特に、斜面部は底盤部と異なり覆土による基盤の平滑化が困難であるため施工上の工夫が求められる。<br> 安価で施工性のよい硬岩斜面の平滑化工法の開発や積極的な採用は、採石場跡地に代表される岩盤での最終処分場建設促進に有効であると考える。<br> 本報告では、花崗岩の切土斜面と現地発生土を用いた盛土斜面の両方が存在する管理型産業廃棄物最終処分場の建設工事において、経済的で短工期を目的とした施工事例を紹介する<br>
著者
飯野 成憲 辰市 祐久 山崎 実 茂木 敏 吉田 慎太郎 井上 宏 荒井 康裕
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.24, 2013

東京都は小型電子機器などが多く排出されているため、「都市鉱山」としてのポテンシャルが高い。しかし、不燃ごみ中の希少金属・主要金属は鉄やアルミなど一部の資源を除いて破砕を経て最終処分場に埋め立てられている<sup>1)</sup>。不燃ごみ中の有用な金属の再資源化のためには、小型電子機器等の回収可能量を定量的に把握することが必要である。<br> そこで、不燃ごみ中の電子機器等のごみ質組成を調査することにより、都内において実際に排出される小型電子機器等の総排出量を推計した。また、天然資源採掘量の削減という点に着目し、再資源化による天然資源採掘量の削減効果を推計したので報告する。