著者
花嶋 温子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.26, 2015

大阪府内自治体を対象として、環境審議会と廃棄物減量審議会における飲料の提供状況を調査し、93%の高回答率で結果を得た。府内の審議会のうち約半数が個別のペットボトル飲料を提供していた。飲料の提供をしていない2~3割の審議会でも、提供しない理由は慣例や費用であり、環境負荷の低減ではなかった。飲料の選択に関して担当者の多くは、費用が環境負荷やおもてなしの気持ちより重要だと考えているわけではない。しかし、現実には費用の制約が大きく、リユースびんを使うことは「良いことだが現状からの変更はむずかしい」と考える人が4 割を超えている。環境負荷と費用と文化(もてなしの文化)との間で、どのような容器を使うかは些細ではあるが姿勢の問われる選択である。
著者
磯辺 咲菜 石井 明男
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

&nbsp; &nbsp;戦後10年の昭和31年に発足した東京都清掃局は、経済復興と共に増え続けるごみ量に対応するため、従来の人力での清掃事業の機械化を進めていた。<br>&nbsp; &nbsp;清掃局は大都市の清掃事業をどのようにマネジメントしていくか模索をしていた昭和35年、ニューヨーク市清掃局からヘンリー・リーブマン氏を招へいし、収集、運搬、処理、処分の全てを視察し多くの提言を行った。提言は、厨芥、雑芥の分別収集の廃止、建築現場道路のごみ散乱防止、職員の待遇改善など特徴的な提言がある。 <br>&nbsp; &nbsp; 東京都清掃局は東京オリンピックが開催される1964年前までに、ふた付容器によるごみの混合収集、焼却施設の改善、埋立方法の改善、清掃パトロール、河川清掃機械化、道路清掃機械化、吸い殻処理作業、技術職の補強、作業員の待遇改善等に取組んだ。<br>&nbsp; &nbsp; これら東京都清掃局による清掃事業の近代化はリーブマンの提言に学ぶところが多かったと思われる。
著者
瀬口 亮子 山川 肇
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.24, 2013

韓国の「資源の節約とリサイクルの促進に関する法律」は、一回用品(いわゆる使い捨て品)の使用を抑制する制度を規定している。本制度により、韓国では、飲食店やホテル等において、他国に見られない発生抑制の取り組みが実施されている。我が国においては、大手スーパーのレジ袋削減等は、自主的取り組みにより一定程度進展はあるものの、拘束力を持った発生抑制の施策は未整備である。本稿は、韓国の一回用品使用規制の制度と実施状況から、我が国における発生抑制のしくみづくりの可能性を提案する。
著者
福本 勤
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.23, 2012

震災がれき処理の政府方針「広域処理」が、余り進んでいなのは、がれき処理の本来あるべき姿・本質と矛盾し、政府不信、汚染不安があるからである。望ましい姿・本質は、「がれきは、多量の資源・エネ、コスト(税金)を消費し、CO2を発生しながら、遥々43都道府県に運んでの処理ではなく、①PREC (&equiv;資源・エネ、環境保護、コスト最小化)、②被災地の雇用、補助金受取り、電力供給、③受入れ地住民の不安解消等の観点から、被災地で高効率発電焼却処理する」である。 原子炉排出137Cs等は、直ちに大気中等物質と反応してCsCl 、Cs2O、CsOH 、Cs2CO等の化合物になり、これらはがれき焼却排ガスに含まれることになるが、CsClを例に取れば 、蒸気圧が1000兆分の1気圧程度と極めて低く、ガス・蒸気状では殆ど存在せず、凝縮・凝集して粒径0.001&mu;m以上の微粒子に成長し、バグフィルターに100%近く捕集されることになる。これを理論的に解明した。
著者
Alicia L. Castillo Suehiro Otoma
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
pp.677, 2013 (Released:2014-01-21)

Waste generation in the Philippines has accelerated at a fast pace due to rapid economic and population growth and has contributed to environmental degradation.  The objective of this paper is to review the current municipal Solid Waste Management (SWM) and its challenges in the country, and discuss the possible and innovative ways to manage solid waste issues.  The 3R’s integrated waste management method is the main type of SWM in the country.  Despite the passage of RA 9003 law in 2001, only about 21% and 4% of the Local Government Units (LGUs) in the country are being serviced by municipal recovery facilities and sanitary landfills, respectively.  Moreover, while the LGU of Los Banos was able to successfully address the problem of solid waste through community mobilization and political will of its highest official, SWM in the country could still be considered as not effective or efficient.  Therefore, in order to have an effective SWM in the Philippines, the LGUs should have the political will to innovatively comply with RA 9003, through mobilization of all sectors concerned towards minimizing solid waste and uplifting the economic status of the vulnerable groups involved on SWM.
著者
関戸 知雄 ヌア・ファジリ アリフィアニ スリ マリアティ 土手 裕
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.24, 2013

近年、東南アジアでは、Waste Bank(ごみ銀行)と呼ばれる、資源回収方法の導入が報告されている。市民等が資源物をごみ銀行のオフィスに持ち込み、その代金を銀行のように預金できるシステムである。本研究では、インドネシア・マラン市での廃棄物資源回収に関する実態調査と、参加・非参加者の特性の違いを明らかにするためのアンケート調査を実施した。マラン市のBSMは、持ち込む資源物の内容や由来となるごみなどが、参加形態によって異なる特徴が見られた。現状では、このBSMによって回収されているごみ量は、埋立処分されている量のわずか0.3%以下である。しかし、参加者の割合から考えると、家庭での資源回収の仕組みが定着すれば、この量は大きくなり、埋立処分量削減に寄与するだろう。
著者
星野 高徳
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.31, 2020

<p>戦前の東京市、大阪市、名古屋市では、近世以来の農村還元処分が重要な役割を果たしていたが、市営汲取、下水処理化については、異なる対応がとられ、汚物掃除費の水準に相違が見られた。東京市は部分的に屎尿の下水処理化が試みたものの、主に従来の農村還元処分を拡大することによって、屎尿問題の緩和を図っていたため、汚物掃除費は高い水準で推移した。それに対して、大阪市は汲取処理は根本的な解決策にならないと考えたため、下水道、下水処理場による処理を目指し、汚物掃除費ではなく、下水道整備に対する費用を充実させていた。名古屋市は下水処理と農村還元処分を併用することにより、衛生面と財政面の双方の問題に配慮しており、汚物掃除費は大阪市より高い水準で推移した。3市の政策に相違が見られた要因としては、①下水道の敷設、屎尿の運搬に関係する地勢の違い、②大阪市の関一のようなリーダーシップを持った市長の存在が挙げられる。</p>
著者
Baek Ye-Seul Lee Jai-Young Park Kyung-Joo Park Ji-Hye Lee Hyun-Goo Oh Seung-Jin Kim Jong-Bin
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.321, 2010

There is limitation for landfilling municipal solid waste(MSW) because of the narrow country and high population density in Korea. However, the generated quantity of the waste increased according to the population growth and mass production and consumption. So, Korea aims the waste minimization by recycling and reusing resources. If the waste dumps after incineration, it can use more long time.Whenever se design the incinerator, it has to know about waste using three components and heating value. Generally, there are three values such as combustible components, moisture, ash. In this study, the authors analyze by Korea Standard. The sampling points are Incheon, Gyeonggi, North part of Han river, South part of Han river, and there is mixed samples with each area. The authors sample from each point more than 100kg. And then the samples were measured bulk density and sorted 10 kinds of waste.The average bulk density of 5 sampling points is 94.86 kg/m3. The most of waste have large part of combustible components except the food waste and other combustible waste. As you know, the plastics have the highest heating value. The value of highest heating was calculated 8,094.96 kcal/kg and the value of lowest heating was calculated 7,686.31 kcal/kg by Dulong equation. Also the food waste has lowest heating value. The value of highest heating was calculated 3,963.69 kcal/kg and the value of lowest heating was calculated 3,192.46 kcal/kg by Dulong equation.
著者
小林 潤 石原 賢人 樋口 剛志 倉持 秀敏
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.24, 2013

廃棄物由来のBDFおよびガス化ガスを燃料とするデュアルフューエルディーゼル(DFD)発電を最終目標として、廃棄物ガス化ガスの模擬ガスを用いたDFD発電を行い、その燃焼挙動およびエネルギー変換特性について検討を行った。なお、実験には市販の非常用小型ディーゼル発電機を用いた。また、主要燃料には2号軽油を用いた。実験の結果、模擬ガスを用いることで軽油消費量が低減することが明らかとなった。しかし、排ガス中に一部未燃分も確認され、今回の条件では気体燃料が完全に燃焼していないことが示された。
著者
阿部 清一 川本 克也 倉持 秀敏 大迫 政浩
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

溶融技術は、1,300~1,400℃の高温炉内で処理固形物を塩化物や可燃物と共に溶かし、Csを塩化揮発等により高効率に揮散分離して溶融飛灰中に濃縮できる技術である。前報では、草木類を含む土壌を対象として、大型テストプラントを用いた溶融試験を行い、Csを高効率で分離できることを確認した。そこで、本報では、処理対象の範囲を広げ、バイオマス焼却灰、下水汚泥焼却灰及びそれらと土壌の混合物について同様の実証試験を行い、以下の結果を得た。<br>① 対象物種によらずCaCl2添加により塩化揮発が起こり、全条件において95%以上、最大99.9%のCs揮散率が得られた。<br>② 二段BFの適用により、Csは少量のNo.1 BF灰に高濃度濃縮できた。また、それは水溶解しやすい性状であった。<br>
著者
中嶋 聡 松丸 詩琳 鈴木 実
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

現在、実用レベルに達しているフロン類の分解技術では、有害な副生物の生成やランニングコストが高いこと等の問題があり、フロン類を安価でかつ環境に優しい方法で分解する技術の開発が期待されている。<br> 前述の背景から、我々は、バイオマスや廃熱をエネルギー源とする廃蒸気衝撃波を利用してフロン類を瞬時に分解する技術を開発することを目指している。本研究では、標準型及び爆轟駆動型衝撃波管を用いて、処理温度、試料ガス中水蒸気濃度を主な変更パラメータとしてフロン類の系統的な分解試験を実施中である。<br> 標準型衝撃波管を用いて、フロン12の分解試験を実施した結果、処理温度約950Kで最大62vol.%の分解率が得られ、爆轟駆動型衝撃波管を用いた場合、処理温度約3400Kで最大99.9vol.%の分解率が得られた。また、水蒸気添加率の増加に伴ってフロン12の分解率が顕著に増加することがわかった。
著者
松原 ひろみ 石井 明男 ピーター シルベストロ ハッサン ナシア デービット ルバン ピティア アルフォンス
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.24, 2013

2011年7月に独立した南スーダン共和国の要請により、JICAによる廃棄物管理能力強化のための技術協力プロジェクトが実施されている。しかし、プロジェクトの対象となるジュバ市では、廃棄物管理を実施する上で不可欠なデータが十分に蓄積されていなかった。そこで本調査では、実測値と聞き取りによって収集したデータを用いて、人口、ごみ量・質といった廃棄物管理に必要なデータをまとめた。人口は最小値として認識するとして推定値を設定した。ごみ量は、実測調査により原単位を求め、人口の推定値とともにジュバ市における住宅地でのごみ発生量を推定した。また、ごみ質調査により、重量及び容量のいずれの場合でも、有機物及びプラスチックでほとんどが占められており、特にプラスチックの排出量は先進国並みの割合であることがわかった。最終的には南スーダン側がこういったデータを活用して今後の運営や将来計画を策定することを期待する。
著者
杉原 英雄 谷口 暢子 上原 伸基 臼井 勝久 内田 博之
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

<br>防府市クリーンセンターは、一般廃棄物を焼却処理するごみ焼却施設にメタン発酵処理するバイオガス化施設を併設した「ごみ焼却・バイオガス化複合施設」である。混合収集されたごみを機械選別し、隣接施設から受入れた下水、し尿汚泥と混合してメタン発酵を行い、得られたバイオガスを用いて高効率なごみ焼却発電を実現している。<br>2014年4月から商用運転を開始し、これまで安定的な処理を継続しているが、日常運転の中では複合施設特有の問題が発生することがあるため、都度対策を講じ解消することで、より効率的な運用を図っている。本稿では、バイオガス化施設から排出される発酵残渣の焼却処理に関する改善事例について報告する。
著者
山崎 達雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.28, 2017

屎尿は、古くから肥料として利用されてきたが、西洋の知識が明治になって入ってくると、人糞中のアンモニアが飛散し、人の健康を害すると考えられるようになりました。勧業寮は、肥料としての利用を広げる狙いもあって、人糞に硫酸を注いで硫酸アンモニウムとして固定する乾糞製造を、明治9年(1876)4月に本所中ノ郷出村で行っています。勧業寮の乾糞製造は、既に農業経済史の視点から紹介されていますが、東京都の公文書等も含めて、乾糞製造と悪臭苦情について改めて論述し、廃棄物の処理の記録の重要性を再認識したい。
著者
菅原 聖史 村上 進亮 山冨 二郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.23, 2012

近年、多くの使用済み家電製品が市中回収業者経由で回収されており、資源性の損失・散逸や不正輸出、輸出先での環境汚染等の問題を引き起こしている。リサイクルシステムには各ステークホルダーの多様かつ複雑な意思決定が含まれており、故に問題の解決に向けて施策を打つ場合には、それが各ステークホルダーの行動に及ぼす影響、及びその結果生じるシステム全体としての挙動の把握が必要不可欠である。そこで本研究ではマルチエージェントシミュレーションを用い、システムの複雑かつ多様なフローを再現した上で、各ステークホルダーの行動やシステム全体に対する施策の効果の定量的な検証を行った。結果として、家電エコポイント制度導入や消費者の環境意識の違いによる廃棄行動の変化について定量的に把握することができた。このようにステークホルダーの意思決定や製品のフローをモデル化し、定量的な分析を試みた点が本研究の最大の成果であると考える。
著者
阿部 新
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

自動車リサイクル法は,分別後の不要物の再資源化費用等を新車購入時にプールする仕組みであり,理論的に廃棄物の不法投棄による外部費用問題と不公正取引問題を防ぐことができる。しかし,この枠組みは中古車として輸出されるものは対象外であり,輸出先では外部費用問題と不公正問題は起こりうる。本研究では,自動車を事例として,中古品貿易を考慮した場合の廃棄物処理制度における政策研究の課題を考察する。まず,実際の自動車リサイクル法の枠組みにおいて,事前に支払うリサイクル料金が中古車輸出において返還される仕組みを説明し,日本などの輸出国はそのような料金の未返還政策のインセンティブがないことを示す。次に,廃棄物と中古品の違いを示し,中古品は廃棄物ではなく,その輸出において廃棄物の排出者責任の考え方を適用できないことを示す。さらに,拡大生産者責任の考え方が国境を越えて適用できないことを示し,方向性や課題をまとめる。
著者
高田 光康
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

災害廃棄物処理においては、初動対応の的確さがその後の処理の難易度を大きく左右する。関東東北豪雨における茨城県常総市と熊本地震における熊本の対応を例にして比較し、初動対応の重要なポイント、仮置場、協定、組合連携、計画、公報の5点(かきくけこ)を抽出した。これを今後の教訓として災害廃棄物処理の初動対応に活かすよう提言する。
著者
半田 拓也 福岡 雅子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.23, 2012

市町村のごみ担当部局では,廃棄物の減量・資源化の方法として,家庭での食品廃棄物の堆肥化や水切りを啓発している。しかし,実際の堆肥化の可能性や水切りによる減量効果についてはよく把握しないまま啓発が続けられている場合が少なくない。そこで,家庭から排出される食品廃棄物の排出実態を,1袋ごとに展開して把握し,その結果を統計的に整理した。その結果,食品廃棄物はレジ袋に入れて排出されることが多く、未利用食品の排出が食品廃棄物の排出量の増加に寄与することがわかった。さらに,未利用食品の排出は,全体の2割の世帯で8割の未利用食品を排出していることがわかった。また,水切り袋を排出する際にレジ袋に包んで排出したり,二重三重に包んだりする割合が多いことがわかった。そこで,家庭へのごみ減量の啓発の際には,水切りを啓発すると同時に水切り後にレジ袋に入れずに排出することをPRしていくことが望まれる。
著者
岡野 多門
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

長崎県から鳥取県までの東シナ海および日本海側からのごみが漂着できる鳥取県の8海岸で日本からのごみ流出について分析した。漁業ごみはロープ,フロート,ポリタンクの3種の計の年間平均漂着重量は約65㎏/(hm・Y)であるが,日本由来と確認できる量は少なかった。民生ごみは次に多く,飲料や洗剤,調味料容器,耐圧缶,ライターの合計は約30㎏/(hm・Y)で,ここでは日本ごみが約半分を占めた。農業からは肥料袋が多いが,漂流過程で沈むため外国由来は少ない。日本の農薬プラ容器と肥料袋の年間平均漂着重量は0.8㎏/(hm・Y)であった。日本から流出する深刻なごみ種は飲料容器で,合計は156個/(hm・Y)で,民生主要9種の87%を占めた。小型ペットボトルは最も重大なごみ種で河川流域の陸域と海浜周辺で多く投棄され,そこからの漂着割合は大型ペットボトルとタブ型飲料缶を説明変数とする重回帰分析で推定できる。これによって的確な排出防止策の実施が可能になる。
著者
土村 萌 浅利 美鈴 築地 淳 酒井 伸一 ホール ビッキー
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.29, 2018

大洋州島嶼国では、都市での人口増加やライフスタイルの変化によりごみの多様化・大量化が深刻な問題となっている。特にプラスチックごみは海洋に投棄されると、サンゴ礁やマングローブ、漁業、海洋生物などの自然環境に影響を与える可能性がある。そこで、本研究ではサモアの家庭を対象にプラスチック製容器包装の消費と廃棄に関するアンケート調査を行うことによって、サモアにおける家庭の不適正管理プラスチック製容器包装排出量を推定した。その結果、不適正管理排出量は年間約670トンと推定され、特に屋外使用やポイ捨てが比較的高い割合でされるPETボトルやお菓子の袋、レジ袋には注意が必要であるということが分かった。また、不適正管理プラスチックごみ排出量は、都市よりも農漁村のほうが一人当たり年間で約1.3 kg大きいことが分かり、ごみ回収が十分でない農漁村でのプラスチックごみ適正管理も重要であることが示唆された。