著者
小河 邦雄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.148-153, 2022-04-01 (Released:2022-04-01)

本稿はヘルスリテラシーの観点から医薬品を中心に調査に使用できる基本的な情報資料の特徴について述べる。そのため,医療関係者以外の情報サービスに携わる人を主な対象とした内容としている。はじめに医薬品の情報が必要とされる場面について整理し,医薬品を適正使用するための情報と治療に用いる医薬品自体の適切性を判断するための情報と二つがあることを述べた。次に,情報の信頼性に大きく関係してくる要因として,提供する組織で分類し,具体的な情報資料の特徴についてまとめた。最後にインターネットを使用して情報を探す際の情報リテラシーの役割,信頼できる情報,インフォプロの役割について述べた。
著者
小川 恵
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.104-109, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)

精神保健学の視点から,職務の負担が生み出すメンタルヘルスの問題を,就労環境から受ける生理学的影響と心理社会的負担感の影響から分析した。仕事忌避感が自己中心性を招き,対人ストレスと捉えることが,職場の緊張を増す構造を検討し,メンタルヘルスリテラシーの視点からうつ病とバーンアウトを予防する働き方を考察した。負担感は必ずストレスコーピングを招くが,準備がいる良いコーピングより容易な悪いコーピングを無自覚にとる結果,不適切な生活習慣が疲労蓄積や生活習慣病を生むメカニズムを見,ストレスマネジメントの基本を健康生活習慣とコーピングの自覚と選択であるとし,これを図書館員固有のストレス構造において検討した。
著者
兼宗 進
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.78-83, 2004-02-01 (Released:2017-05-25)
参考文献数
21
被引用文献数
2

WWW(World Wide Web)上の文書を検索する検索エンジンは,インターネットを利用する上で不可欠な存在である。検索エンジンは従来の情報検索技術を基礎としながら,独自の発展を遂げてきた。しかし,内部の検索アルゴリズムが十分に公開されていないことから,検索エンジンは,中の見えないブラックボックスとして手探りの使い方をされることが多い。そこで本稿では,検索エンジンの検索アルゴリズムを構成する「適切なページの収集手法」「ノイズや漏れのない検索を高速に行う手法」「適切にランキングして表示する手法」について解説する。
著者
佐藤 正惠
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.128-132, 2022-04-01 (Released:2022-04-01)

2020年3月にパンデミックが宣言されたCOVID-19感染症は,2022年1月現在もウイルス変異により猛威を振るい続けており,社会生活は大きく変貌した。医療体制,ワクチン接種等をめぐり,根拠の不確かなニュースが氾濫するインフォデミックが危惧される状況となっている。本稿は,主に公共図書館における情報の吟味と提供を考える。疑問の定型化,エビデンス・ピラミッドや6Sピラミッドと情報検索,フェイクニュースへの海外の対応について述べる。さらに医療・健康に関する報道について質の向上を目指すメディアドクター研究会の活動を紹介し,メディアリテラシーについての話題を提供する。
著者
情報科学技術協会OUG特許分科会
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.398-402, 2005-09-01 (Released:2017-05-25)

本稿では, 医薬品の最大市場である米国における医薬品の特許存続期間延長制度やデータ保護などについて述べるともに, 延長後の特許満了日やデータ保護期間の調査方法について概説する。
著者
桐山 勉 安藤 俊幸
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.340-349, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)

人工知能の第三次ブームによりこの2~3年で巷の会話の中にでも頻繁に人工知能(AI)という言葉が聞くようになった。畳込み深層学習の進歩によりイメージネット大規模視覚認識コンテストの正解率が95%を超えた。更に,画像を見て言葉概念を理解する高度なレベルの研究が盛んになりつつある。AIの多方面への応用研究が急激に加速され,特許情報をその研究対象にすることに着目されるまでに至った。米国特許商標庁での先行技術調査への活用研究が盛んになって来た。プロバイダーでもその応用を特許情報サービスに活用しようと盛んになって来た。ここで,特集号にちなみ総論を纏める。
著者
石松 久幸
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.557-562, 2009-11-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
8

カリフォルニア大学バークリー校東アジア図書館で行なわれている日本の古地図のデジタル化プロジェクトは同図書館のサイトで一般公開されており,古地図に新たなパースペクティブを与えるものとして,いま世界的な注目を集めている。このサイトの画像は単なるイメージの表示に留まらず,同時に提供されているツールを用いてより有効に地図を活用できるよう配慮されている。またGoogle Earthと古地図との重ね合わせもプロジェクトの一部として進行中である。本稿ではそのプロジェクトの内容,使用しているソフトウエアの利用法,デジタル化を行なうことの意義,影響,そして新たに起きた問題点などについて説明する。
著者
山口 直比古 平輪 麻里子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.213-217, 2014-06-01 (Released:2017-04-13)

医科大学図書館における人的支援サービスとしてのレファレンスサービスには,事項調査,文献レビューの作成,文献検索などがある。中で,文献検索の技術を用いた診療ガイドライン作成支援などの新たなサービスを紹介した。また,アメリカにおける医学図書館員の新たな役割としてのInformationistの活動について紹介した。
著者
出井 甫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.95-100, 2022-03-01 (Released:2022-03-01)

現在,社会全体のデジタル化が加速しており,その影響がコンテンツ業界に顕著に見られる。例えば,多分野のコンテンツがオンライン配信を通じて消費者に行き渡るようになっている。また,高精度のコンテンツ創作・編集ソリューションが普及したことで,誰でも容易にコンテンツを創作・発信することが可能になっている。その結果,創作者と利用者との境界が希薄化し,プロとアマチュアの境界も曖昧になりつつある。こうした現象を起こす重要な役割を果たしているのがUser generated contents(UGC)である。本稿では,UGCの現状を概観しつつ,UGCの創作及び利用に伴う課題,並びにそれに対する政府の取組み状況を報告し,今後の検討の方向性について考察する。
著者
水野 祐
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.101-107, 2022-03-01 (Released:2022-03-01)

クリエイティブ・コモンズ,Rights Statements等の著作権等に関する意思表示または権利状態を表記するツールは,情報資源の円滑な流通や利活用に資する。本稿では,著作権等に関する意思表示または権利状態を表記するツールを,(1)意思表示表記型,(2)権利状態表記型の2つに大別したうえで,(1)意思表示表記型については,(1-a)ライセンス表記型,(1-b)純粋意思表示表記型に区別する,という分類を試みている。そのうえで,これらの表記ツールの仕組み,普及状況及び意義に加えて今後の課題について考察している。
著者
松永 敦夫 石川 浩
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.265-270, 2014-07-01 (Released:2017-04-13)

今日,主要国特許庁から特許公報の全文がデータベースとして提供されている。このデータベースを自らサーチし,また必要に応じ審査経過情報にもアクセスして,誰もが関連する特許情報を取得することが可能になっている。特許情報の科学技術情報としての利用促進は,特許制度の要である。しかしながら,特許明細書は,出願人が特定の意図をもって技術情報を開示するものであり,また,玉石混交であることから,その利用には注意を要する。特許情報の利用者は,特許制度を良く知り,また技術分野毎の戦略のパターンを知って,特許情報を評価することが重要である。小論では医薬品に関する特許情報の評価や利用例を中心に紹介する。
著者
臼井 裕一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.298-303, 2013-07-01 (Released:2017-04-18)
参考文献数
9

日本において特許分類の付与は具体的にどのようになされているのか,また審査室の担当技術との関係はどのようになっているのかについて説明し,FIとIPCとのコンコーダンスの不備によってヒット件数0件のIPCが生じていることを示した。また,IPCの方がFIよりも細分化されている実例についても例示した。このような分類付与の問題点に対しては,やはりFI・Fタームを中心に検索すべきである旨指摘し,あわせてFI・Fタームのメインテナンスが適切になされているかについても触れた。なお,現在進行中のIPC細分化のCHCプロジェクトの進展も含めて今後の動向を注視する必要がある。
著者
西田 豊明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.586-590, 2018-12-01 (Released:2018-12-01)

2011年ころから第3回目のブームとなった現代人工知能技術の特色は,社会を広く巻き込んでいる点である。本稿では,人工知能の本質について議論した上で,倫理的,法的,社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues, ELSI)への取り組みの現状を俯瞰し,その原則的な側面についての議論の概要をまとめ,利活用の視点からの検討を紹介する。さらに,ELSI問題のはっきりと捉えにくい側面についても触れ,今後の見通しを探る。