著者
蔵川 圭 武田 英明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.622-631, 2012 (Released:2012-01-01)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

本稿では2009年より始まった国際的な研究者識別子付与活動であるORCID(Open Researcher and Contributor ID)について解説する。ORCIDは世界中の研究者に一意の識別子を与えることで,さまざまな学術コミュニケーションを円滑にすることを目的としている。このために学術コミュニケーションに関与する出版社,大学,研究助成機関等が集まって非営利法人ORCID Inc.を設立して,活動の母体としている。現在300近い組織が参加している。ORCIDのIDは個別の研究者にとっては自己の研究業績の集約や他の研究者の業績の発見に役立つ。大学にとっては組織の業績をまとめるのに貢献する。出版社には著者や査読者の同定に貢献する。研究助成機関にとっては,応募者の同定に役立つ。ORCIDのサービスは2012年の初頭に最初の機能限定版が公開され,2012年中にはより多くの機能を含んだサービスが公開される予定である。
著者
蔵川 圭
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.67-72, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)

本稿は,様々な学術的文化的データベースにおいて必要不可欠な著者識別子に焦点を当て,昨今の技術的,政策的変革の中で,それらがどのような様態をなして,どのように利用されるようになってきているのかを概観する。著者識別子は,著者名の曖昧性を排除し,学術的,文化的なあらゆる創作活動の結果である著作物を著者に正確に関係づける。著者名寄せとの対比の中で著者識別子を形式的に位置付け,現在流通する様々な著者識別子を品質の観点から整理し紹介する。さらに,グローバルな著者識別子であるORCIDとISNIが学術論文,研究データ,デジタルアーカイブを対象にしたデータベースにおいてどのように応用されるかを示す。
著者
蔵川 圭 武田 英明 高久 雅生 相澤 彰子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第25回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.140, 2009 (Released:2009-12-15)

科学研究費補助金における研究者番号を持つ研究者を対象とし,Web上の研究者リソースをリンキングするサービスとして研究者リゾルバーαを構築して公開している.リンキングのためには,同姓同名や異体字などの様々な問題を克服して研究者同定をしなければならない.ここでは,科研費の研究者と代表的な34大学の研究者総覧データベースに登録された研究者の漢字氏名を対象に同姓同名分析を行った.その上でシステム内部の同定手法を定め実装し,同定精度をサンプル調査した.本報告では,これらの結果について示す.
著者
蔵川 圭
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.447-452, 2011-11-01 (Released:2017-04-20)
参考文献数
46

様々な学術情報がWeb上に展開されるようになって以来,著者に対する典拠の重要性は,昨今増しているように思われる。少なくとも著者や機関の識別子が重要視され,様々なデータベースを背景としたそれら識別子がWeb上に展開されるようになってきている。本稿では,こういった著者のデータベースと識別子に焦点を当て,どのようなデータベースと識別子がWeb上に公開されているのかを整理して概観する。まず,著者データベースの類型について述べる。そして,それらのデータベースからWeb上に著者識別子が公開され,Web上の著者識別子のリンケージをとり,コミュニティ形成によってリンケージ精度を向上していく展開となることを述べる。さらに,様々な人名検索サービスを眺めながら,著者データベースの位置づけを明確化する。最後に学術情報基盤としての重要性を指摘する。
著者
中川 渉 蔵川 圭 中小路 久美代
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.16, pp.105-112, 2001-02-22
被引用文献数
1

本論では,作曲過程の支援を目的として,作曲過程における中間的産物の外在化の役割に着目した作曲過程のモデルと,それに基づき構築したインタラクティブシステムCAPADY (Composition Assistance by Producing Agogics and DYnamics)について論じる.作曲過程において生成される中間的産物を計算機を用いた演奏シミュレーションという形式で外在化することにより,作曲者の内省が進み作曲過程が進行する.CAPADYは,そのような作曲者の内省を支援するために,他パートの実演奏を基に演奏データを自動的に調整し演奏シミュレーションにおける演奏データの表情付けをおこなう.The goal of this research is to support the cognitive process of musical composition by focusing on the role of externalizations. We use computer systems as a means to externalize intermediate understanding of what the composition should be. CAPADY (Composition Assistance by Producing Agogics and DYnamics) automatically produces agogic and dynamic accents for a partially written musical notation for an instrument (e.g. drum) by extracting expressive features from actual music performance using another instrument (e.g. piano).
著者
蔵川 圭
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.447-452, 2011
参考文献数
46
被引用文献数
1

様々な学術情報がWeb上に展開されるようになって以来,著者に対する典拠の重要性は,昨今増しているように思われる。少なくとも著者や機関の識別子が重要視され,様々なデータベースを背景としたそれら識別子がWeb上に展開されるようになってきている。本稿では,こういった著者のデータベースと識別子に焦点を当て,どのようなデータベースと識別子がWeb上に公開されているのかを整理して概観する。まず,著者データベースの類型について述べる。そして,それらのデータベースからWeb上に著者識別子が公開され,Web上の著者識別子のリンケージをとり,コミュニティ形成によってリンケージ精度を向上していく展開となることを述べる。さらに,様々な人名検索サービスを眺めながら,著者データベースの位置づけを明確化する。最後に学術情報基盤としての重要性を指摘する。
著者
高嶋 章雄 蔵川 圭 山本 恭裕 中小路 久美代
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.3, pp.31-38, 2001-01-17
被引用文献数
1

情報を視覚化することにより人間はそれをより直感的に理解することができるため,グラフィックスを用いた様々な表現手法が提案されてきた.本稿では時間的変化を伴う事象をアニメーションを用いて表現し,情報を得る上で重要となるインタラクションについて論じる.ケーススタディとしてオブジェクト指向プログラミングによるクラスライブラリの進化を表すアニメーションを制作した.ユーザ観察を通して,(1)時間軸のコントロール,(2)差分の表現,(3)臨場感・没入感,(4)情報の絞りこみ,(5)時間軸のメタビュー,という5つの側面が,アニメーションを用いたインタラクションにおいて重要であることがわかった.Graphic representations, such as charts or diagrams, aid humans to grasp the meaning of information more easily. Computers have been used to visualize information, and a number of graphical representation methods have been explored. This paper describes a representation of complex data with temporal variations by using animation. By observing an expert interacting with the representation, we have identified five concepts that are important for using animation to visualize such complex data: (1) a control of the time scale, (2) differential representation, (3) a feeling of immersion, (4) filtering out information, and (5) a meta view for the time scale.