著者
星野 渉
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.315-321, 2013-08-01

2000年代に入り日本の書店数は大幅に減少している。その原因は主に雑誌市場の縮小にある。さらに,今後は電子書籍化の影響も予想される。その一方で,リアルな空間としての書店の価値を,改めて評価する動きや,電子書籍を取り込もうとする書店も登場している。日本型の取次・書店システムが持つ構造的な問題点も踏まえて,今後の書店の方向性を探る。
著者
阿蘇品 治夫
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.440-447, 1998-08-01

国立国会図書館は, この度13万冊に上る所蔵児童図書のうち昭和30(1955)年以前刊行の約9, 500冊を国際子ども図書館(平成12年開館予定)の電子図書館サービスにより提供することを想定し, 著作物のディジタル化・インターネット提供についての利用許諾取得手続, いわゆる著作権処理を行った。対象資料には約2万件の文章, 挿し絵, 装丁等の著作物が含まれており, 関連する著作者は約6, 000名に上った。このうち著作権者名と現在の連絡先が判明した約2, 500名に対して文書により利用許諾を求め, 最終的に約9, 000件の著作物の利用が可能となった。
著者
野末 俊比古
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.46-50, 2013-02-01
参考文献数
5

本稿では,大学図書館における情報リテラシー教育の評価にあたって,統計や文書などの「ログ」を活用する可能性について検討する。図書館には,評価データとして効率的・効果的に利用できる多種多様なログが日常業務のなかで蓄積されているが,利用に伴うコストも考慮しつつ,アウトプット評価に偏らず,アウトカム評価を充実させる方向性が期待され,定量的評価に加えて定性的評価を重視する取り組みなどが求められる。
著者
田邊 稔
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.213-220, 2001-04-01
参考文献数
14
被引用文献数
3

従来, 図書館のシステムは大学や機関ごとに検討され, 開発されてきた。また, それを担うシステムライブラリアンは, 個々に悩み, 工夫しながら何とかシステムを維持, 管理してきた。しかし, システムに対する周囲の評価は, 彼らの努力ほどには高くなかった。そのため, 彼らのモチベーションやプロ意識が低下し, 被害者意識が芽生え, サービス品質に少なからず影響を及ぼしている。そこで, 業務モデルを全面的に見直し, 書誌データ, システム, プロトコル等の規格を統一することにより, 機関間の横断的なヒューマンリソースシェリアリングや収益事業を展開していく必要がある。また, そのために必要なヒューマンスキルとは何かを模索する。
著者
林 衛
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.311-316, 2004
参考文献数
14

研究者コミュニティのなかで日々みられるインフォーマル・コミュニケーションに加えて,いま,研究者コミュニティと社会全体とのインフォーマル・コミュニケーションが求められるようになってきているのはなぜだろう。それは,基礎研究(科学)はやがてその応用である技術を通して社会に還元されると考える「リニアモデル」優位の時代が終焉を迎え,また,市民の無知を前提とした「欠如モデル」が見直されているからだ。両者に代わる双方向コミュニケーションとして,産学連携および狭義の科学コミュニケーションの充実が必要となる。たんにわかりやすいだけでなく,科学を広く深く魅力的に表現するサイエンス・ライティングの理論化も進んでいる。
著者
小圷 守
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.328-333, 2009-07-01
参考文献数
13

大学図書館における学習支援は,単なる文献検索にとどまらず,学習環境としての図書館のあり方,レポート・論文作成支援や著作権理解にまで議論が広がっている。また,米国大学図書館におけるラーニング・コモンズや日本の大学図書館における先行の取り組みは,大学における学生の情報リテラシー獲得のための支援にまで発展している。本稿では,大学図書館における学習支援のあり方や学習環境モデルを日米大学図書館の事例を交えて紹介する。最後に筆者が勤務する大学図書館における情報リテラシー獲得のための支援を紹介するとともに,今後の大学図書館のあり方,特に図書館における学習支援について論じる。
著者
風間 一洋
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.28-33, 2013
参考文献数
16

近年のブログ,Facebook,Twitterなどのソーシャルメディアの普及により,ソーシャルネットワークを介した口コミで情報を収集できるようになった。このようなソーシャルネットワークによる情報収集は,Webサーチエンジンを用いた情報検索と比較すると受動的であるが,情報源や仲介者となる隣接ユーザを適切に選択することで,自分が興味を持っような情報を効率的に入手することができる。本稿では,ソーシャルネットワークにおけるユーザ間の繋がりが,情報探索行動に対して果たす意義と役割,さらにサービスによる違いについて解説する。
著者
桜井 醇児
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.519-521, 1990

最近私はフランスに旅行し,フランスの電話を用いた通信情報網ミニテル(minitel)が家庭で使われている様子を見てきた。大変興味を覚えたのでこれについて報告しよう。情報網の役割りと使い方を考える上で参考にするところが多いと思う。
著者
茂出木 理子
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.341-346, 2008
参考文献数
10
被引用文献数
6

お茶の水女子大学附属図書館では,全学的な教育改革の動きに連動し,2007年4月に図書館内に新しく学生のための学習空間である「ラーニング・コモンズ」を設置した。本学にとって,ラーニング・コモンズは,「21世紀型文理融合リベラルアーツ教育」を象徴する場であり,学内の各部暑が連携して運用すべき協働の場でもある。小規模な大学図書館が小規模だからこその利点を生がし,図書館が主体となった協働の場を推進するには,1.図書館がやる気があることを学内にアピールすること,2.できることからとにかく着手すること,3.学生を運用に巻き込むことがポイントである。
著者
西川 康男
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.440-444, 2012
参考文献数
4

資生堂企業資料館は企業博物館としての新しい方向性を示している。すなわち,従来からの展示中心の一般的企業博物館ではなく,社会に対し,企業文化のあり方を示すと同時に自社の組織内部に対し,企業活動を支援するさまざまな役割を果たしている。収蔵する膨大な企業資料や収蔵物を活用し,商品開発やマーケテイング担当など様々な部門に対し,戦略上のヒントを与え,方向性を指し示し,「本物」にこだわる資生堂の企業文化の形成と継承に役立っている。本稿ではこうした資生堂企業資料館の戦略的な企業アーカイブズの姿を紹介する。
著者
斉藤 通貴
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.56-61, 1999-02-01
被引用文献数
2

本論文では図書館の効果的な戦略を考えるに当たって, マーケティング戦略の視点を導入し, 非営利組織のマーケティング, マーケティング戦略プロセス, サービス・マーケティング, 消費者情報処理行動の研究成果を援用することを試みた。図書館運営におけるマーケティングの有用性は, 顧客満足の視座からそれぞれの業務をとらえ, 戦略的発想を得ることであると考える。市場, 公衆, 製品ミックス, 接客員へのエンパワーメント, 関係性のマネジメント, データベース・マーケティング, 顧客分類と情報提供などの議論を通じて, いかにして図書館のミッションを有効かつ効率的に達成するかが議論される。
著者
郡司 ペギオ幸夫
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.244-248, 2007-05-01

Floridiの情報実在論から出発して,認識論的構造実在(SLMS-シェーマ)に見出される存在論的寄与の意義を考察し,進化・変化を含意する実在として,その描像の可能性を述べる。存在論的寄与とは,対象・認識間の齟齬を,理論内部に,抽象レベルとモデル間の齟齬として持ちこんだものである。ここではその齟齬が決して解消されないことをもって,情報単位の解体・内省が導かれるという点を論じ,生化学サイクルの観察・モデル化の事例を用いて,情報実在論が本質的に階層間齟齬を内在する動的階層構造であることを明らかにしている。
著者
鈴木 正紀
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.364-369, 2002-07-01

IFLA「図書館/情報教育プログラムのためのガイドライン2000」を翻訳し,1976年に出された「図書館学校の基準」との若干の比較を行った。両者は四半世紀のあいだを経ており,その間の図書館をめぐる技術的環境変化,高等教育機関のおかれた社会的環境の変化によって,教育内容は大きく変化していることが見て取れる。
著者
西沢 康
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.361-366, 2003-07-01

1999年(平成11年)11月,記事索引とマイクロフィルムからデジタル化した紙面イメージを一体化させたCD-ROM「明治の読売新聞」を,読売新聞社が発売した。新聞界でも初の事業である。「明治」編から8年。「大正」「昭和」戦前I・IIを完成させて現在,「戦後復興編」として1960年(昭和35年)までの「戦後」編第一弾が進行中だ。媒体も大学,公共図書館を中心に「貴重な資料」との評価をいただいている。索引と紙面イメージが絡み合ったからこそ,関係者から迎え入れられたといえる。デジタル化と索引編集について,これまでの制作過程を紹介する。
著者
角家 永 木下 和彦
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.237-241, 2008-05-01

iGoogleは,Googleのホームページを自分の好みに合わせて自由にカスタマイズできるサービスである。iGoogleは,このサービスに組み込むサービス(ガジェット)をユーザーが自由に作成・公開できる点に特徴がある。iGoogleガジェットは,HTML,XMLとjavascriptの基本的な知識があれば誰でも作ることができるが,本稿ではHTMLの知識だけでもガジェットの作成ができるように留意し,Webページの一部やOPAC検索窓をガジェット化する方法について解説する。
著者
小島 恵美子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.410-415, 2011-10-01

日本医師会医学図書館は,国立情報学研究所の相互利用システム(NACSIS-ILL)における図書館間相互貸借(ILL)複写依頼の最多利用館の1つである。2007年度から2010年度のILL複写依頼を集計した結果,利用者におけるインターネットの普及が影響を与えていることが示されていた。オープン・アクセスの文献などインターネット上の文献利用が要因と考えられる複写件数の減少が認められる一方で,電子化,オープン・アクセス化されていない文献の申し込みが増加傾向にあった。利用者自身による入手が困難な文献情報を,複写サービスやILL複写依頼のなかで発見して提供することが,今後は重要になると考える。
著者
小出 いずみ 栗田 淳子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.863-869, 1990-12-01

外国人による日本研究は近年ジャパン・スペシャリストといわれる専門家だけのものではなくなり,日本語ができなくても日本を調査・研究の対象に含める人が増え,裾野が広がった。日本に関する外国語の文献を収集している国際文化会館図書室では日本研究者をはじめ,その他の研究者にさまざまなサービスを提供している。情報提供のパターンには,情報そのものの提供,情報アクセスの手段形成,情報アクセスの障壁を取り除く活動の3種類がみられ,全体として英語圏の日本研究の日本におけるレファレンス部門の役割を果たしている。日本情報の国際的流通をよくするために海外で日本情報を扱える仲介者を増やす,国内の情報流通基盤の整備,国内の日本情報の拠点機関の充実が必要である。
著者
松邑 勝治 植松 利晃 國岡 崇生 治部 眞里 堀内 美穂 山田 直史 坂内 悟 齋藤 隆行
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.336-342, 2011-09-01

独立行政法人科学技術振興機構(JST)が提供するJ-GLOBALは,産学連携や研究課題立案における課題探索(抽出)において業種を超えた情報収集や,新たな発想を支援するサービスである。JSTは,J-GLOBALを介してJST内外のさまざまな専門的なサービス等と連携し,質の高い科学技術情報をより効果的に流通させることで,わが国のイノベーション創出に貢献することを目指している。本稿ではJ-GLOBALが実現している"統合検索"機能を中心に,サービスの現状,今後の展望について紹介する。