著者
粕谷 直
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.214-219, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)

researchmapは,科学技術振興機構が運営する日本の研究者総覧データベースであり,多くの研究者および研究機関が利用している。国を代表するデータベースとして,また研究業績管理サービスとして10年以上運用しているシステムであるが,特に近年は政策的な背景を受けて,競争的資金の応募・審査時に利用される等,その重要性はますます高まってきている。researchmapの概要と沿革,現在の利用状況,今後の展望について解説し,登録・利用をするメリット,またより負担無く快適に利用できるようなワークフロー等を紹介する。
著者
野崎 篤志
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.333-339, 2010-08-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
18

特許情報を調査・整理・分析して視覚化・ビジュアル化したものがパテントマップであり,R&D戦略立案や特許出願戦略の策定に欠かせないツールである。数多くの統計解析型パテントマップ作成ソフトやテキストマイニングによるビジュアル化ソフトが販売されているが,パソコンに通常インストールされているExcelを用いてもパテントマップを作成することが可能である。本稿ではExcelに搭載されているピボットテーブルというクロス集計機能の概要,パテントマップの中でも作成が難しいバブルチャートの作成方法,そしてパテントマップのビジュアル表現について述べる。
著者
藤垣 裕子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.102-108, 2004
参考文献数
15

レビュー誌とは,すでに出版された学術情報を再考し,批評し,回顧し,概説を与える(統合して評価する)雑誌を指す。レビュー誌にとりあげられることによって,もとの学術情報は再考され,全体における位置づけを得る。それでは,「もとの学術情報が再考され,全体における位置づけを得る」とは何を意味するのだろうか。この問いを考えるために,本稿では次の2つの考察を行った。まず,もとの学術情報とは何かという問いについて,知識生産論,ジャーナル共同体論の側面から考察した。続いて,もとの学術情報が再考され,全体における位置づけを変えることの意味について,引用論をもとに考察した。これらの2つの方向からの考察をもとに,レビューとは何を意味するかを再考した。
著者
李 慧瑛 下髙原 理恵 峰 和治 田松 裕一 緒方 重光
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.515-521, 2020-10-01 (Released:2020-10-01)

近年,医学系分野でテキストマイニングへの関心が高まっている。この手法は看護学領域においては,臨床で起こる現象を掴むための定性的調査手法として,アンケート調査の自由記述やインタビュー調査の逐語録分析に用いられることが多い。また,文献データベースから得られる情報を基に,研究動向を概観する研究にも使用される。本稿では,研究対象として医中誌Web上で検索可能なテキストマイニングを活用した全論文を例に挙げて,研究動向をテキストマイニングの手法を使って分析した。この過程を通して,具体的にどのような新知見が得られるかについて考究し,これをベースとして医学系分野におけるテキストマイニング全般の将来展望について概括する。
著者
林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.492-496, 2019-11-01 (Released:2019-11-01)

研究者の成果公開メディアとして数百年にわたって重要な役割を果たしてきた学術ジャーナルは,電子化,オープンアクセス化を経て,本格的にデジタルトランスフォーメーションする時代に突入した。過渡期にある現在において,日本の各学会と学術ジャーナルは,プレプリントサーバー,オープンアクセスとそれに伴う著作権やライセンスの対応,およびデータポリシーの制定を早急に行う必要がある。また,はじめに学術ジャーナルや査読の枠組み自体が変容することを前提とした長期的展望を踏まえた準備が必要であり,学会・出版機能のデジタルトランスフォーメーションに主体的に取り組むことになる。
著者
岡山 将也 岩崎 一正
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.484-488, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

近年,オープンサイエンスという言葉がいろいろな場所で聞かれるようになった。これを受けて,企業も他社及び大学等の外部研究機関と業務提携を実施して研究開発を進めている。一方,企業は基本的に右肩上がりの営利活動を持続することを志向している。しかし,近年の様々な外的環境の急速な変化に対応するために,新規事業の開発においても,オープン化戦略に舵を切り始めている企業が増えている。本稿では,企業におけるオープンサイエンスを利活用した場合のメリットと課題について考察を述べ,オープン化戦略を進める上で何をすべきかを検討する。
著者
境野 哲
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.560-565, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)

いま国内外でIoTやAIの活用が進み,その用途は,生産,物流,小売,設備保全,交通,医療など多岐にわたる。その背景には,コンピューターの小型高性能化,クラウドコンピューティングやモバイル通信の普及,ソフトウェア技術の進化がある。先進国では企業収益が伸び悩みコスト削減も限界に近づく中,ITで新事業を創出したいという企業や政府の期待も高い。しかし,IoTやAIにも,運用事故,サイバー攻撃,不正使用,軍事利用,依存症といったリスクがあることも忘れてはならない。IoTやAIを公共の福祉に役立て安全適切に運用するには,技術の標準化,法制度の整備,技術者と利用者の教育,そして産官学の国際協力が必要である。
著者
斉藤 孝
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.670-677, 1998-12-01

情報リンクとは, 情報と情報を結び付けるもの, また必要な情報に辿り着くための結びつきのことである。情報リンクをかなり広い意味でとらえると図書目録, 索引, 参考調査, 情報検索など情報管理そのものにまで話題が拡散してしまう。そこで, 本稿では情報リンクの技術的側面に的を絞り, その集大成ともいえるハイパーテキストについて触れた。
著者
高木 元
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, 2005-10-01

人文科学系基礎学の研究業績は、多くの場合経済的な見返りが期待できない。のみならず、短期間に個人で完璧な成果を挙げることの困難な課題が多い。したがって活字媒体での公表のみならず、インターネット上に webサイトを確保して、そこにアーカイブし公開することの意義は大変に大きい。著者自らが日々新たな知見や情報によって自らの記述の更新が可能だからである。しかし、一般に個人サイトの維持は有限である。千葉大学で始まった学術成果リボジトリは、書誌情報を添加して固定的なurlで持続的に保存されるという点で劃期的であるが、機械可読テキストの最大の長所である適時の更新、ないしは更新履歴の保存に対応していない点などの課題も残している。In most cases, scholarly work in the humanities does not result in economic compensation. Furthermore, there are many subjects for which it is difficult to produce thorough results. There is thus a great significance and potential in making public the results of one's work not only through the medium of print but also by means of maintaining a website and creating a public archive on the internet. This allows the author him or herself to modify and update even on a daily basis their work by adding new information. There are, however, normally limits to maintaining a personal website. The institutional repository begun at Chiba University is in many ways truly revolutionary in that it allows for a continuous preservations of fixed URLs to which have been added bibliographic data. Two important problems, however, remain: the ability to cope in a timely manner with revisions and updates - which, after all, is the great advantage of electronic text - and the preservation of a history of updates.
著者
佐藤 有紀 砂田 有史
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.546-551, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)

近年,企業にとって情報,データは重要な資産となり,特に消費者をターゲットとする企業にとっては,購買履歴をはじめとする個人に関するデータを蓄積,分析し,マーケティングや広告にいかに活かしていくかが重要なテーマとなっている。このような中,個人の関与の下でデータ流通・活用を進めることにより,個人に関するデータの利活用と個人の権利・利益保護のバランスを図ることができる,情報銀行という制度が注目を集めている。そこで本稿では,情報銀行の概要と情報銀行から個人情報等を取得することを検討する事業者における注意点について概説したい。
著者
深見 嘉明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.501-506, 2010-12-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
3

図書館情報の関係者においては以前から重要視されてきたメタデータ,しかしその存在は専門家の間だけで認識されてきたものであった。しかし,ウェブの普及がこの状況を一変させた。e-commerceにおける商品レビュー,ソーシャルブックマークや写真共有サイトにおけるタグの活用など,一般生活者が自覚的にメタデータを生成,共有,活用するようになったのだ。本論文ではウェブというインフラの進化によって,日常生活にいかにしてメタデータの利活用が広がったのか,そのプロセスを概観するとともに,この変化への対応について検討する。
著者
柴山 明寛
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.458-463, 2020-09-01 (Released:2020-09-01)

2011年東日本大震災が発生した以降,災害記録を残すべく,自然災害デジタルアーカイブが数多く構築された。証言記録,行政文書,写真記録,動画など数百万点にも及ぶ災害記録を今後の防災・減災に活かすためには,災害記録がどのようなものであるかを知ることが重要である。本稿では,自然災害デジタルアーカイブで公開されている数百万点に及ぶ災害記録を活かすために,災害記録の活用方法やその注意点について述べる。さらに,東日本大震災デジタルアーカイブを中心に,近年の様々な自然災害デジタルアーカイブについても紹介し,利用方法についても合わせて概説する。
著者
稲葉 洋子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.64-70, 2008-02-01 (Released:2017-04-28)
参考文献数
8

世界の文化を比較研究するファイル資料としてアメリカ・イェール大学で開発され,現在も世界中で利用されているHuman Relations Area Files (HRAF)がある。国立民族学博物館は1976年HRAFの正会員となり,大学共同利用機関としてファイル情報の提供や利用法の研修会を開催し,利用促進や広報に努めてきた。また,館内においてはHRAFを研究に活かしていくだけでなく,標本資料や文献図書資料等所蔵資料の分類にHRAFの分類法の一つであるOWC分類を付与している。紙ファイルからWeb版に媒体変更しつつあるHRAFは会員数を着実に増やしているが,民博でもより研究に活かしてもらう方法を考える時期にきていると考える。
著者
兵藤 健志
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.15-21, 2014-01-01

本稿では,ACRLが2000年に発表し,また,2014年に改訂を予定している『高等教育のための情報リテラシー能力基準』を軸として米国の高等教育における情報リテラシーのこれまでの定義や最新の議論を概観する。併せて,情報リテラシーの展開に学術コミュニケーションという新たな視点をもたらした2013年のACRLによる白書『学術コミュニケーションと情報リテラシーの交点:変わりゆく情報環境へ向けて戦略的協同を創造する』を紹介する。