著者
福島 俊一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.66-71, 2004-02-01 (Released:2017-05-25)
被引用文献数
2

本稿では,ウェブ検索エンジンの技術の発展を概観する。ウェブはきわめて大規模で多様な内容をもち,日々変化する鮮度の高いハイパーメディアである。このような特徴をもつウェブを魅力的な情報源として活用するための手段として,ウェブ検索エンジンは発展してきた。第一世代の技術はデータベースを利用しながらも人海戦術が基本であった。第二世代の技術はクローラによる自動収集と並列全文検索によって大規模化を推し進めた。第三世代の技術はウェブのリンク関係に着目することで高精炭化を実現した。新たな技術発展として,目的特化と状況適応への取り組みが進められている。
著者
山本 浩幾
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.567-574, 2007-12-01 (Released:2017-05-09)
参考文献数
22

早稲田大学演劇博物館に所蔵する資料群「九州地区劇団占領期GHQ検閲台本」は,戦後期の地方演劇文化を知る上で有用な資料である。「ダイザー・コレクション」とも呼ばれるこの資料群は,プランゲ・コレクションと同様,研究資料としてアメリカへ移送されたものである。歴史的背景を確認した上で,関連資料にもとづきコレクション成立の経緯をたどる。再整理作業では目録データと原物資料と突合しつつ,新たな情報の採取を行い,さらに電子撮影を行った。本資料群の資料性を,原物資料の特長や,目録データによる資料構成から考える。配架状況や運用方法についても触れる。
著者
冨岡 達治
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.256-261, 2009-06-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
7

本稿では,「外国雑誌」という資料を取り扱う上での基本事項を整理する。外国雑誌の購入業務は商習慣の違いが大きな壁となるが,図書館では代理店を仲介することにより,その差を吸収してきた。雑誌は継続的な購読が前提となっているため,年間スケジュールが比較的はっきりしており,期限に間に合うように必要な処理をすることが重要である。また,購読予約後はキャンセルが難しいため,事前の情報収集が欠かせない。さらに,契約データとして保持すべき情報や日々のチェックイン業務に際し,未着・欠号管理や他の業務と連携する上での留意事項についても触れる。
著者
宇陀 則彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.150-154, 2006-04-01 (Released:2017-05-19)
参考文献数
19

図書館システムは図書館員のための業務用システムから利用者のためのアクセス支援システムへと大きく位置づけを変えた。アクセス支援システムとは,サービス機能が有機的に連携した統合型ソフトウェア環境を指す。このようなシステムを実現するためには,新しい図書館サービスを発想できる人材が求められる。システムライブラリアンはサービスと技術の両方の視点を持って新しいアイディアを生み出す創造的職業であり,役割は違ってもライブラリアンであることに変わりない。システムライブラリアン育成には,網羅的,横断的,複眼的カリキュラムが必要であり,そのうち最も重要なのは複眼的な視野を持たせることである。
著者
酒井 美里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.325-330, 2016

スマートフォン知財訴訟や体重計の意匠,腕時計の商標など,身近な製品に関する知財訴訟を目にする機会が多くなっている。また,平成27年より特許異議申立制度の運用が開始されるなど,審判制度にも新たな動きが発生している。しかし日本だけを例にとってみても,審判や訴訟に関する情報としての審決公報や審判記録情報,判決文などは,その管轄が特許庁審判部,知財高裁,高等裁判所と多岐にわたり「ここさえ見ればすべての情報を簡単に入手可能」とはいかないのが現状である。したがって一般の特許情報利用者には,その入手や利用方法の把握が難しく,ましてや審判や訴訟の情報整理など,より敷居が高く感じられる,といった状況にもある。本稿では日本及び米国を中心に,知財審判・訴訟に関する情報の種類ならびに情報入手方法を概説する。
著者
樫村 雅章
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.183-187, 2006-04-01 (Released:2017-05-19)
参考文献数
9

慶應義塾大学HUMIプロジェクト(Humanities Media Interface Project)は,慶應義塾が1996年にグーテンベルク聖書を収蔵したのを契機に創設され,貴重書のデジタルアーカイブに関する研究とデジタル化を実践し,デジタル画像を用いた書物学研究を推進してきた。この10年の間に研究を進めてきた貴重書デジタル化のための手法やその関連技術,海外図書館との貴重書デジタル化協同プロジェクトなどについて,HUMIプロジェクトのデジタル化現場に身を置いて研究や開発に携わってきた著者が,これから12回の予定で連載を担当し,解説,紹介していく。まず今回は,HUMIプロジェクトの創設経緯や活動概要を紹介し,貴重書のデジタル化とその意義や,HUMIプロジェクトと関わりの深いグーテンベルク聖書について解説する。
著者
光森 奈美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.483, 2018

<p>2018年10月号の特集タイトルは「オープン化の新たな視座」です。</p><p>主に学術雑誌論文を対象としてきたオープンアクセスに加え,近年は研究データのオープン化も議論の対象となり,オープンサイエンスへと広がりを見せています。また,行政資料や行政の持つデータのオープン化は,国か地方公共団体かを問わず進められています。企業においては,これらのオープンになった情報を活用するだけにとどまらず,自らが持つデータをオープンにすることで,イノベーションの創出を目指す動きも生まれています。</p><p>このように,一口に「オープン」と言っても様々な流れがあり,オープン化に対する考えや取り組み方が異なります。多様な視点からオープン化の流れを見つめるべく,本特集では異なる立場の方々からご寄稿いただきました。</p><p>企業活動の中でオープンデータがどのように活用できるのか,そのメリットと課題について,株式会社日立コンサルティングの岡山将也氏,岩崎一正氏に考察いただきました。研究データのオープン化に関しては,社会科学分野のデータアーカイブである「SSJデータアーカイブ」の取り組みをご紹介いただくとともに,日本の社会科学分野における研究データのオープン化とその課題を,東京大学社会科学研究所の三輪哲先生,佐藤香先生に論じていただきました。行政資料のオープン化がどのように実現されるのかを知る事例として,神奈川県立図書館の白石智彦氏に「神奈川県行政資料アーカイブ」をご紹介いただきました。専門機関におけるオープンアクセスの実態調査を行った事例として,国立研究開発法人国立環境研究所の尾鷲瑞穂氏,野崎久美子氏,張替香織氏,村上章人氏より,同研究所の取り組みをご紹介いただきました。国際的な学術出版社であるシュプリンガー・ネイチャーにおけるオープンサイエンスに対する取り組みを,同社の小林眞代氏よりご紹介いただきました。</p><p>本特集が,「オープン化」の新たな風を感じる機会となることを願っています。</p><p>(会誌編集担当委員:光森奈美子(主査),渋谷亮介,寺島久美子,南山泰之)</p>
著者
長島 剛
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.445-451, 2021-10-01 (Released:2021-10-01)

ベッドタウンを取り巻く状況および地域金融機関の現状を踏まえた上で,地域金融機関の創業支援の責任者だった筆者が,20年間の歩みを紐解きながら,地域金融機関の創業支援について論じる。政府系金融機関や自治体との連携によるエコシステムをつくり,志のある市民を創業の中間支援機関として応援していく。そして,自治体の広域連携を促していく。都心へのアクセスの良さもあり,地方とは一線を画すような生きがいと豊かさを提供する創業が増える。これらの流れをしっかりと捉えて支援のネットワークを維持していくことが,ベッドタウンの創業支援として重要である。
著者
室田 浩司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.439-444, 2021-10-01 (Released:2021-10-01)

日本の大学による起業支援制度は,近年急速に整備されている。中でも,文部科学省と主要国立4大学による「官民イノベーションプログラム」は,大学における起業支援の中核事業へと成長し,特に,「POCファンド事業」と「大学ベンチャー投資事業」の果たす役割は大きい。一方,運営組織のデザインやガバナンス手法が,これら2つの事業の成否に大きな影響を及ぼす。また,POCを的確にデザインできる人材がこれらの事業に参画することが望まれる。さらに,良質な大学発ベンチャーを連続的に創出する環境を発展させ,日本の産業力向上に貢献していくには,事業開発経験を有する博士号取得者の活躍が極めて重要である。
著者
市川 祐子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.434-438, 2021-10-01 (Released:2021-10-01)

日本の公立図書館におけるビジネス支援サービスは,導入から約20年が経過し,公立図書館の約35%が取り組む一般的なサービスとなった。本稿では,市立図書館におけるビジネス支援サービスの一例として,安城市図書情報館の取り組みを紹介する。安城市図書情報館は,図書館資料および「場」の提供と,館内に開設されたビジネス支援機関「ABC(安城ビジネスコンシェルジュ)」との連携で,ビジネス支援サービスを行っている。専門機関である「ABC」と,豊富な情報を備え誰でも自由に利用できる図書情報館との連携は,相乗効果を生んでいる。専門機関への案内を含めた適切な情報提供が,公立図書館におけるビジネス支援サービスの在り方だと考える。
著者
安田 武彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.422-427, 2021-10-01 (Released:2021-10-01)

既に存在する企業の抱える問題を解決するこれまでの中小企業政策は,1990年代,製造業の開廃業率の逆転が観察される中,起業支援を視野に含めるようになった。起業支援の対象は当初,ベンチャービジネスであったが,1999年の中小企業基本法改正を機に「まちの起業家」へと拡大した。創業融資を中心に幅広い政策が展開されたが,起業希望者の減少により開業率上昇には至らなかった。現在では無関心者の起業への関心換起のための政策が採用されているが,他方,副業起業等,従来に比べ広い範囲の起業に政策の射程は広がりつつある。副業起業等は,イノベーションをもたらすものとは言い難いが,働き方を選ぶ社会を形成する一助となることが期待される。
著者
青野 正太
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.421, 2021-10-01 (Released:2021-10-01)

今月号は,「起業支援における情報提供」と題してお届けします。起業の促進は雇用創出や地域経済活性化という点で効果があるとされ,重要であると考えられています。しかし,世界各国の起業活動を比較したGlobal Entrepreneurship Monitor(GEM)調査によれば,日本の起業活動は先進国の中でも低水準であると言われています1)。そうした状況を改善すべく,国・自治体や商工会議所といった様々な団体により,起業の支援が行われています。特に,近年の起業支援の特徴は情報提供をはじめとするソフト支援にあると言われています2)。そこで本特集では,起業支援における情報提供をテーマとして扱うことにしました。起業支援の現状や,起業希望者が求めている支援を明らかにした上で,起業支援において情報提供を担っている機関が,各々の強みを生かしてどのような支援を行っているかをお伝えします。まず,総論として,東洋大学経済学部の安田武彦様には,日本における起業支援策の展開と今後の動向についてご解説いただきました。現代に至るまで日本はどのように起業支援策を展開してきたかを時系列で,生じた課題等を踏まえながら述べていただいています。次に,神戸大学大学院経営学研究科の内田浩史様,帝塚山大学経済経営学部の郭チャリ様には,起業者を対象とするアンケート調査から得られた5つの起業者のサンプルを比較分析し得られた起業者の属性や傾向について,ご解説いただきました。特に,起業において大きな課題となりうる資金調達について,述べていただいています。さらに,起業支援において情報提供を担っている機関として,図書館,大学,金融機関の3機関に事例をご解説いただいています。安城市アンフォーレ課の市川祐子様には,公共図書館における起業支援の事例として,安城市図書情報館におけるビジネス支援サービスについてご紹介いただきました。記事中では,館内に併設されている産業支援センターである「ABC(安城ビジネスコンシェルジュ)」との連携についてもご解説いただいています。京都大学産官学連携本部の室田浩司様には,大学における起業支援の事例として,文部科学省と主要国立4大学による「官民イノベーションプログラム」についてご紹介いただきました。特に,基礎研究を事業化するための資金助成制度である「POCファンド事業」と,大学発ベンチャーに対して株式投資を行う「国立4大学ベンチャー投資事業」の取組を中心にご解説いただいています。多摩大学経営情報学部の長島剛様には,地域金融機関における起業支援の事例として,多摩信用金庫における起業支援をご紹介いただきました。当該金融機関の所在する多摩地域や,地域金融機関を取り巻く状況を踏まえ,取組内容を詳しくご解説いただいています。読者の皆様におかれましては,起業支援における現状,課題を把握していただくとともに,自らの組織の強みをいかして支援を行っている事例を学んでいただければと思います。本特集記事を通して,ご所属の組織においてどのように起業支援に係る情報提供を行うのか,考えるきっかけとしていただければ幸いです。(会誌編集担当委員:青野正太(主査),海老澤直美,炭山宜也,水野澄子)1) 岡田悟.我が国における起業活動の現状と政策対応.レファレンス.2013,no.744,p.29-51.2) 金恵成.日本の起業の特性と支援課題.大阪観光大学紀要.2013,no.13,p.37-44.
著者
笹原 和俊
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.309-314, 2020

<p>多様な情報と人々をつなぐはずのソーシャルメディアが,社会的分断や情報のタコツボ化を助長しているという問題が顕在化している。特に,エコーチェンバーやフィルターバブルといった閉じた情報環境は,自分の好みに合致した情報のみが来やすく,自分とは異なる観点からの情報が来にくいため,フェイク(偽)ニュースやヘイト(憎悪)の温床となる危険性を孕んでいる。本稿では,計算社会科学の観点から,偽ニュースが拡散する仕組みについて解説し,ウェブの負の側面について論じる。また,今後のウェブの技術が克服すべき問題について議論する。</p>