- 著者
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パテントドキュメンテーション委員会
- 出版者
- 一般社団法人 情報科学技術協会
- 雑誌
- 情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.7, pp.289, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
「Society 5.0」や「第四次産業革命」とともにDX(Digital Transformation)という言葉を目にし,耳にする機会が増えたと感じています。「DXで第四次産業革命を推し進める」,「DXでSociety 5.0を実現」と言われますが,多くの人にとって政府が掲げる中長期目標,大学の先生の近未来予測,一部先端企業の取り組みといった,どこか遠くの動きだったのではないでしょうか。ところが,COVID-19の感染拡大をうけて,テレワークだ,リモート会議だと言われ,それに伴ってDXという言葉が頻繁に使われるようになりました。図らずも世の中が一気に「DX化」したという印象を持ったのは,私たちパテントドキュメンテーション委員会メンバーだけではないはずです。DXには「デジタル技術やデジタルデータを活用して業務の効率化を目指す」という側面と,「データを活用した新しいソリューションの創造」という側面があると思います。では,DXで言う「データ」とは誰が生み出し,誰のもので,それはどこで管理され,利用に際してはどのような制限や留意点があるのか,ニューノーマルと言われる新しい社会で,自分(自社)をどうDX化していくのか,これらの問いに自分事(自社の事)として答えられる人は少ないと思います。この特集号は,意識レベルや置かれている状況にばらつきのある受け手に向け,知財活動におけるDXの観点から,「DX」をご紹介したいという思いで企画しました。はじめに日本イノベーション融合学会の岸和良氏に,初心者向けにDXについて解説していただきました。第二稿は,マスクドアナライズ氏に,知財DXの観点から豊富な例を挙げて,解説していただきました。第三稿は,内閣府の小林英司氏に,知財DXを政策面から「官」の取り組みとしてご紹介いただきました。続く第四稿,第五稿は,「民」の立場から,知財DXの先端企業と言われる,旭化成株式会社の佐川譲氏(共著者中村栄氏)と,富士通株式会社の田中裕紀氏に,知財DXのフロントランナーとして,取り組みの様子をご紹介いただきました。そして最後にVALUENEX株式会社の中村達生氏に,知財の解析の観点から知財DXの未来を展望していただきました。この特集号が,読者の皆様の新しい興味への動機付けや,DXへの取り組みをインスパイアするものとなればうれしく存じます。パテントドキュメンテーション委員会(江口佳人,大島優香,桐山 勉,佐藤秀顕,清水美都子)知財担当理事(中野 剛,山中とも子)