著者
樋野 誠一 門間 俊幸 小池 淳司 中野 剛志 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_21-I_32, 2012 (Released:2013-03-12)
参考文献数
6
被引用文献数
6

本研究は,デフレ時に実施する公共投資の効果は,通常(インフレ)時の効果と比較してどの程度異なるのか,あるいは,現下のデフレ不況から脱却するために必要な財政出動の規模と期間はどの程度かについて,公共投資のクラウディングアウトの有無に着目して,ケインズモデルにより検証する.特に,東日本大震災復興投資,新東名高速道路投資などさまざまな政策シナリオに基づき,公共投資の投資効果を実証的に分析することに主眼を置く.結論は,デフレ時においてはクラウディングアウトが生じないため通常時よりも乗数効果が約0.2ポイント高いことが示された.さらに,デフレ脱却のための公共投資の投資規模は,今の経済状況が続くと仮定すると,90年代の公共投資の持続的実施が必要となることが明らかとなった.
著者
藤井 聡 柴山 桂太 中野 剛志
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.85-90, 2012 (Released:2013-01-11)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

In this paper, a theoretical hypothesis that public works would have deterrence effects of deflation under the situation that deflation-gap exists was tested empirically. For testing this hypothesis empirically, we used macro-economics data in Japan since 1991 when the huge deflation-gap was brought by the collapse of the babble economy. As a result, we found that 1,000 billions yen's public works increases the GDP deflator by 0.2-0.8 % and increases nominal GDP by about 2,430 billions yen - 4,550 billions yen. This results support the hypothesis that public works would have deterrence effects of deflation under the situation that deflation-gap exists. It was also found that the deflation deterrence effects by the public works was larger than that by the in-crease export.
著者
遠藤 皓亮 藤井 聡 中野 剛志
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.41-49, 2014 (Released:2014-07-23)

The objective of this study is to investigate how people's attitude toward governmental finance is influenced by information that they obtained. We conducted an experiment in which we provide different types of information to different participant groups. The information themes we provided include public investment and the governmental bonds. In some groups, the information was provided with numerical data and graphs, but in the other groups, the information was without them. The 400 participants were randomly assigned into a control group and 6 experimental groups (3 types of information themes, i.e. public investment, governmental bonds and both multiplied by 2 types of information content, i.e. with and without numerical data and graphs). As a result, we find that: 1) information with numerical data and graphs have stronger effects than that without them on attitude toward governmental finances, 2) information have stronger effects for those with higher concern or higher literacy on the policy, and 3) too much information have lesser effects than that with fewer information.
著者
田中 皓介 中野 剛志 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_353-I_361, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
11
被引用文献数
2 4

人文社会科学において,“物語”は,人間,あるいは人間の織り成す社会の動態を理解するにあたって重要な役割を役割を担うものと見なされてきている.それ故,人間や社会を対象として,公共的な観点からより望ましい方向に向けた影響を及ぼさんと志す“公共政策”においても,物語は重大な役割を担い得る.また公共政策の方針や実施においては,マスメディアが少なからぬ影響を及ぼしていることが十二分に考えられる.ついては本研究では,現在の日本において,政策が決定,採用されてきた背景を把握するにあたり,新聞の社説を対象とし,新聞各社に共有されている物語を定量的に分析することとする.
著者
田中 皓介 中野 剛志 藤井 聡
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_353-I_361, 2013
被引用文献数
4

人文社会科学において,"物語"は,人間,あるいは人間の織り成す社会の動態を理解するにあたって重要な役割を役割を担うものと見なされてきている.それ故,人間や社会を対象として,公共的な観点からより望ましい方向に向けた影響を及ぼさんと志す"公共政策"においても,物語は重大な役割を担い得る.また公共政策の方針や実施においては,マスメディアが少なからぬ影響を及ぼしていることが十二分に考えられる.ついては本研究では,現在の日本において,政策が決定,採用されてきた背景を把握するにあたり,新聞の社説を対象とし,新聞各社に共有されている物語を定量的に分析することとする.
著者
中野 剛志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.30-42, 2012 (Released:2012-01-20)
参考文献数
42

本研究では,アメリカの古典的社会学者C・H・クーリーの「交通の理論」を,クーリーの相互行為論的社会学の中に位置づけて解釈する.クーリーは,コミュニケーションは人格及び社会を形成する相互行為として重視し,交通をコミュニケーションとみなした.またクーリーは,コミュニケーションから価値が生成するという理論を展開し,多元的な価値評価の重要性を主張した.クーリーの交通の概念は,「人や物の空間的移動」という従来の交通の定義を修正するものであり,また彼の理論は,交通の研究における相互行為論的なアプローチの有効性を示唆するものである.
著者
門間 俊幸 樋野 誠一 小池 淳司 中野 剛志 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.I_327-I_338, 2011 (Released:2012-03-30)
参考文献数
20
被引用文献数
2

公共事業関係費の適正規模を検討するには,公共投資額とその効果についての適切な把握は重要な判断材料となる.現在,財政支出を行うための財源調達については,税金,利用者負担だけでなく,政府の公債発行が行われることが多い.公債発行は金融市場の需給に影響することから,経済状況がインフレ期なのかデフレ期なのかによって,公共投資効果も大きく異なることが予想される.本稿では,現在のマクロ経済状況を最新のデータに基づき分析・整理した上で,道路投資額及び道路整備量から国内総生産の変化等を推計するマクロ計量経済モデルを構築する.その際にインフレやデフレの時の需給バランス及びこれに伴う価格調整メカニズムを考慮することにより,現下の経済情勢等を踏まえた従来のマクロ計量経済モデルの課題点の検証を行った.その結果,現在の経済状況は流動性の罠に陥っているデフレ状態の可能性があること,デフレ時には国債発行によるクラウディング・アウトが生じ難いこと,公共投資の効果がインフレ時に比べ効果が大きく表れる傾向があることが示された.
著者
蔦原 宏一 栗林 宗平 山道 岳 川村 正隆 中野 剛佑 岸本 望 谷川 剛 今村 亮一 高尾 徹也 山口 誓司
出版者
日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.97-100, 2016 (Released:2016-06-10)
参考文献数
10

鏡視下ドナー腎採取術においては左腎の方が右腎より血管長の確保が容易であることから,左側の腎採取が選択される場合が多い.手術成績について採取側別に比較検討した. 対象は2003年1月から2014年6月までに当科で後腹膜鏡下ドナー腎採取術を施行した98例を対象とした.右腎採取は26例(26.5%)であった.手術時間,出血量,温阻血時間など各因子について検討した. 手術時間は左257.5(182-506)分,右256(196-374)分,温阻血時間は左150(60-330)秒,右204(120-393)秒,総阻血時間は左120(69-637)分,右104(60-183)分であった.温阻血時間については右腎採取において有意な延長を認めたが,総阻血時間については逆に左腎採取において有意に長かった. 左腎採取に比べ右腎採取では温阻血時間の延長を認めたが,総阻血時間については右腎採取で短く手術成績は両側とも遜色ないものと考えられた.
著者
長谷川 大貴 中野 剛志 藤井 聡
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.75-82, 2013 (Released:2013-12-25)
参考文献数
28

In human and social science, narrative is regarded as an important theoretical construct associated with human cognition, human vitality, sense of unity and cohesion of organization. In this regards, narrative is also expected to increase vitality and cohesion of planning organizations for public policies, such as governmental section for city planning, transportation planning, national land planning and any other public planning. In this study, we review academic genealogies with respect to narratives including western philosophy, hermeneutics, historical science, historical philosophy, literary criticism, clinical psychology and sociology, narrative psychology and folklore. Then we discuss how narrative can be pragmatically applied for planning organizations.
著者
藤井 聡 中野 剛志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.I_213-I_222, 2011 (Released:2012-03-30)
参考文献数
21

本稿では,国(政府)の公共事業の財源についての政治的判断を支援することを企図して,マクロ経済動向に及ぼす影響を加味しつつ,公共事業関係費の「水準」と「調達方法」を毎年どのように「調整」していくべきかの基本的な考え方を整理することを試みた.そして,市場における需要が供給を上回っているインフレ状況にある時には,インフレ緩和のために緊縮財政を基本とすることが得策であり,公共事業においては,公債ではなく,必要に応じた増税の可能性も視野に収めながら税収によって財源を調達することが得策であることを指摘した.一方で,逆にデフレ状況にある時には,デフレを緩和するための積極財政を基本とすることが必要であり,そのための財源については,定常的な税収に加えて公債を自国通貨建ての内債として発行することが得策であることを指摘した.
著者
石川 幹人 中野 剛
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第38回, no.人工知能及び認知科学, pp.275-276, 1989-03-15

MES上で計画問題向きの機能を開発した。この機能は、MESに備わっている推論制御機能、ルールシステム、スキーマシステムなどの諸機能によって実現されている。このようにMESの汎用シェル機能を組み合わせて利用する方法で、MES上にドメイン固有の機能を実現し、ドメインシェルを構築できる。 本稿では、ドメインシェルの考え方を示したのち、今回MES上で開発した1つの計画問題向き機能の概要と、そのMES上での実現方法を述べる。そして、最後にドメインシェルのインタフェースについて触れる。
著者
高橋 伸夫 中野 剛治
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.2, no.10, pp.481-530, 2003-10-25 (Released:2018-03-19)
参考文献数
29
被引用文献数
4

ややもすると特許件数やロイヤルティー収入の額に目が行きがちな大学の技術移転を産学連携の現場の視点から捉え直す。そこは、マーケッタビリティーを機軸とする営業活動の中で、大学と大学に所属する研究者の権利をいかに守るかのせめぎ合いの現場である。真の技術移転とは特許の移転ではない。特許を作り出せるだけの技術をもった人の移転である。研究教育機関としての大学の真価はそこにある。
著者
上石 勲 山口 悟 佐藤 篤司 兒玉 裕二 尾関 俊浩 阿部 幹雄 樋口 和生 安間 莊 竹内 由香里 町田 敬 諸橋 良 後藤 聡 輿水 達司 内山 高 川田 邦夫 飯田 肇 和泉 薫 花岡 正明 岩崎 和彦 中野 剛士 福田 光男 池田 慎二 会田 健太郎 勝島 隆史
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.507-512, 2007-07-15
参考文献数
1

2007年2月~4月にかけて4件の大きな雪崩事故が発生した.2007年2月14日には八甲田山系前岳で表層雪崩によってツアースキーヤーの2名が死亡,8名が負傷した.3月18日には,北海道積丹岳で,スノーモービルで走行中の人など16人が雪崩に巻き込まれ,4人が死亡,1人が重傷を負った.また,3月25日には,富士山富士宮口五合目付近でスラッシュ雪崩が発生し,建物と道路施設に被害を与えた.さらに4月18日には富山県立山雷鳥沢で山スキーヤーとスノーボーダーが表層雪崩に巻き込まれ,1名死亡,2名が負傷する事故が発生した.これらの雪崩事故調査から山岳地域では暖冬でも雪崩の危険性は低くないことが確認された.
著者
藤井 聡 柴山 桂太 中野 剛志
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.85-90, 2012
被引用文献数
1

In this paper, a theoretical hypothesis that public works would have deterrence effects of deflation under the situation that deflation-gap exists was tested empirically. For testing this hypothesis empirically, we used macro-economics data in Japan since 1991 when the huge deflation-gap was brought by the collapse of the babble economy. As a result, we found that 1,000 billions yen's public works increases the GDP deflator by 0.2-0.8 % and increases nominal GDP by about 2,430 billions yen - 4,550 billions yen. This results support the hypothesis that public works would have deterrence effects of deflation under the situation that deflation-gap exists. It was also found that the deflation deterrence effects by the public works was larger than that by the in-crease export.
著者
羽鳥 剛史 中野 剛志 藤井 聡
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.163-168, 2010 (Released:2010-12-29)
参考文献数
13
被引用文献数
4

The aim of this paper is to examine the relationship between nationalism and civil society. The present hypothesis, which was developed from the theory of civil society, especially Hegel's thought, supposes a mutually dependent relationship between nationalism and civil society: the stronger (weaker) nationalism, the stronger (weaker) civil society and vice versa. On the other hand, its competitive hypothesis supposes a mutually substitute relationship: the stronger (weaker) nationalism, the weaker (stronger) civil society and vice versa. These hypotheses were tested in a survey, in which participants (n = 400) were asked to respond to measurements for a sense of alienation from four communities (family, organization, region, and state). All the items for the measurements were developed based on Hegel's descriptions about alienation from communities. The obtained data showed that the sense of alienation from each community was positively related with each other. This result gave supports to the interdependent relationship hypothesis. The implication of the result was discussed.
著者
松村 雅史 中野 剛 西原 一嘉 吉田 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.98, no.231, pp.37-42, 1998-07-31
参考文献数
18

本研究では、バイオリン音生成時の運動パラメータと生成音の音響的性質の関係を調べるために、運弓、弓圧を総合的にコンピュータ制御可能なバイオリン音生成システムを試作した。まず、本システムでは、10-40cm/sの速度で運弓している場合において、2.5gWの精度で弓圧力が制御可能であることを示した。次に、音階制御機構部についての基礎実験として、弦を押さえる荷重と発生音のスペクトルの関連を実験的に調べた。バイオリン音のスペクトルで倍音生分とそれ以外の成分の比mを特徴パラメータとし、弦を押さえる荷重(100-400gW)との関係を測定した。その結果、荷重が小さい場合、mの値は小さく、聴覚的印象も悪いが、荷重を大きくするとmが急激に高くなり、聴覚的印象も良くなる傾向が示された。